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七重八葉の樹海(クソ森)

7月26日、先日公開していた「ウォー・ボス」と「お手伝い」の二話は今回公開したお話の2話先のものでした。本文を更新して差し替えました。


ほんとなろうのUI使いづらくてキライ…

というか基本小説サイトはどこも(


「あそこまで素人丸出しの探索者は、ちょっと珍しいですね」


「ぶっちゃけると、ツルハシ男のせいもあるよね~?」

「え?」

『それはどういうことです?』

「普通はあんなの、入口近くのトラップで追い返されるからさ~」


「あ、そっか……。俺がダンジョンのトラップを除去して行動しやすくしたせいで、本来なら弾かれる連中も入って来れるようになっちゃったのか」


『ツルハシさんはダンジョンの環境を改善していますが、敵の強さは何も変わっていませんからね……。そこを勘違いして入れば――』


「かえって、以前より死傷する探索者が増えてしまう、ということですな!」


「じごーじとく?」


「それはそう。ナナの言う通りなんだけど、うーん」


 そういえば、俺の配信を見てる人たちがダンジョン探索者とは限らない。以前の俺のような採掘師、ただの職人の可能性だってあったな。


 そういう人たちが「俺もダンジョンに行けそうじゃーん!」ってなると不味い。すこし情報を補っておくか。


「えー、配信をご覧の皆さんにお伝えしておきますと、俺がダンジョンを開拓しても、敵はバチクソに強いままです」


「第二層のカッパのように、ギミックが強さに直結してるような敵は、俺の開拓によって弱体化しますが、ほとんどの敵の強さはそのままです」


「配信で開拓されたのを見たからといって、戦闘系のジョブじゃない人がダンジョンに突入するのは絶対にやめてくださいね!」


 ふぅ。これで新鮮なお肉になる人が、少しでも減ればいいが。



 俺たちは第4層に向かって進み続けた。

 浜離宮ダンジョンの第一層から第三層までの階層は、すでに開拓が終わっていたので、特に問題なく通過することができた。


 ミラービーストが何かしでかしてないか心配したが、少し罠が減っているだけで、特に大きな変化はない。

 

 どうやら、ミラービーストの奴は第一層を改造するのに手一杯で、ここらの階層は罠を外しただけで、改造までしなかったようだ。

 なんだか拍子抜けしちゃったな。


 通りすがりに遭遇した敵も多少いたが、レオとナナがサックリぶちのめす。

 第三層の階段を下り、第4層に到達した時間は午後3時。悪くないペースだ。


『これが浜離宮ダンジョンの第4層ですか』


「正式には『七葉(しちよう)八葉(やよう)の樹海』っていうんですが……銀座の探索者はシンプルに『クソ森』って呼んでます」


「うむ! その方がわかりやすいからな!」

「じっさいうんち。ここキライ」


『そんなに嫌われてるんですか、この場所?』

「まー、見ての通りでしてね……視界が本当にクソなんですよ」


 俺達の目の前には、鬱蒼(うっそう)とした樹海が広がっている。


 人間が隠れるのにちょうど良いサイズの低木が無数にあり、忍び寄る足音を消す落ち葉でフカフカの地面は、腰の高さまでの草で覆われている。


 そして、空は低、中、高の三種の高さの樹木の梢で三重に覆われていて、昼でも薄暗い。この場所では光と影が中途半端にまじりあい、目に入るもの全てがのっぺりとしていて、近づいてみないとよくわからない。


 ……クソ要素の多重奏(アンサンブル)

 クソ森と呼ばれる理由は全て、俺の目の前にある。


 第4層では、この場に存在する何もかもが、攻め手の奇襲を容易にしている。

 それがこの第四層『七重(しちえ)八葉(やよう)の樹海』だ。


「うむ! 今日も第四層はどんよりとしてますな!」

「お外より暗いかも」


『確かに、居るだけで気分が沈みそうな雰囲気の場所ですけど、みなさんが嫌っているのは、それが理由ではないですよね?』


「はい、ラレースさんの言う通り、ここは見た目以上に最悪の場所でして……ちょっと配信を見ている人にも説明しますか、コホン。」


「わ~ばちぱち」


 パーティーメンバーから俺に向けて、まばらな拍手が飛んでくる。

 恥ずかしいから止めて!


「え~、ここ『七重(しちえ)八葉(やよう)の樹海』は探索者の間で『クソ森』と呼ばれるほど、忌み嫌われている場所です。」


「その理由は、この第四層を徘徊している敵と、このダンジョンの環境との相性がめちゃくちゃ良いからなんですね」


「第四層の敵は不意打ち、奇襲を得意とするモンスターが数多く存在し、この場に存在する無数の低木や下草は、そいつらに味方します」


「なので――!!」

『ツルハシさん、危ないッ!』


<ヒュン! ヒュンヒュンヒュン!!>


 俺めがけて空を切って飛ぶ存在に気づいたラレースが、体ごと覆いかぶさるようにして、地面にタワーシールドを展開した。


 すると、俺を覆い隠した盾の表面で、硬い何かが当たる音が連続して続く。

 クソッ! もう来たのか――!


 盾の影からチラッと相手の様子を覗くと、予想通りの存在が居た。

 第4層の最悪の敵、ゴブリン・スカーミッシャーだ。


 ゴブリンは貧弱、臭い、弱い、ギャーギャーうるさい。なんかそんなイメージがあるだろう。だが、この第4層にいるゴブリンは全然そんな事無い。


 貧弱どころか、小柄な体で人間が使う弓と同じかそれ以上の強弓を引くし、臭いもまるでしない。そして、ギャーギャー騒ぐどころか、攻撃の瞬間まで沈黙を保ち、一切その気配を明らかにしない。


 森の暗殺者。それがこの第4層のゴブリンたちだ。見た目が邪悪で緑色のエルフ。そう思ったほうが正しい認識だ。


『ジンさんもこちらへ!』

「は~い」


 ラレースが言うが早いか、ジンさんは盾の陰に滑り込んでくるが、彼女の後を追いかけるようにダダダッと地面に黒矢羽の矢が突き立った。ほんとパないな。


「うむ! これは恐らく、『出待ち』ですな!」

「さいあく」


 ナナはレオの盾に隠れ、二人も釘付けになっている。


 四方八方から矢が飛んできて、俺たちは完全に制圧されていた。

 さて、ここからどうする?

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