表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/235

ガーゴイルとの戦い

「防御スキルで何とかしのぎましたが、体勢を整えてまた来ますね」


『ほんと地上のモンスターってパないよねー』


「バーバラさん、もっと威力のある一撃は撃てないんですか?」


『できるけど……真っすぐ飛んでくるヤツにしか当たんないよ?』


 バーバラはリンと鈴のような音を鳴らして、弾を込めなおす。


 いまこの場でガーゴイルと対抗できる火力を出せるのは、彼女だけだ。

 それを活かす方法……そうか!


「ラレースさん、俺にはガーゴイルに対抗する手段があります。ですが……」

「なんです?」

「素材が必要です。『こいつ』を使ってもいいですか」


 俺が指さしたのは、バージの船倉に入っていた鉄クズだ。

 これを素材として《《あること》》に使えば、空の上のガーゴイルに対抗できる。


「バーバラ、緊急避難ということで、いいな?」

『いいですけど、こんど始末書を書くの、手伝ってくれます~?』


「……3枚までだぞ」

『こんな状況です、仕方ないですよね!!』


「ありがとうございます! じゃ、早速始めます」


「操舵手、できるだけ回避運動を取って、ガーゴイルの突入を阻止しろ!」

『アイアイ、マムッ!!』


 ラレースさんが時間を稼ぐよう、指示を飛ばした。

 ――ありがたい。


 バージの後ろの船は真っ直ぐ進むのをやめ、鋭く(かじ)をきり始めた。

 この時間はムダにできない。手早く動こう。


 俺は鉄クズにツルハシを振るってどんどん素材にしていった。

 すると、表示枠の資源のカウントが回って増えていく。


 ……よし、これくらい集めればもういいだろう。


「ラレースさん、設計図をおいていくので、ハンマーをお願いします!」

「はい!」

『ハァ? 設計図って、どーゆーこと?』


「まぁ、見ててください」


 俺は建設メニューからガンガン設計図をおいていく。

 それに次々とラレースがハンマーを打ち込んで実体化させていった。


 たちまちのうちに、バージの左右に鉄の壁が現れる。

 これだけでもガーゴイルはかなり攻めにくくなるはずだ。


『スッゴ……ツルハシくん、こんなの配信で使ってなかったじゃん!』

「はい。これって今日、手に入れたスキルなんで」

『ふぇ?!』


「ラレースさん、次はこれにハンマーをお願いします!」


 俺はある設計図をバージの甲板に追加で置いていく。

 それを見た彼女は、ふぅ、と呆れたような声を上げた。


「……なるほど、これは予想してませんでした」


 俺が次に置いたのは2重のスロープだ。

 スロープは後方の船に向かって作って、船の屋根くらいの高さにした。


 斜めのスロープを重ねるように作ると、もう一方は屋根になる。

 こうするとガーゴイルは屋根が邪魔になって、直接攻撃ができない。


 下の方、接続部分が弱点になるが、そこには壁があって守られている。

 そうなると必然的に狙い所はバージを押している後ろの船になる。


 が、スロープがそちら側に延びていると?

 俺たちが足場にしている下のスロープが攻撃の邪魔になる。


 我ながらヒドイわコレ。

 ガーゴイルからしたら、相当イライラするだろうな。

 

 彼女は上と下に器用にハンマーを叩きつけていく。

 ラレースさんの身長が高くて助かった。俺だったらきっと届かない。


『もう回避の限界です!! 切り返しても食いつかれます!!』


 後方の船から悲痛な叫びが上がった。

 時間切れか!


「上空のガーゴイルがこちらに進路を取りましたね」

『また来るよ!!』


「ラレースさん、これが最後です!」


 俺は仕上げとして、スロープの上に小さな壁を作る。

 バーバラの安定した射撃のためだ。


 これ以上俺ができることは、もう無い。あとは彼女次第だ!


<ガンッ!>「出来ました! どうぞ!」

『あざーーすっ!』


 バーバラは俺が置いた壁に銃を固定して、ガーゴイルに狙いをつける。


『さっきはちょーっと、ひよっちゃったけど……』


『こんだけ真っ直ぐなら外さないよね!』

『墓までとんでけッ!!「ボンバード」!!』


<――ドゴンッ!!!>


 それは銃声、というよりは砲声といったほうが正しかった。


 さっきの倍以上の爆炎が上がり、オレンジ色の弾丸が飛び出す。


 その弾丸はただひたすら、まっすぐに進む。どんな障害があろうとも。

 ガーゴイルの翼の根本に触れた弾丸は止まらない、そのまま片翼をもぎ取った。


 翼を失ったガーゴイルは空の上でバランスを崩すと、バージのはるか手前の海に落ち、そのまま沈んでいった。


 バーバラは少しの間、銃を構えたままだった。


 しかし、ガーゴイルが水面に浮き上がってこないのを認めると、再び心地よい「リン」という音をさせて、役目を終えた薬莢を銃から抜き取った。


『最初が豆鉄砲だったからって、ディスってたねアレ』


「まさか、そこまで計算して……?」


「彼女のことは私がよく知っています。それは無いです」


『そうやって人のせいにして、ギスるのはよくないと思いまーす』


「助かりましたが、ツルハシ男さん、また仕事が増えましたね」

「え?」


「バージをこのままにしておけませんので」

「あー……」


 俺は波間に消えた襲撃者を呪いながら、さっそく後片付けに取り掛かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ