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199話 指令

 

<……カズヤさん、今の指令が聞こえましたか!?>


 フォンから慌てた様子で、カズヤに緊急の内部通信(インナーコネクト)が入る。



<いや、聞こえていない。何が起きているのかまるで分からないんだが……。ステラが何やら真剣な顔で情報を集めてるぞ>


<なるほど分かりました。方針が決まったら共同で動きますので、すぐに連絡ください>


 そう言うとフォンの内部通信(インナーコネクト)が切れた。



(何だ、いったい何が起こっているんだ……)


 ステラとフォンの様子は尋常ではない。


 嫌な予感がカズヤを襲ってくる。



 ひと通り状況が落ち着いたのか、ステラが片耳から手を放した。


 しかし、差し迫った表情なのは変わりない。


「……マスター。この星で生き残っているザイノイド全員に招集がかけられました。発信元はデルネクス人からです」



 デルネクス人!?


 デルネクス人とは、宇宙船やステラやフォンを作った創造主だったはずだ。300年前にこの星の調査に来た時に、ラグナマダラの首に装置を付けていたことも判明している。


「そんな奴らが、なぜ今更指示を出しているんだ!?」



「ひょっとしたら、宇宙船の墜落後に私が発した通信が本国に届いていたのかもしれません。私の方は故障のため何も受信できていませんでしたが」


 300年前に宇宙船が墜落した後、ステラは様々な方法でデルネクス本星へ通信を送ったが、返答が無かったと言っていた。


 しかしそれは返答を受信できなかっただけで、ステラの報告が届いていた可能性はある。


 だが、なぜ今さら招集をかける必要があるのか。



「招集だって? 俺には何も聞こえなかったんだが……」


「マスターはこの星で新たにザイノイドになった人間種です。彼らの支配下にはありません。デルネクス人の宇宙船が再びこの星にやってきています。私やフォンのような生き残りのザイノイドがいたら、すぐに報告するように命令がきました」



「なんだって!? ステラはその命令に応じるのか?」


「いいえ、応じたら彼らの支配下に組み込まれてしまいます。まだこちらが警戒されていないので、墜落した宇宙船経由で作戦情報が伝えられています」


「いきなり、デルネクス人って言われたって……。今さら何をしに来たっていうんだ」



「以前と同様に、生物の遺伝子収集と資源調査が目的でしょう。そして私たちの宇宙船がなぜ墜落したのかを探ることも、新たな任務に入っているようです」


「遺伝子収集ってどういうことだ? 何か意味があるのか」


 有限の天然資源である資源調査の有益性については理解できる。


 だが、わざわざ違う星まで来て、何のために遺伝子収集をするのかよく分からなかった。



「遺伝子収集はデルネクス人の重要な調査目的の一つです。例えば生物が1つの種として長い期間生存していると、遺伝子に多くの病気や先天的な欠陥を抱え込んでしまうことがあります。特に異星を調査すると、その星の未知のウイルスに感染することもあります。それらを治療する薬を開発するにあたって、ゼロから産み出すのはかなり困難なのです」


 なるほど、いくらデルネクス人の先進的な科学力でも、全ての病を簡単に治せる訳ではないということか。


 未知の異星を渡り歩くのであれば、なおさらだろう。



「しかし、その未知のウイルスに免疫力をもつ現地生物を見つけられれば、病気に対処することが容易になります。この星は緑と水が多く、他の星と比べて良くも悪くも特殊です。人間や動物だけでなく、魔物や魔法といった多様性に満ちています。デルネクス人にとっては格好の実験室なのです」


 この星の生物たちが、デルネクス人のおもちゃになる可能性があるということか。


 カズヤの心に義憤が湧いてくる。



「でも、ステラの宇宙船の墜落から300年も経っているじゃないか。何でこんなに時間がかかったんだ?」


「デルネクス星系は別の宇宙にあるので、宇宙船で真っ直ぐ飛んでも300年近くかかります。私たちの船から送信が途絶えたので、追加の調査船を出したパターンも考えられます」


 別の宇宙という意味がよく分からないが、片道だけで300年もかかるなんて途方もない距離だ。



「やってきた奴らの宇宙船っていうのは、どのくらいの規模なんだ?」


「私たちの時よりも少し規模が大きいようです。今なら作戦上の彼らの装備や陣容を把握できます。一番気を付けるべきなのは、フォンのような戦闘型ザイノイドを5体も連れてきていることです。個体名はそれぞれレオ、ルー、ダン、ニコ、イバです」


「なんだって!? フォンみたいに強いザイノイドが5体も……」



 カズヤは、かつてフォンと戦った時のことを思い出す。


 シデンやバルザード、ステラと共闘しても、まるで歯が立たなかった。それほどまでに強力な戦闘型ザイノイドを、5体も同時に相手にするのは不可能だ。


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