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294話 ジェダ

 

「黒耀の翼は前方で魔法使い部隊と戦っているはずですが、ゼーベマンたちの姿が見えません」


「何だって!? それは大変だ、すぐに向かおう。ステラが運転してくれ」


 ウィーバーの運転をステラに任せると、カズヤたちは最前線へと飛び出した。



「激しい戦闘だな、今のところは互角といったところか……」


 ウィーバーに乗るカズヤの眼下では、騎士団同士の激しい戦いが繰り広げられている。


 馬の蹄の音、鎧がぶつかり合う音。


 剣と槍が火花を散らして、ぶつかり合う金属音が戦場中に響き渡っている。



「マスター、あそこです」


 ステラが指さす戦場の一角で、ジェダたち魔法使いの一団と戦うシデンの姿が見えた。


 しかし、他のメンバーの姿が見当たらない。



「……あ、いたぞ。プラクトだ!」


 シデンの後方でサルヴィア軍の攻撃を、身体を張って防いでいるプラクトの姿が見えた。


 その背後には、傷ついたリオラとゼーベマンが座り込んでいる。



 リオラが回復魔法で自分とゼーベマンを治療している。命に別条は無さそうだが、かなり追い詰められていた。


 タシュバーン軍の兵士もわずかに残っているが明らかに形勢が悪い。


 シデンが猛然とジェダに戦闘をしかけて、仲間への攻撃を必死で防いでいる。



「ステラ、いくぞ!」


 カズヤは、ウィーバーから飛び降りた。


「うおおおっっ!!」


 カズヤはシデンの隣に着地すると同時に、プラズマブレードで周囲の敵を一気に吹き飛ばした。


 上空にいたステラがブラスターによる掃射攻撃で、広範囲の敵兵を足止めする。



「シデン、大丈夫か!?」


「ああ、なんとかな。だが形勢は悪い」


 二人の目の前には、魔術ギルド総帥・ジェダが立っていた。



「シデン、こいつは魔法主体の戦闘型ザイノイドだ。魔法が使える剣聖みたいなもんだよ」


「やはり人間ではなかったか。だから、でたらめな強さなのだな」


 以前の戦闘でジェダは、カズヤとステラ、アリシアとバルザードの攻撃を同時に防いでいた。


 その時のカズヤが戦闘型で無かったとはいえ、とんでもない強さだった。



 前回のジェダとの戦闘では、ステラのブラスター攻撃が一切当たらなかった理由が分からなかった。


 しかしジェダが戦闘型ザイノイドならば想像がつく。ステラの射線軌道を予測することくらい十分可能だからだ。


 アリシアの魔法が何度直撃しても耐えていたが、高価な魔石をふんだんに使って魔力を増幅させていたのだろう。


 カズヤとバルザードの近接攻撃を軽々と防げたのは、剣聖フォンと同じ戦闘型だからだ。



「また邪魔しに来たのか魔導具造りめ。クインの奴も裏切りおって!」


 ジェダが怒りに満ちた表情でカズヤとクインを睨みつける。


 この男はルガンと違い、自らの力とゼイオンの命令を楽しんで行なっているふしがある。


 この危険な男は絶対に止めなければいけない。



「ジェダ、お前の正体はザイノイドなんだろう。ゼイオンの命令に逆らえないのは分かるが、敵として向かってくるなら容赦しないぞ」


「口を閉じろ、雑魚どもが! クイン、貴様のせいだぞ。余計なことをしなければ、こんな戦闘は起きなかったのだ」


 ジェダはカズヤの言葉に反発しながら、隣にいるクインを詰問する。



「ジェダ、大人しく武器を置いてちょうだい。カズヤさんたちがゼイオンを倒してくれるわ。600年続いた私たちへの命令は、これで終わるのよ」


 クインが、ジェダへの説得を試みる。


 しかし、その言葉を聞いたジェダは大声で笑い始めた。



「ふはははっ! 間抜けなものだな、クインよ。私がゼイオンごときの命令に従っているとでも思っているのか?」


「……!?」 


 ジェダの言葉に、クインの身体が固まった。


 ジェダは戦闘型なのでゼイオンの命令には逆らえないはずだ。何を言っているのか理解に苦しむ。



「私はあいつの逃げ道を作るために戦うのが馬鹿らしいだけだ。どうせ奴の宇宙船は使えない。危なくなったら魔法陣でも使って一人で逃げるつもりだろう」


「なぜ、あなたはゼイオンのことを敵に話せるの!? 命令に逆らえないように、強制力が働いているはずなのに……」



 今のジェダの言葉は明らかにゼイオンの命令に反している。


 ゼイオンを小馬鹿にして、宇宙船や魔法陣のことまで話していた。


 戦闘型ザイノイドは指揮官の命令に逆らえないようにプログラムされている。ゼイオンが不利になる発言は出来ないはずだ。



「何を驚いている、クイン。この星にはデルネクス星にも存在しない、魔法という便利な力があるのだぞ。なぜ私が魔術ギルドの総帥なんかしていると思う?」


 ジェダの顔がニヤリと歪む。



「戦闘型ザイノイドの強制力など、魔法の力でとうの昔に外しておるわ!」


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