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253話 無謀決行

 

「……お、おい、こいつは!?」


「テセウスじゃないか! なんで奴がこの世界にいるんだ!?」


 新聞記事の写真を見て、バルザードが驚きの声をあげる。カズヤも驚きを隠せない。



「どうしてこいつを知ってるんだ?」


 驚いた二人を見て、シデンが口をはさむ。


「こいつはエルトベルクの元騎士団長なんだ。アビスネビュラの一味で、旧首都エストラを崩落させたのはこいつの仕業だ」


 テセウスは仲間の手を借りて、旧首都エストラの牢屋から脱走したはずだ。


 なぜ、こんなところにいるのか。



「なんか嫌な予感がするぜ。姫さんのことだから変に責任を感じて、自分で捕まえようとしているかもしれん」


 バルザードはアリシアの性格から次の行動を予想する。


 カズヤも、その考えに同感だった。



「アリシアは正義感が強いからあり得るな。でも、一人で捕まえられるのか?」


「あれでもテセウスは元Aランクの冒険者だ。小国とはいえ、エルトベルクで騎士団長を務めていたくらいだから実力もある。魔法使いの姫さんとは相性が悪いし、ここだと魔法も弱くなっているから心配だ」


 バルザードは、最悪の予感に顔をしかめた。



「こうしてはいられないぞ、すぐに助けにいかないと……!」


 思いがけない展開にカズヤは焦りだす。


 日本にいる限り、アリシアの身には危険が無いと思っていた。


 だがイゼリアからやってきた犯罪者テセウスがいるなら話は別だ。しかも、それはアリシアだけでなく、桜月市にとっても危険なことだ。



「急いでアリシアを見つけないと……。こうなったら、もう手段を選んでいる場合じゃない!」


 カズヤは腹をくくって覚悟を決める。


 すぐさま後ろにいるリオラに声をかけた。



「リオラ、翼を出して飛んでもいいから、空からアリシアを探してくれないか?」


「えっ、いいんですか? 大騒ぎになると思いますけど」


「仕方がない。こっちからアリシアを見つけるんじゃなくて、向こうから見つけてもらうんだ。俺たちが目立つ行動をとれば、きっと気が付いてくれるはずだ!」



 こうなってしまったら多少の騒ぎは仕方がない。


 アリシアを見つけてテセウスを捕まえたら、すぐにイゼリアに戻ればいい。


 安全な日本だと思って油断していたが、あのテセウスがうろついているなら、どんな手を使ってでも乗り切るしかない。



「分かりました。全力で探します」


 リオラはシデンがうなずくのを確認すると幻術を解く。


 そして黒い翼をむき出しにしたまま空へと飛びあがった。


「……ええぇっ!? 黒い天女様じゃわい!」


 目の前でリオラの変身を見ていたお婆さんが、腰をぬかしそうになるほど驚いている。



「もう俺たちも遠慮はいらない。目立っても構わないから、アリシアを探すんだ!」


 アリシアの発見を最優先にすることを確認すると、全員街へと飛び出した。



 山を降りると、カズヤたちはいっせいにビルやマンションの屋根へと飛び上がった。


 リオラが黒い翼で空を飛び回り、フォンは電柱から電柱へと飛び移る。ステラは電波塔の上に駆けあがり街を見下ろして視覚センサーを駆使して探し始めた。


 桜月市はカズヤたちの出現に騒然としはじめた。



 飛び回るカズヤの元に、ステラから内部通信インナーコネクトが入る。


「マスター、アリシアの髪や目の色を鈴木さんに伝えたら、SNSで再び映像を見つけてくれました。昨日、繁華街でアリシアが魔法を見せていたみたいです」


 それは、アリシアの路上パフォーマンスを撮影した動画だった。



 アリシアの不思議な魔法は一気に再生数をあげ、SNSのトレンドに上がるほどの人気だった。


 だが髪や目が黒くて日本人女性の服装をして、さらに遠目から撮影されているアリシアに、鈴木や前田、カズヤたちは全く気が付かなかったのだ。



 撮影されたのは昨日の昼すぎだ。


 以前よりもアリシアの存在を身近に感じる。


「繁華街だな!」


 カズヤはすぐさま桜月市の中心部に向かう。



 到着するやいなやカズヤは、ステラが作ったアリシアの映像を見せながら大声をあげた。


「お騒がせしてすみません! 昨日ここにいた、この女性に見覚えはありませんか!?」


 もともとステラが持っていた映像の外見を変えたものだ。現地の服装で黒髪黒目に修正されている。


 しかし多くの人は怪訝な顔をして、カズヤから距離をとった。



 だが、遠巻きに見ていた男性の一人が話しかけてくれる。


「……この女性なら昨日俺の隣で手品をしていたぜ。凄い人気だったな。ここで通り魔事件が起きたんだけど、親切に被害者を介抱したあと隣町の方に走っていったぞ」


 それはアリシアの隣で演奏していた男性だった。


 思いがけず隣で共演し、はっきりと覚えていたのだ。



「ありがとう。間違いない、その女性だ!」


 カズヤは目撃情報を全員に伝えると、すぐさま隣町へと向かった。


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