喰い付いた!
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「よしよし、これで全部終わったかな?」
俺は配信が終わった後、水底に沈んでいた探索者の弔いをしていた。
ま~これが出るわ出るわで……。
「カッパのことを可哀想、とか一瞬でも思ったのが間違いだったわ」
『そうじゃのう。いやはや疲れたわい』
「お疲れ大国主。……カッパども、流石にこれは殺しすぎでしょ」
カッパのごみ捨て場所的な所にあった死体の数は……うん。なんていうのかな。
ぱっと見一瞬で、数えるのを「あ、無理だわ」と理解させる感じだった。
「こりゃ個別に葬儀してたらなんぼ時間あっても無理じゃわ」って大国主も言うもんだから、ポイントポイントで合同葬を行った。
一応これでも「神の御前」とやらには戻れるはずなので、大丈夫だ。
個別で葬儀したのと比べると、得られる神気は減るけどね。
「さて、神気の方はっと……」
探索者のレベルが10~30とまちまちなので、ちょっと正確なところは不明だ。だけど、表示枠の神気の表示から大体するに……50人くらいは弔ったかな?
「神気が80万とかなってますよセンセイ。毎日白い米が食えそう」
『誰がセンセイじゃ。無料働きさせおってからに』
「悪い悪い。でも、どうせ『奉納』するからいいでしょ?」
『ま、それもそうじゃな』
この「奉納」だが、奉納と言っても、神社にお賽銭を入れたり、お酒を捧げたりといったものとは、ちょっと意味合いが違う。
この時代の通貨は紙切れのお札やコインではなく「神気」だ。
アレもコレも、表示枠はもちろん、猫も杓子も神気で動く。
となるとですよ奥さん。
あるモノも神気で払うことになるんですねぇ……。
――そう、皆が大嫌いな「税金」だ。
俺たちの時代では、通貨といえば完全に神気に置き換わった。
だから都市に収める税金も神気で払う。
だから「奉納」だ。
なぜ「納税」という言葉を残さなかったのか。
クソッッ!!
強制なんだから、もっと邪悪でおぞましい「納税」という言葉を残すべきだ。
「奉納」では、俺たちが喜んで払ってるみたいじゃないか!!
チックショーーー!!!
はぁ……はぁ……。
ふぅ、つい熱くなった。
そしてこの奉納。
たちの悪いことに奉納率《納税率》は、ジョブ、職業のランクに依存する。
つまり、高ランクのジョブにつくと、それだけで税率が上がる。
ねぇ、頭おかしいの?
収入に関わらず上がる税金って何? ファーック!!!
強いスキルを使おうとしてジョブを上げると、税金も上がる。
このとんでもシステムのお陰で、おれはずうううううっと採掘師のままだった。
そりゃそうだ。
4ヶ月以上も壁を叩くのに、わざわざ上のジョブにする必要がない。
税金をより多く納める、それ以外の意味がないからな。
叩き終わった今なら上のジョブを目指しても良いかも知れないが……。
――いや、無いな。無い。断じて無い。
いまのところ、税金上がるデメリットのほうが大きい。
本当にこの奉納はヤバイからな。
表示枠から勝手に引き落とされるので、抵抗の術もないし。
逃れられぬカルマってかんじだ。
世界が燃え尽くされても税金が残るとか。
ほんとに悪い冗談だよ。
「はぁ……なんかどっと疲れた。仮拠点で寝よ」
『ほっほ、それが良いの』
すでにダンジョンの中も少し暗くなってる。
カッパ退治と溺死者の弔いでだいぶ時間を食ったようだ。
表示枠を見ると、時間は午後7時。
寝るにはちょっと早いが、まぁいっか。
「せっかくだし、今日はカレーに……お?」
なんか怪しい風体の4人組が、俺の目の前に立ちはだかっている。
黒衣を頭からすっぽりかぶって、明らかに怪しい。
まさか、強盗か?!
「お、お前がつ、つ、つる、つるはし男、だ、だな」
「ん? どなた?」
「な、なら、食いつけ、なんだ、な――!! 『シャドウサーヴァント』!」
シュルルっと黒い何かが地面を走り、ビタリと俺の体が動かなくなった。
ゲッ! なんだこれは――?!
「No.1 よくやった。影にしっかりと喰い付いた」
「う、うん。 く、喰い付いた! 喰い付いたんだな!」
(まさか、こいつらは……俺のスキルのことを知って?)
「さて、ツルハシ男。お前の持っているモノ。それをもらおうか――」
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「そのツルハシを!!!」
(……え?)




