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298話 束の間の休息

 

「カズヤ!」


 そこに、ウィーバーに乗ったアリシアとバルザードがやってくる。



「アリシア、大成功じゃないか! 一気に戦況が変わったよ」


「これで魔術ギルドの支配に怯えて、魔法を使う必要が無くなったわ」


 アリシアの顔が晴れ晴れとしていた。



 捕えられていたジェダの視線が、アリシアに向く。


「アデリーナの娘……。やはりお前たち母娘が邪魔をしたのか」


 しかし、アリシアを睨みつける目にも言葉にも、以前の力はない。



「あなたが私たちの自由を侵害した報いよ。この結果を他人のせいにしている限り、あなたは何も変わらないわね」


 アリシアの追及に、ジェダは言い返すことができない。


 ジェダの身柄もパーセルに任せるつもりだ。



 ついにハルベルト軍と、エルトベルク・タシュバーン・レンダーシアの四か国連合が、サルヴィア神聖王国に勝利を収めたのだ。




 *


 サルヴィア軍の侵攻を防いだカズヤは、仲間全員と合流する。


 だれもが勝利に胸をなで下ろしていたが、アビスネビュラとの戦いは終わっていない。すぐに次の方針を相談し始めた。



「この機に乗じて、サルヴィアの聖都まで攻め込むべきではないのか」


 シデンの提案に、カズヤは考え込む。


 サルヴィア神聖王国には国王がいない。教主と呼ばれる教会のトップが政治を行っているが、神を自称するゼイオンの前には無力だろう。


 元凶はゼイオンなのだ。


 サルヴィア神聖王国と教会の仕組みが分かった今なら、もはや遠慮する必要はない。この機会にゼイオンの化けの皮を剥がしてしまえばいい。



「時間をおいたら敵に反撃する時間を与えてしまうか、一気に攻め込んだ方がいいかもな」


 カズヤの提案に反対する者はいない。


「フォン、このまま進軍できるか?」


「前線と後方の兵士を入れ替えれば可能です。サルヴィアの聖都までは丸一日行軍する必要があります。交代しながら食料や備品を前線に送りましょう」



 皇帝フォンが指示を出すと、ハルベルト軍が隊列を入れ替える。その後ろからエルトベルク軍・タシュバーン軍・レンダーシア軍の四か国連合が続いていく。


 その日のうちにサルヴィア神聖王国の国境を越えた。兵士が聖都にたどり着くのは、次の日の昼過ぎになるだろう。


 カズヤたちザイノイドは休む必要はないが、アリシアたちや兵士には休息が必要だ。


 日が暮れてくるとカズヤたちは進軍を止めて、サルヴィア領内で野営した。




 カズヤとステラ、フォンとクインは兵士に休憩を取らせながら、夜通し周囲を警戒する。


「クイン、あの例の円盤アトモスは襲ってこないのか?」


 カズヤは気になっていたことを尋ねる。


「おそらく来ないでしょう。ゼイオンのことなので、もっと聖都に近付いてから使うはずです。もともと彼一人を守るための兵器ですから」


 たしかに昼間の戦闘中にもアトモスが襲ってくることはなかった。


 あれだけの総力戦が行われていたのに、参戦する気配もない。



「ひょっとして、あの巨大な円盤は宇宙まで飛ぶことができるのか?」


「いいえ。アトモスは惑星内専用の空中移動型兵器ですから行けません。そもそも人を乗せることも出来ないのです」


「そうなんだ、じゃあ前みたいに乗り込む訳にはいかないか」


 クインの説明はカズヤの予想通りだったが、宇宙船だった方が攻めやすかったかもしれない。


 以前のデルネクス人との戦いで、ステラとアリシアは宇宙船であることを利用してあえて乗り込んだ。


 今回はその手段は使えなさそうだ。



「ステラ。ラグナマダラにはパーセルとの作戦は伝わっているのか?」


「はい、伝えました。ただうまくいくかも含めてやってみないと分かりません」


 アトモスは恐ろしく素早いので、不利を悟って逃げられたら追いかけるのは不可能だ。


 ラグナマダラがアトモスを捕まえることさえ出来れば勝機はあるはずだった。失敗するのを承知のうえで、カズヤはパーセルにある戦術を提案していた。



「夜が明けたら聖都に乗り込むんだけど、ゼイオンは本当に600年も生き続けているのか? ザイノイドって何年生きられるんだっけ」


 カズヤはクインに尋ねる。


「私のように始めから全身が機械化されていれば、1000年以上生きることも可能です。カズヤさんのように生体を残したままであれば、通常は300年ほどが限界です。しかしゼイオンの場合は……」


 クインが言葉を濁す。


 ゼイオンがとった手段を口にしたくなさそうだ。



「若い人間の身体を利用して、少しずつザイノイド化していったのですね」


 ステラが理由を言い当てる。


「そうです……ゼイオンはこの星の全ての生き物を自分の物だと思っています。他者の命を利用することに何のためらいもないのです」



 ステラは以前、一時的に自らの管理者となった前皇帝グラハムが要求したことを思い出していた。


 あの時のグラハムの妄想は、幸いにも実現されずに終わった。


 しかしゼイオンは、その蛮行の全てを実現している。


 魔法以外にも科学力を駆使して軍事力を高め、経済を支配して自らの身体をザイノイド化している。



 最後にカズヤは、一番気になっていたことをクインに尋ねた。


「ジェダが恐れていたゼイオンの攻撃方法について、何か知らないか?」


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