表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/235

ミラービースト

「何よあれ、何よあれ……ッ!」

「あんなの、インチキじゃないッ!」


<逃げてるwwww><斬姫wwww無様すぎるwww>


 のほほんと暖かい場所でコメントを打ってるクズども……!

 イライラする……!


 私は首狩り斬姫、私に斬れないものはない、なのに……!


 あのバケモノ、カタナは防ぐ、スキルも防ぐ。

 話が違うじゃない!!


 本来リッチは切断と火属性に弱い。

 弱点をついて一時的に無力化し、護符を破壊する。


 やることは理解して、準備もした。

 それなのに、まるで戦いにならなかった。


 リッチは切断攻撃を完全に防ぎ、炎もオーブのようなアイテムで弾き返した。


 そして極めつけは護符だ。


 本来、部屋中央の柱の上で、リッチの護符はバリアに守られている。

 護符は一つ。置き場所も固定。そのはずだった。


 だけどあのリッチは無数の護符を円環状に展開してきた。

 あれは数百枚、いや、数千枚かも知れない。


 いくら攻撃しても、護符を焼いても、不死者の王は倒れなかった。


 ある凸探索者がとっておきの炎の嵐で護符を全て焼き払った。

 しかし、焼いても直ぐに次が来た。ギミックが全くわからなかった。


 護符が飛び交う中、リッチは冷酷で無慈悲にこちらを魔法で焼いてきた。

 10人以上いた凸探索者は全滅。私も逃げるしか無かった。

 

 あのリッチ、完全に私たちの知っているリッチじゃなかった。


 ……そうか。

 神のクソ野郎、だからクエストを出しやがったんだ!!


 これは「宣伝」だ。

 新しいおもちゃを作ったぞ、だから攻略してみろっていう……!


 餌で釣って騙し討ちしやがったんだ! 性悪め!


「クソ! クソ! クソが!」


 もう配信は終わらそう。

 コメントを見ているだけでイライラする――


 私は足を止め、配信を止めようと表示枠を操作する。

 しかしそこでコメントの異変に気づいた。


<後ろ!後ろ!><なんか、なんだあれ?>


「え?」


<ドンッ……ズグッ!>


 目の前に愛刀を持った私の右腕が飛んできた。

 切られた?

 いや、弾けた?


 ちらりと右を見る。

 上腕の中に何かが入っている。透明な何かが。


 次第に血に染まって、それが形をつくっていくのがわかる。

 これは骨、骨の矢だ。


 こんなのは知らない。はぐれボスか? 一層に?

 頭の血管が切れそうだ。本当にこのダンジョンって最低。


 表示枠の配信に倫理フィルターがかかるのが見えた。


 私の姿が可愛らしいぬいぐるみになっている。

 これが掛かったということは、私はもう終わりということ。


 ……しまったな。ぬいぐるみの手には指がない。


 最後に配信画面に向かってやってやろうと思ったのに。

 立てる中指が無くなったのが残念――。

 

<ズガッ! ガリリッ、ズン! ザグッ!>


「ガハッ いだい”ッ ガッごぼぶぶぶッ」

『アハハッ くすぐったいよ! きゃはー!』


 配信を続ける画面には、可愛らしいサムライ人形と透明な何かが映っていた。


 それは人形の四肢を引きちぎるが、それでも満足していないようだ。

 人形のお腹から綿を出してもて遊ぶ。そして顔らしきものを突っ込んだ。


 すると、見えない何かが綿色に染まっておぼろげに姿を現す。

 人形と同じく丸っこい姿のそれは、一見すると白いカエルのようだった。


 二つの首を横にのばし、細長い足をバッタの様に折りたたんだ《《それ》》は口に含んだ獲物に満足したのだろう。


 現れた時と同じように、周囲の背景を自分の体に写し込み、音もなく消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ