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竜牙兵

7月30日(日)、本日は2話更新です、よろしくです~!

「もう許さんぞ、骨ども! 即処刑してやる!」

『ツ、ツルハシさん、一体何を!?』


 ブチ切れた俺は、回転床トラップを囲むようにダンジョンの壁をポポンっと配置すると、スパルトイ専用の生け作った。


 俺が作った生け簀には、回転床の外側に1メートルの空間が設けられており、それが不自然な出っ()りとなって目立っている。


 今回の作戦のミソは、この出っ()りだ。フフフ……!


 スパルトイの厄介なポイントは、効果範囲の床から、ランダムで現れてくるというところにある。

 

 そう、奴は絶対に床から現れる。

 なら「これ」が使えるはずだ。


 俺は所持品欄から「溶岩火山」を取り出すと、スパルトイの生け簀にある不自然な出っ張りの中に置いた。


<ドーン!!!>


 俺が1メートルの大きさのミニ火山を置くと、火山は元気に先端から溶岩を吹き出し、生け簀の中を満たしていく。


 すると、回転床の前でひしめいていたスパルトイたちは、足元から次第に溶岩に焼かれてていき、全身から炎を吹き上げながら、マグマの中に沈んでいった。


 が、それでも朽ちることを知らないスパルトイは、何度でも床の中から現れようとする。床のなかから手を突き出し、地表を目指す。


 しかし、完全に姿を現す前に、生け()を満たしているマグマにその身を焼かれ、ジュッという短い音を立てて燃え尽きてしまう。


 愚鈍にも現れることを止めないが、マグマに蓋をされては、どうしようもない。

 スパルトイは、マグマの表面にわずかに残って漂う灰となった。


「ガハハハハ! 正義……執行!!」


『こ、これはひどい……』

「えげつない」

「流石はツルハシ男さん! これで完封ですな!!」


「……スパルトイ。お前は強かったよ。だが、間違った強さだった」

『溶岩で封印するのも何か間違ってる気もしますが、これで先へ進めそうですね』


 いやホント、正攻法だとスパルトイの処理が面倒すぎる。

 掘った先から出てくるとか、完全にオレ殺しの性能をしてるもん。


 さて、マグマでスパルトイの湧き潰しをした俺は、生け簀の縁の上に立ってダンジョンの壁を掘り進めていく。


 今回の作業のコツは、マグマを流し込みつつ、床を掘っていくことだ。

 そうすればツルハシを骨の手で掴まれることもない。


<ガチン! ガチン!>


 マグマの熱に(あぶ)られながらの作業は半端なくキツい。

 だけど、スパルトイに襲われるよりは100倍マシだからな。


◆◆◆


「……っとコレかぁ?」


 しばらくダンジョンを掘り進めていくと、レンガでも漆喰でもない、奇妙な質感をした正方形のブロックが壁の中に現れた。


 ブロックの表面には、尖った牙の意匠が彫り込まれている。

 かなりそれっぽいな。


 地図で位置も確認してみるが、想定した位置に間違いない。

 間違いない。こいつがスパルトイを生み出しているんだろう。


『この質感は……骨、みたいですね。これが竜の牙なんでしょうか?』

「ツッコミどころ満載ですが、ひとまず回収しましょう」


<ガチン!>


 謎の骨ブロックにツルハシを振り下ろすと、俺の所持品欄に新しいブロックが追加された。その名も『竜牙兵(スパルトイ)のスポナー』。まんまだね。

 これを使えば、スパルトイを自在に呼び出せるっていうことか。



 竜牙兵(スパルトイ)、ゲットだぜ!

 ……心の底からいらねぇ!!



「本当に取っちゃったね~」

「ジュージューする音が聞こえなくなった。スパルトイ、消えた?」

「うむ、どうやらそのようですな!」


『ツルハシさん、これで直通路の危険は取り除かれましたね』

「えぇ。後は溶岩を処分するだけですね。ちょっとやってきます」


 大体40立方メートルくらいの空間がマグマに埋まってしまったからな。

 必要に迫られてのこととはいえ、コスパ悪いなー……。


 火山を回収した後、氷をブチ込んでマグマを消していると、俺の作業を見ていたジンさんが指を鳴らす。何か思いついたようだ。


「そう言えばツルハシ、そのブロックから出てくるスパルトイって、ツルハシがそれを置いた場合は、味方になるのかな~?」


「……それ、ちょっと気になりますね。そういえば、生物(?)を発生させるブロックってのは、今回、初めて拾ったんで」


「試してみれば~?」

「えー……危なくなぁい?」


 メガネの位置を直しながら、ジンさんが俺に危険な実験を提案する。


 うーん、なかなかのマッドサイエンティストっぷり。

 とくに俺の命を省みてないあたりが。


「スパルトイが味方になるなら心強いですけど、敵のままだった場合、真っ先に殴られるの、ブロックの前にいる俺だと思うんですけど?」


「そこはほら、尊い犠牲~?」


 やっぱマッドじゃねーか!!


『もし敵のままだったら私たちが倒しますから、試しに置いてみてはどうでしょう? スパルトイが味方になれば、心強いのは確かですから』


「うむ! 何事も試してみなければ、わかりませんからな!」


 このクソたわけダンジョンが、そんな探索者に都合の良いことするかなぁ?

 ……やってみないとわからないか。


「一瞬、一瞬だけですからね」


『はい、いつでもどうぞ』


<ポンッ>


 ダンジョンの床に竜牙兵(スパルトイ)のスポナーを置くと、さっきと同じ様に、床からスパルトイが生まれた。


 ガイコツ剣士は俺をじっと見つめている。


「お、おぉ?」


 まさか、本当に味方になってくれた?

 そう思った次の瞬間――スパルトイは白刃を煌めかせ、俺に刺突を放った!


「シャァァ!!」

『フンッ!!』


 ラレースが即座に反応し、戦鎚(ハンマー)を叩きつける。

 哀れスパルトイは、生後3秒で頭から完全に砕かれた。


「やっぱダメじゃねーか!!! 回収回収!!」


 サクッと回収して、所持品欄でロックしておく。

 こんなもん、迂闊うかつに置けるか!!


「ダメだったか~」

「もう二度とやらないですからね!!」


「ブロックを手に入れたとしても、そこから生まれる存在は、探索者の敵のままなんだね~ふむふむ……仮説だけど、まだツルハシくんのモノじゃないとか?」


「もし仮にダンジョンに意思があるなら、このブロックはダンジョンの持ち物で、今もその意志で動いてるってことですね」


「うん、そうなるね~」


 そう考えると、なんだか薄気味悪いな。

 他人のものを腹の中に抱えてる。そんな感じだ。


 薄気味悪いといえば、第五層にファウストたちの姿がない。

 流石に無限湧きは手に負えなくて、スルーしたのか?


 まぁ、それならそれでいいや。

 このまま出口まで掘り進めて、そこでキャンプする事にしよう。


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