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216話 死の宣告

 

磁界破壊攻撃マグネティック・ブレイクです!! 二人とも急いで宇宙船から離れてください!!」


 カズヤはステラの腕をつかむと、強引に宇宙船から離れる。



 すると、突如として周囲のすべての金属が異様な振動を始めた。


 宇宙船が小刻みに震え始める。その場を覆う磁力の波が、まるで見えない巨大な手のように空間をねじ曲げ始めた。


 金属の破片が空に浮かび、磁力の渦に引き寄せられていく。



「なんだ、この攻撃は!?」


 経験したことが無い不気味な光景に、カズヤは呆気にとられる。



 磁界破壊攻撃マグネティック・ブレイクが頂点を迎えた。


 宇宙船上部の空間がぐにゃりと歪む。一瞬、宇宙船が膨張したかと思うほど大きくなり、その後急激に収縮を始める。


 バキバキッ、バキバキバキバキッッッッ!!!!


 衝撃の激しさのあまり、カズヤは慌てて地面に伏せる。


 金属がぐしゃりと押しつぶされ轟音が辺りに響き渡る。金属の塊が破壊されていく衝撃が空気の波となって伝わってきた。



 やがて破壊の嵐が過ぎ去ると、周囲の音が一切無くなった。


 カズヤは、おそるおそる顔をあげる。


 そこにはグチャグチャに潰されて、鉄くずとなった宇宙船だけが残っていた。



「なんだ、この攻撃は……」


「マスター、これは磁界破壊攻撃マグネティック・ブレイクという、機械だけを破壊する攻撃です。宇宙船の全ての機能が破壊されてしまいました。宇宙船に保管していたボットたちも、もう動きません……」


「なんだって!? この宇宙船を調べるのが奴らの目的だったんじゃないのか。その宇宙船を破壊したというのか?」


「デルネクス人の目的は”宇宙船が墜落した原因を調べること”です。彼らの性格を考えると、壊れた宇宙船を直すつもりはありませんし、生存していた乗組員を救助するつもりもありません。飛行記録さえ持ち出せば彼らの任務は完了したのです」



 なんてことだ……。


 宇宙船の機能が使えなくなったということは、外に出してあるボット以外は全て使えなくなったということだ。


 特に医療ボットは優秀だったが、もう使えなくなってしまった。外にあるボットたちは、エネルギーが切れたものからお終いになる。



「ステラ、俺が止めたことを恨んでいるか?」


「いいえ。あのまま宇宙船内に取りに行っていたら破壊されていました。私としたことが愚かな行動でした」


 沈着冷静なステラですら、咄嗟に判断を間違えるほど衝撃的な出来事だったのだ。



「それ以上に、マスター。私たちザイノイドのエネルギー源であるエネルギーコアが全て破壊されてしまいました。もう……交換できません」


「あっ……」


 ステラの台詞に、カズヤの身体が凍り付く。


 ザイノイドにとっての命綱、エネルギーコアが全て破壊されてしまったのだ。



「そ、そうなのか……俺たちはあとどれくらい動けるんだ」


「マスターはあと3日程しかもちません。活動量にもよりますが、このまま戦闘を続けると更に短くなる可能性もあります。そろそろ交換する時期だったのですがタイミングを逃してしまいました。私もあと1週間くらいでしょうか」


 ステラの言葉が、死刑宣告のようにカズヤの頭に響いた。



「僕もあと1週間ですね……」


 後ろにいたフォンも自らの活動限界を報告する。


「それだけじゃありません。私とフォンはエネルギーが無くなっても再びエネルギーコアを入れれば元に戻ります。でもマスターは生物部分を残しているので、生命維持ができないと今度は助けることができません……」


 衝撃のあまり、カズヤは立ちすくんだ。



 余命通告を受けたのと同じだった。


 無敵だと思っていたザイノイドにも弱点がある。


 その一つが、このエネルギーコアだった。


 その全てが破壊されてしまった。



 このまま何も手を打たないと、3日後には機能が停止してしまう。


 カズヤの中枢神経は人間の時のままだ。生命維持に必要なものが無くなれば活動することはできない。


 ザイノイドになったことで寿命が伸びたかと思っていたが、むしろ短くなってしまったのだ。



「俺はあと3日の命なのか……あと3日……」


 衝撃を受けたカズヤは冷静さを失い、言葉をうしなった。


「マスター、大丈夫ですか? ……マスター!」


 心配するステラの声が聞こえなくなるほど、カズヤは動揺していた。



 戦う以前の問題だった。たとえ戦いに勝利したとしても、残りの寿命は決まっている。


 自らが生き残るすべが消え失せてしまった。



「俺は……何のために戦えばいいんだ……」


 全身から力が抜けるような絶望感に襲われる。頭のなかが真っ白になり何も考えられない。



 カズヤは、その場に呆然と佇んだ――


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