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教会の食堂にて

「俺ってあんまり人の悪口とか言うタイプじゃないんですけど……」


「わかってる。総長はその、頭がかた……いや、伝統を重んじる方なのだ」

「苦労してますね」


 ソーチョーにダンジョン攻略の命令をもらった後、俺たちは場所を教会の食堂に移した。


 ミラービーストに対する今後の対策を話し合うためと……あとアレだ。

 そろそろ腹が減りすぎて、目が回ってきたのもある。


 ヘルメットを脱いだラレースは髪の毛を後ろにまとめている。

 彼女は兜を小脇に抱えながら、白いプラスチックのテーブルについた。


 しかしなんだ……この食堂にある物も、片っ端から白いな。

 壁や床、テーブル、椅子、食器、何から何までだ。


 何かこう、偏執的な執着心を感じるぞ。


「さて、何でもは無いですけど、何にします?」

「ラレースさんのオススメは?」


「牛乳に白米、ヨーグルトに豆腐――」


「ゲッ! 食事まで白一色?!」

「フフ、冗談です。ちゃんと色付きのもありますよ」


 ラレースにメニューを見せてもらう。

 一応だが、和食もあるようだ。せっかくなので頂こう。


「これと、これを……」

「はい、はい、わかりました。じゃあ取ってきますね」

「ありがとうございます!!」


 もちろん支払いは彼女持ちだ。

 ウゥッ……もし今、石を投げられたとしても、何も言えねえ。


 彼女は食堂の片隅にある祭壇をへ行った。

 神気を捧げて祈ると、何もないところからトレーに乗った食べ物が現れる。


 これぞ神の奇跡ってやつだな。

 あっさりすぎて、奇跡の有り難みもどこへやらだけど。


「おまたせしました」

「わぉ!」


 俺の前に差し出されたのは、トレ―に乗ったシャケ定食だ。

 ありがてぇ……。


 一方の彼女は、何かお洒落なパスタ的存在を手に取っている。

 全く名前も何も分からないが、うまそうだ。

 

「「いただきます!」」


 久しぶりに椅子に座りながら食事を摂った気がする。

 ダンジョンではクソ硬い床に尻を預けるか、立ちながらだからなー。



 食事が終わり、食器を片付けたところで、例の話になった。


「ミラービーストの件ですが、総長にあの様に言ったものの……」


「ちょっと難しいですよね。モンスターって基本死んでも復活しますし。そうなるかなーとは薄々思ってましたが……」


「倒しても無意味、ならばどこかに封じ込める……ことも出来ないんですよね」


「俺の姿を幻影として出されてしまうと、壁を破壊されちゃいますからね」


「となると、ツルハシ男さんの幻影を無力化する必要がありますね」


「幻影を無力化した上で、封印する……うーん……」


「私達だけで話してもいい考えが出そうにありませんね。彼らに聞いてみますか」


「え、彼らって、誰に?」


「掲示板、スレの人達です」

「俺ってスレッド立ってるんですか?!」


「はい、ツルハシ男さんをずっと見ているスレッドの人たちが居ます。彼らは色々と考察をしているので、何か良いアイデアを出せるかもしれません」


 まさかそう来るとは思わなかった。


 しかし……ツルハシ男スレってことは――

 俺をバカにしていた連中を頼るってことだよな。


 何かモヤっとした怒りみたいなものが、俺の腹の中に(くすぶ)る。


「彼らはツルハシ男さんがダンジョンの壁を壊せるようになってから、ずっと心配していたようですから、きっと力になってくれると思います」


 それはただ、ネタとして扱って、面白がっているだけだ。

 連中は俺のことを、叩けば面白い音が出るオモチャ程度にしか思っていない。


 俺は正直にそう言いたかったが、彼女の思いやり、純真な心に泥を塗るようで言えなかった。クソッ、まるで俺が最悪なやつみたいだ。


 いや、そもそも俺はそういうやつだったな。

 バカにされて、バカにし返すためにツルハシを振り続けたんだ。


 色々な感情が込み上がってきて胃の下あたりがザワつく。

 ラレースはそんな俺を青色の目で不思議そうに見ている。


 ええい、もう、なるようになれ、だ。


「どうしました?」


「……何でも無いよ。俺とは違う、別分野の探索者なら何か良いアイデアを閃くかも、そういうことですよね?」


「はい、その通りです。色んな人がいますので」


「ダメ元でやってみるか。スレのURLは?」


「はい、ここに――」



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