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211話 一斉強化

 

「私たちを強化する方法は何かないかしら?」


 アリシアが提案する。


「なるほどな。防ぐことよりも、こっちが強くなればいい訳か。ステラ、何かないかな?」


「フォンが乗っていたバトルセクター《戦闘区画》に、デルネクス人の武器や防具が保管されています。それを利用するのはどうでしょうか」



 たしかに、フォンが乗っていたバトルセクター《戦闘区画》にある装備を、まだ詳しく調べていない。


 ラグナマダラとの戦いの時に、A.F.A.《アサルト・フライトアングラー》や幾つかの武器を取り出したが、どれも強力な性能だった。


 そこにある武器を使えば、もっといい戦いができるはずだ。



「ラグナマダラの時のフォンの武器も強力だった。他にも使える武器があるかもしれない」


「そうと決まれば、まずはマスターを戦闘型ザイノイドへと移植しましょう。脳や神経系はそのままにして、外殻部分だけ変更します」


「えっ、そんなことができるのか!?」


「ザイノイド同士の移植なら簡単です。生物部分はいじらないので、人格が変わることもありません。戦闘型の身体の予備が、まだ残っているはずです」



 ステラの提案通り、ただちに移植手術が行なわれた。


 見た目はステラの強い希望により何も変わっていない。そして判断力や記憶力も、生身の身体の部分も変更はない。


 しかし腕力や脚力、防御力などは以前と比べると格段に性能があがった。


 これでカズヤは、ついに戦闘型ザイノイドへと姿を変えたのだ。





「カズヤさん、これを使ってください」


 戦闘型に変わったカズヤに、フォンが新しい剣の柄を手渡してくる。柄の表面は滑りにくいように溝が付いていて、何らかの合金でコーティングされていた。


「プラズマブレードという上位互換の剣です。戦闘型にも有効ですよ」


 カズヤが受け取ると、ずっしりとした重量感が伝わってくる。



 柄を握って試しに刀身が出るように念じてみると、鋭い音とともに光の刃が出現した。


 プラズマの粒子が空気を震わせ、蒼白い輝きを放つ周りの空間がわずかに歪むような錯覚を覚える。


 使い方は電磁ブレードと同じだ。戦闘型にも通用するのは心強い。




 そしてカズヤだけではなく、他のみんなの戦闘力も上げなければいけない。


 カズヤはアリシアたちや黒耀の翼を集めると、デルネクス人対策の相談をはじめた。


「俺は少しはマシになった、ステラはどうするんだ?」


「考えがあります。フォン、A.F.A.《アサルト・フライトアングラー》を5機借りるわよ」


「えっ、5機も同時に使うのかい!? 僕たち戦闘型は2台までしか同時操作できないのに……」



 ステラは自分の周囲に、戦闘用のF.A.である小型のA.F.A.を5機配置する。


 交戦時のステラの背後には、複数の砲台を備えたA.F.A.が浮かぶことになる。自分と連動させて背後から攻撃させるのだ。


 一度に5機ものA.F.A.《アサルト・フライトアングラー》をコントロールするのは、ステラのような情報型ザイノイドでなければできない芸当だった。


「すごいね……。僕も戦いたくないくらいだよ」


 戦闘型である剣聖フォンがステラの装備を見て怯える。それほどまでの攻撃力なのだ。



「……あの、前から気になってたんだけど、カズヤたちに強化魔法を使ったらどうなるのかしら?」


 アリシアの純粋な疑問だった。


 科学技術のかたまりであるザイノイドに、魔法による強化をかけたらどうなるのか。


 バルザードは魔力を使うことで基礎能力の底上げを行なっているし、シデンの得意技は自身の強化魔法だ。



「試しにやってみようか?」


 アリシアが、カズヤに強化魔法をかけてみる。


「……これは、動きがまるで違うな。こんなにも変わるのか!」


 強化魔法の効果で、カズヤの攻撃力や防御力・瞬発力があがる。カズヤやステラ、フォンのザイノイドも、魔法で強化することができるのだ。



「バルやシデンたちも強化が必要だな」


 カズヤやステラたちだけでなく、バルザードたちも戦力を高めなければいけない。


「バトルセクター《戦闘区画》にある、デルネクス人の武器や防具を使ってみましょうか」


 ステラの提案で、バルザードと黒耀の翼にデルネクス人の武器と装備を渡す。特に防具は、直接的な衝撃を大きく軽減する能力を持っている。


 そして全員にヘッドセットを渡してお互いの連絡を取りやすくした。



 最後にカズヤは、一番気になっていた人物に声をかけた。


 前回の戦いの後から様子が大きく変わっていて、密かに心配していたのだ。


「それより……おいシデン、大丈夫か? 新しい装備を渡すから、使えそうか判断してくれよ」


 シデンは頷くばかりで返事をしない。


 前回の戦闘以降、シデンの雰囲気が一変していることにカズヤは気が付いていた。


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