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16/235

>>539サイド 到着

==ダンジョン板@ツルハシスレ(3)==

////シー…! お静かに願います! sage進行中////


223:名無しさん@迷宮警備員

539、時間的にそろそろ到着してるはずだけどな


224:名無しさん@迷宮警備員

到着した。まだ会えてないけど


225:名無しさん@迷宮警備員

お、生きてた。

539よ、せっかくなんでコテハン付けてくれ。

コテハン付ける方法はこれな。

あとトリップってわかるか?


226:名無しさん@迷宮警備員

ごめん コテハンって?

実は掲示板の使い方がよくわかってない


227:名無しさん@迷宮警備員

固定のハンドルネーム。お前さんの名前な。

で、トリップはなりすまし防止のIDみたいなもん


228:名無しさん@迷宮警備員

なんでもいいの? やってみる


229:名無しさん@迷宮警備員

個人情報入れるのは止めとけ

あーコテハンのほうはジョブでもなんでもいいけど


230:Lares◆oESsH

あっ だめなの?


231:名無しさん@迷宮警備員

手遅れでワロタ


232:名無しさん@迷宮警備員

あまりにもキレイな失敗に吹いた

そのままの君でいて



「むぅ、掲示板とは……難しいな」


 私は表示枠を流れていく掲示板の文字を見る。


 ……フフッ……え、そうなの?……意外と参考になるな。


 …………


 ……いけない。これくらいにして、目の前のことに集中するか。

 私はまだ(のぞ)きたいという欲望を抑え、表示枠の掲示板を閉じる。


「こら、マリア。画面を叩かない! もうおしまい!」


 私が掲示板を消すとマリアは不満げに、ぬいぐるみの手で画面を叩く。


 私はそんなマリアをなだめようと手をやるが、彼女はぷうと頬をふくらませて、私の肩の上まで逃げていった。まるでリスみたいだ。


 さて、私は目の前にある浜離宮ダンジョンの入り口を見た。

 ポッカリと開いた黒い空間。

 歩みを進めるたびに、穴へと流れ込む空気の流れが強くなる。


 これは気圧の変化に寄るもの。魔法やオカルトではなく、ただの物理現象だ。

 だが私にはこれが、このダンジョンがすべての命を飲み込もうとしている。

 そんな風に感じられた。


 入口の前に立った私は少しの時間、背中に風を浴びていた。


「……ふう」

 

 迷っていても仕方がない。フィルターは有限だ。

 私は、意を決して体ごと飛び込む。


「いつ(くぐ)っても慣れないな。」


 目に見えない、透明な羊膜(ようまく)をくぐり抜けたような異界の感覚。

 鎧の上からでも肉体をまさぐられるようで、実に不快だ。


 そのまま入り口から下へ向かう階段を降り、一層の広場に向かう。

 するとそこには、いつもの見慣れた光景が広がっていた。


 どのダンジョンでも、一階入り口付近は基本的にモンスターが立ち入らない。

 罠もなく、敵もいない。入り口はダンジョンで最も安全な場所なのだ。


 だから大抵のダンジョンの入り口には、沢山の人が集まる。

 そして、人がたくさん集まると、それを目当てに商売を始めるものもでてくる。

 それでもっと集まると、現地で仲間を探すものも現れて――


 ダンジョン探索者の「村」ができるのだ。


 行き交う探索者は色とりどりだ。戦士に魔術師、盗賊に僧侶風の格好。

 あの裸で股間に白鳥の作り物を着けてるのは……まぁ、ああいうのもいる。


 全身緑色で、巨大な棍棒を持っている者、全裸で折れた剣だけの探索者。

 意外とああいうのが、とんでもない強者だったりするから面白い。


 探索者達がしていることも様々だ。何やら計画を話し合っているもの。

 怒鳴り合っているもの。一人でうつむき、うずくまっているもの。


 視線を移して市場を見れば……。

 赤青緑のカラフルな水薬が並び、レトルト食品といった商品が収められたダンボールが山積みになっている。その箱と商品のスキマには、これまた何に使うのかわからないガラクタから武器防具まで、全てが適当に突っ込まれている。


 私はこれが好きだ。

 混沌とした活気のある空間。物資と探索者たちの体臭が混じって、なんとも言えない《《すえた》》匂いがするのを除けば。


「おい見たか?」

「ああ、あの配信だろ、ツルハシ男の――」

「CGとか、トリックじゃないのか?」

「いや、凸配信者が現場を見たら、マジで泥人広場から泥人が消えてたらしい」

「じゃあ、あの配信、マジモン……本物ってことか?」

「ああ」

「マジかよ……!」

「お前も登録しとけよ『ツルハシでダンジョン開拓します』ってやつ」

「……なんか、センスが欠片(かけら)もねぇな」

「な。」


 すでに彼、ツルハシ男のことはかなり伝わっているようだ。

 彼が今どこにいるか、何か手がかりが欲しいが……


「お、チャンネルの通知が来てる。配信するみたいだぜ」

「まじかよ。スピーカーに出してくれよ」

「ちょっと待てよ……ほらよ」


(ん……今何か? 配信が始まるとか、言わなかったか?)


 耳をそばだてていると、ダンジョン探索者の表示枠から気の抜けた男の声が聞こえてきた。間違いない、彼だ!!!


『えー皆さんこんばんは『ツルハシでダンジョン開拓します』です。この間の配信は色々な方が見てくれたみたいで……登録とか、どうもです。』


 私は手元の表示枠を操作する。

 確かに配信が始まっている。しかし彼が見ている風景、これは……。


『それで、これからやることですけど……』

『みなさんが苦労してる、2層の【はぐれボス】の討伐を配信しようと思います』


(何……だと?)

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