228話 第6章:エピローグ
意識を取り戻したシデンが起き上がってくる。
「……すまん、俺としたことが無様な失態を見せてしまったな。この程度の奴は跳ね返せると思っていたが」
「でも、お前の力でデルネクスの攻撃を防ぐことができた。戦闘型を倒してくれただろ?」
「ああ。だが、お前の力を頼ってしまった……。俺もまだまだ修行が足りん。あんな亡霊の力を借りずとも、撃退する力を身につけなくては」
次の戦いを見据えると、いつものシデンに戻っていた。
*
シデンの件がひと段落した頃、下船してきたパーセルがカズヤたちの前に出てきた。
「艦長代理のパーセルです。今までの艦長であるオルガドは軍規違反により捕縛しました。君たちと話し合いがしたい。また、我々には戦闘を続ける意思は無いことを約束します」
「お前は話が通じそうだな。でもお前の判断だけでなく、デルネクスとかいう国の意向も確認したいんだけど」
パーセルのことは、ピーナから話を聞いていた。
カズヤはパーセルの真摯な態度を見て、交渉相手に足る人物だと判断した。
「調査船の指揮官は、本国からこの作戦の全権委任を受けています。今は私が責任を持って本国を代表します」
「分かった。だが先ほどまでの執拗な攻撃を考えると、本当に友好的かどうかがまだ信じられないんだ。まずは捕らえている捕虜を解放してもらおうか」
「もちろんです。遺伝子研究用に連れ去った人たちは、すぐそこに来ています」
パーセルがそう言うと、人狩りで連れ去られていたタシュバーン皇国民が解放された。
手足が拘束された様子も無い。
「私たちは鉱物と有用な遺伝子を求めて星々を調査しています。これまでの過ちは賠償します。無礼を承知でお願いしますが、この星で再び調査させてもらえないでしょうか?」
パーセルが深々と頭を下げながらお願いする。
「鉱物はこの星にとっても貴重で、限りある資源だ。もし鉱物が欲しいのなら適正な取引するべきじゃないか? 遺伝子の調査だけなら、わざわざ殺す必要はない。まずは本人の同意を得てからだろう」
「もちろん、そのつもりです。条件が守られることを私が約束します」
これで、デルネクス人たちに一方的に略奪される関係からは逃れられるはずだ。
「それでは具体的な条件なのですが……」
「ああ、申し訳ないけど俺の寿命はあとわずかしかないんだ。他の人としてくれよ。動けるのはあと3日も無いはずなんだ……」
観念したようにカズヤが下を向く。
今回の戦いは勝利を収めることができた。
しかし、カズヤやステラたちのエネルギーコアは失われてしまっている。生き残れる期間は残りわずかなのだ。
するとカズヤの後ろからステラがそっと近付いてくる。
その手には幾つかのパーツが握られていた。
「えっ、ス、ステラ!? これって……」
「エネルギーコアなら大丈夫ですよ。私がしっかりもらってきましたから」
ステラの手には、なんと幾つものエネルギーコアが握られていた。
「どうしたんだよ、それ!?」
「デルネクス人の宇宙船から勝手に取ってきました。壊されたので弁償してもらっても問題ないですよね。不足しないように、今後も充填してもらう必要がありますし」
ステラが修理室から出て最初に向かったのが、エネルギーコアの保管場所だったのだ。
デルネクス人の攻撃により、ステラが持っていたエネルギーコアが全て破壊されてしまった。
その代償に、宇宙船から幾つか奪ってきていたのだ。
「確かに、あなたたちの宇宙船を破壊して申し訳ありませんでした。どうぞお使いください」
ステラの申し出に、パーセルは苦笑いするしかなかった。
「それじゃあ、問題は全部解決したな。これ以上の話は時間と場所を改めてしっかり話そうか。実は俺はこんな話は得意じゃないし、する立場でもないんだ」
「えっ、そうなんですか。あなたは何者なんです? 立ち居振る舞いからして、この星の代表かと思いましたが……」
「別に何者でもないよ。強いて言うなら……ただの日本人だよ」
「ニホンジン?」
驚いたパーセルを、カズヤは笑って受け流すのだった。
第6章完
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