ランドメイカー
死の街。
今の東京を一言で表すなら、それしかないだろう。
灰に覆われ、焼け焦げたビルが亡霊のように立ち尽くす。
そんな町並みを俺たちは進んでいた。
しかし、あるものを目の前にした時。
俺たちが前へと送り出す足がぴたりと止まった。
「ラレースさん。芝浦埠頭までの橋が落ちてます」
「……不味いですね。迂回していたら結構な時間を食います」
俺たちは浜離宮を南に行き、芝浦埠頭で船を待つ予定だった。
しかし、地図上では橋があるはずの場所が崖になっている。
「老朽化かなんかで、崩れ落ちちゃったかー」
「迂回するとしたら……時間的にはかなりギリギリですね」
「ダンジョンのブロックで道をつくるか――あれっ?!」
「どうしました?」
「ブロックの表示が赤くなって……置けなくなってる!」
「ダンジョンの外に、ダンジョンの物を置くことは出来ない。ということでしょうか?」
「ラレースさんの言う通りみたいですね。他のものも軒並みダメです」
その時、ぴょいんっとあるものが表示枠から飛び出してきた。
普段以上に笑顔の大国主だ。
『なら、新しく作るのはどうじゃ?』
「大国主!? え、そんなことできるの?」
『もちろんじゃ。「建築」スキルならそれができるぞい!!』
「え、でも俺、採掘師だぞ? まさか……」
『そうじゃ、おぬし、そろそろ新しいジョブはどうかのぅ?』
……そう来たか。
「ジョブとスキル購入を勧める。まさか営業って……コト!?」
『ま。そんなところじゃの』
「大国主様、そんなツルハシさんの弱みに付け込むようなことを……」
『まぁまぁ待ちなされ。これはツルハシ男のためでもあるんじゃ』
「ほんとぉ? アナタのため~ってサギの常套句じゃん。うさん臭いなぁ……」
『ツルハシ男は、貯め込んだ神気を吐き出さんと、逆に損なんじゃよ』
「えっ、それは一体どういうことです?」
『うむ、それはじゃな……こやつが配信でもらったお布施があるじゃろ? あれがちょっとばかし、いや、だいぶ洒落にならないことになっておってな』
『まあ具体的な額でいうと5000万近くの神気があるんじゃ。このままでも良いんじゃが……奉納額は累進、数量の増加に従い、比率が増すので――』
「説明がエライ生々しいなオイ。」
『このままだと、5000万の神気の50%以上を奉納でブン取られるぞ』
「よし、ジョブ変えるわ」
「判断が早いッ?!」
『ホッホッホ!!お買い上げありがとうございます!!』
「まてまて、一体どんなジョブなんだ? 採掘ができなくなると困るぞ」
「そうですよ、大国主様。採掘と建築が一緒にできるジョブでないと困りますよ」
『そう焦るでない。お主に与えるジョブは「ランドメイカー」国造りの御子じゃ』
『土を起こし、国を造る。そういったジョブじゃ』
「……ねぇ、なんかヤバいこと言ってない?」
「はい。私の聞き間違えでなければ、国を造るとか……」
『そんなビビらんでもよい。国を作ると言っても、道を作る、ため池を作る』
『――そして、橋を作る。そういったものよ』
『そもそもお主に、国なんてだいそれた物が作れるか?』
「無理!!!」
『じゃろ? そこまで不安を感じなくて大丈夫じゃ』
『名前は仰々しいが、そんな大したものではない。ホッホッホ』
「そんならいいけどさぁ……今までのスキルの成長は引き継げるタイプ?」
『うむ、そこは抜かり無いぞ』
「おぉ! さすが大国主!」
『ではお主に新しいジョブを授けておくぞ。……ほい終わり。』
表示枠を見ると、たしかに「採掘師」から「ランドメイカー」に変わっていた。
オイ。神道系なのに外来語使ってええんか。
まあそれはそれとして、早速やってみるか!!




