建築の使い方
「建築の使い方は?」
『うむ、そこらへんの瓦礫にツルハシを振り下ろしてみよ』
「ん、ガレキに?」
俺は半信半疑で、近くにあった壊れたブロック塀にツルハシを打ち込んでみた。
すると、ダンジョン内で採掘するのと同じ様に、ガレキは消え去った。
「すげぇ! ガレキの除去も出来るのか」
『所持品に「コンクリート」が追加されているはずじゃ。それを集めてみよ』
「よし!」
俺は廃墟のコンクリ塊をツルハシで砕いて、30個のコンクリを集めた。
単位が何を示すのかよくわからんが、これでいいのか?
「30個集めたぞ。で、次は?」
『スキルの「建築」を発動するんじゃ。表示枠からでも良いし、直接、口で建築と言って祈っても良いぞ』
「建築! ……おぉ?」
俺の目の前に表示枠がもう一つ出てきた。
建築メニュー? 右にはコンクリート30と書いてある。これは在庫の表示か。
『後は建築メニューから押していけば、お主の作ろうとする意識に合わせ、おのずと適したものが出てくるぞ』
「検索いらず……てコト!?」
「まるでスキルがツルハシさんの思考を読んでるみたいですね」
『ふむ、それは良い例えじゃな。では、橋を作りたいと願ってみよ』
「よし……」
橋を作りたい! 橋を~つ”く”りた”い!!……お、ほんとに出た。
作りたいものを願いながら表示枠を押したら、本当に一発で石橋が出てきた。
俺はそのまま表示枠にある石橋を押す。
すると、俺の目の前に亡霊のように透けた橋が出てきた。
橋の亡霊は俺が指で指図すると、場所をゆっくりと移動する。
何か動き方に微妙な慣性がついててキモいぞ!
「わっ! なんですかこれ!?」
「ラレースさんにも見えるのか……大国主、これを設置すれば良いのか?」
『うむ。それは設計図じゃ。やってみよ』
俺は目の前の崖に、石橋の亡霊を置く。
すると、建築用の表示枠に出ているコンクリートのカウントが減った。
なるほど、設計を置いた段階で資源が消えるのか。
『あとはハンマーでこの橋の亡霊を叩くと良い』
「ないぞ」
『えっ』
「ツルハシしか無いぞ」
『そうじゃった。むむむ……』
「あの……代わりに私が叩いても平気ですか?」
『うむ、ラレースちゃんなら、まま、ええじゃろ!!』
「軽いなオイ」
『ちなみにつるはしで叩くと、設計図を回収することになるぞ』
「ほうほう」
「では、いきます!!」
<ガンッ!!!>
ラレースが戦鎚を振り下ろすと、石橋がドンッと実体化した。
すごッ!
「このまま作っていけば、向こうに渡れそうですね」
「よし、次のを置いていきますよ」
「はいっ!」
ラレースさんと一緒に作業を続けると、ほどなく石橋が完成した。
「よし、これで崖を通れるようになったな」
「この近くに住む方の助けにもなりましたね」
『今はまだ簡単なものしか作れんが、お主が設計図を置き、作られるたびにスキルは上がっていく。いろいろ試してみると良い』
「ああ、ありがとうな大国主。で、ちょっと聞きたいんだが」
『なんじゃな?』
「このジョブ、神気にして……いくらだ?」
『じゃあの』
「逃げやがった!! あーーー! 神気が全部無くなってる!!」
「性能的に安くはないとは思いましたが、全財産ですか……」
「ウォォォォォッ!!」
俺は叫び、獣のようにはいつくばった。
そして、こらえられない悲しみに心を押しつぶされ、声を上げて泣いた。
それはもう、男泣きに泣いた。
すみませんラレースさん。
絶対あとで返すんで、昼夕のごはん、分けてください。
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