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185話 決戦・ラグナマダラ

 

 ラグナマダラとの決戦の日がやってきた。


 そこにはすでに、カズヤとステラ、アリシアとバルザードが待っていた。いつもは頼りになるピーナだったが、今回は念のためセドナでお留守番だ。


 おそらくどんなに近距離で電磁ブレードやブラスターを振り回しても、急所にあたらない限り有効な攻撃にはならないからだ。



 そして前回と同様に、ハルベルト帝国から駆けつけた皇帝兼剣聖であるフォンの姿もあった。


「フォン、何度も呼び出してすまないな」


 困るたびに気安くハルベルト帝国の皇帝陛下を呼び出してしまうことに、カズヤは少なからず申し訳なさを感じていた。



「いえいえ、まったく問題ないですよ。お陰様で権威主義的な貴族たちを、徐々に政治の場から追い出せています。あとは、新しく登用した者たちの頑張りと、新たな国家体制に国民が慣れてくれることですかね」


 フォンの言葉通り、大きな問題はなく進んでいるようだった。


 ザイノイドとしての賢さと剣聖としての強さを持つフォンに、正面から逆らおうとする者は少ないだろう。



 そして、シデンたち黒耀の翼のメンバーもカズヤたちと合流する。


 今回の相手はS級モンスターのラグナマダラ――この世界で何百年間も誰も倒せずにいる魔物だ。


 カズヤたちはそんな相手を倒して、歴史を変えようとしているのだ。



 皇帝となったフォンを初めて見たシデンは、カズヤに尋ねた。


「この剣聖が、いまのハルベルトの皇帝なのだろう。ハルベルト帝国が正式に対アビスネビュラの同盟に加わることはないのか?」


「もちろんそのつもりなんだけど、もう少しハルベルト国内が落ち着いてから表明してもらう予定なんだ。戦争が終わって皇帝が変わったばかりだからな」


 そのことについては、すでにカズヤはフォンと相談していた。



「それに、正式に反抗したらハルベルトの経済や魔法にも影響がでるだろ? もう少し様子を見ながら動こうとも思っている」


 対アビスネビュラを宣言してしまったら、通貨使えなくなったり貿易が止まったり国内で戦闘魔法が使えなくなるのは間違いない。



「もちろん、たとえ相手がアビスネビュラであろうと、今回のように戦闘が始まればいつでも参加しますよ」


 フォンも対アビスネビュラの同盟を結ぶことには前向きだ。フォンが皇帝でいる限り、カズヤたちの味方でいることは間違いない。


 今後の戦略に合わせて、臨機応変に対応していくつもりだった。




 そして、シデンが新しく黒曜の翼の一員になった戦士をカズヤに紹介した。


 見た感じは優男風だが、がっしりとした重鎧を着こんで逞しい身体をしている。シデンと同じ金髪碧眼だが、髪の毛は短く切り揃えられていた。


「盾役として兄のプラクトを連れてきた。俺の1つ上の第4皇子だ」


「はじめまして、カズヤくん。世に轟くご高名は存じていますよ。よろしくお願いしますね」



 だ、第4皇子だって……!?


 またもや王族が出てきた。こんな危険な場所にノコノコ来るなんて、いったいこの世界の王族たちは何をしているのだ。



「ちょっ、第4皇子って……。おいシデン、なんでまた王族なんだ!?」


「こいつが入りたいって志願してきたんだ。騎士団でも指折りの強さだし盾役に相応しい。死んだら王位継承権争いが楽になるしな」


 そういってシデンは薄く笑う。


 これはとっておきの王族ジョークなのだろうか。笑っていいのか困ってしまう。



 シデンも兄であるプラクトを”こいつ”呼ばわりしているので、気の置けない関係なのかもしれない。


 たしかに王族は優秀な人間が多いと聞いたことはあるが、更に増えるとは想像していなかった。


 アリシアやシデンに続いて3人目の王族に、カズヤは頭が痛くなってきた。



「とりあえず……はじめまして、プラクトさん。戦闘になったら敬語でなくなるかもしれませんが、よろしくお願いします」


「プラクトでいいですよ。いつもシデンからカズヤくんの話は聞いています。シデンの奴が、こんなに楽しそうに話すのは珍しいですから」


「プラクト、余計なことを言うな!」


 プラクトの告げ口を、シデンがいらだったように遮った。



 想定外のプラクトの登場で少し気が緩んでしまったが、相手はS級モンスターのラグナマダラだ。


 ステラの衛星による監視もあり、巨大なラグナマダラを見つけ出すことは簡単だ。


 手分けしてウィーバーに乗り込んで接近する。カズヤやステラ、フォンにとっては2回目の対決だ。



「いまは休んでいるようですね。しばらく動いていません」


 ステラの言葉通り、ラグナマダラの姿を視覚センサーでとらえる。


 漆黒の巨大な身体に、大きな翼がそびえたつ。


 こちらの姿を認めると、威嚇するように大きな叫び声をあげた。その場を支配するような強烈な威圧感が周囲を覆う。


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