第四層の開拓
7月28日(金)は、2話投稿です。前に1話あるので、そちらもよろしくです!
配信の視聴者に開拓を宣言した俺はさらに続ける。
「さて、この第四層、クソ森こと「七重八葉の樹海」の危険性は、なによりこの見通しの悪さにあります」
「視聴者の皆さんは、俺のスキルで全ての木々を破壊しちゃえば良いじゃん。そう思われることでしょうが、それはできません」
「なにしろ、ここにある木々は地上で手に入らない、貴重な森林資源ですので」
『なるほど。地上は核で焼き払われて汚染されています。だからダンジョンの木材が資源として貴重なんですよね』
「ラレースさんの言うとおりです。八王子や青梅といった山の方までいけば、まだ木は残ってるんですが……都心まで運ぶ方法が無いんですよね」
「丸太で筏を作って、川に流して運んでるけど、それでも都心部まで運ぶ方法が廃墟の中、丸太をもって歩くしか方法がないからね~」
ジンさんが言う通り、材木運びは過酷な作業だ。「丸太は持ったか!」なんてスローガンが書かれた作業員募集のポスターは、どこでも見られる。
「銀座で使われている木材のほとんどは、探索者となった『庭師』がここ第四層で採取したものです。彼らのためにも、木を絶滅させずに開拓したいと思います」
『ツルハシさん、木を残して視界を広げるなんて、可能なんですか?』
「えぇ、まかせてください!」
さて、作業に入るとするか。
まずはこの木々にツルハシを打ち込んでみとしよう。
<ガチンッ!><ザクッ!>
樹木や低木は問題なく回収できるな。ツルハシを木々に向かって振ると、俺の所持品欄にどんどん「何とかの木」みたいなのが大量に並んでいく。
資源としては回収できないが、ダンジョンの壁と同じく、ブロック的なものとして扱われているようだ。これならやる事は、いつもと同じだな。
「おお! ツルハシ男さんの開拓をこの目で見られるとは!」
俺はサクサク木を刈り取っていく。
環境破壊は気持ち良いゾイ!
木々と茂みを刈り取り、視界を広げていくと、あるものが目に入った。
探索者の死体だ。
そういえば……今回はダンジョンであまり死体を見なかったな。
ようやくDIE1村人発見ってか?
「先に来ていた探索者がいたようですね。葬っておきましょう」
見つけたもんは仕方がない。サクッと死体を葬っておく。
しかし、ちょっと気になるな。
「第四層ってもっと死体が転がってるもんですが……やたら片付いてますね」
「だね。前回の回収からは、けっこう経ってるんだけどね~」
なんかあったのかな?
まぁいいや。開拓を続けよう。
せっかくファウストとユウキたちが強力な【はぐれボス】やオークたちを始末してくれたのだ。のがしてはいけない、絶好の開拓チャンスだ。
100本くらいの樹木をバシバシ刈り取っていって、樹海に平地を作る。
さて、いつもと違うのは、ここからだ。
「さて、大体100本くらいの木々を回収しました。樹海の景色がだいぶスッキリしましたね」
「ですが、このままにしておくと、木材を採りに来た庭師たちが困っちゃいます。なので、樹木は取ってそれきりではなく、植え替えます」
「しかし、地面に植えてしまうと今まで以上に視界を塞ぐ森が出来るだけです。ですので、これは『上』にあげちゃいましょう」
俺はこれまで集めたダンジョンの壁を使い、階段状のピラミッドを作った。ピラミッドだが、そのシルエットは完全な三角系じゃない。上の部分を平たくして台形になっている。さながら空中庭園といったところか。
「そして、ここまでに回収した木々を、空中庭園に植林していきます!」
空中庭園の植林部分に植えようとした時、俺はあることに気がついた。どうやら木はブロックと違い、1メートル間隔で密集して植えることが出来ない。
最低、3メートルの感覚を開ける必要があるらしい。
まあそりゃそうか。枝がぶつかるもんな……。
木が半分くらい残ったが、まぁ仕方がない。
残りは外周の階段部分に植え直すか。
ポンポン置いていって気づいたが、これアレだ。古墳だわ。
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「ふぅ、こんなものでいいですかね。樹木の植え替えが終了したら、後は仕上げにかかりましょう」
「この空中庭園に木々を植え替えたことで、第四層の視界はクリアになり、ゴブリンたちが奇襲をしかけるのは困難になりました」
「しかし、また別の問題が出てきています。このピラミッドがゴブリンたちの手によって、要塞として使用されてしまうという問題です」
じゃけん、悪いことに使えないようにしましょうね~。
「では、要塞としては使い物にならないように、加工していきます」
俺は階段と庭園のフチの部分に、追加のブロックを置いていく。
人間であれば乗り越えるのにちょっと苦労する程度の高さだが、ゴブリンの場合は違う。人間の半分ちょっとの低い身長のせいで、視界が壁で埋まってしまう。
逆に人間にとっては、この高さはちょうど良い遮蔽物として使える。
膝立ちで丁度肩がでる程度なので、ゴブリンとの射撃戦に役立つだろう。
ポンポンポンとおいていって、壁を作る。これで丁度2メートルの高さになるので、ゴブリンが肩車しても届かない。
もしオークが持ち上げてゴブリンを壁の上に乗せれば話は別だが……。
その場合、全身をさらけ出して撃ち合うことになる。
あの臆病なほど慎重なゴブリンが、そこまでして戦うとは思えない。
この壁の上で正々堂々撃ち合うくらいなら、下草の中で戦うほうを選ぶだろう。
草の中なら、腹這いになって伏せれば、姿を隠すことはできる。戦いになって弓をひくことになれば、もちろん体は隠せないが……。壁の上よりはマシだ。
よし、ひとまずはこんなもんでいいだろう。




