けーれけーれ!
「すみませんが、すぐには答えを返せません。」
『ツルハシさん!? 彼は「黄泉歩き」ですよ!!』
「エンチャントをメインとした探索というのに、俺たちは慣れてません。回復という生命線をエンチャント一本でまかなうことに懸念があります」
「なるほど。ごもっともです」
なにより、俺が懸念しているのは――!
もし、ファウストに「このヒールの入った棒切れは一本10万だよ~!」なんてことをされた時のことだ。
んなことされても、俺たちには一切文句が言えないからな!!
見た感じ、ファウストがそういう事をする輩には見えない。
が、そういう事もできる人間をパーティに入れたくない。
俺はカギ屋で学んだのだ。
他人に生殺与奪の権利、自分の命を握らせるなという黄金の「律」を。
もし彼がその気になったら、俺たちはケツの毛までむしられる。
なんつったって、こいつはひとりで帰れるんだからな。
もし第十層に到達して、そこで「おつー。じゃ、もう帰るわ」されたら、そこで俺たちはそこで終了してしまう。
こんなヤベー奴、パーティに入れられるか!!
……ハッ!!!!
まさか、200億の神気って、そうやって稼いだ?!
うむ、有り得る……!
完全にパーティに入れる気が失せたぞ!
「残念ですが、またの機会ということで」
「いえいえ、お気になさらず。急に押しかけて申し訳ありませんでした。」
ペッ! けーれけーれ!!
◆◆◆
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『帰られてしまいましたね……ツルハシさん、本当に良かったんですか?』
「えぇ。さすがに回復をエンチャントに頼るっていうのは……」
「うむ! 借り物の力で押し通ろうとすれば、必ず痛い目をみるからな!」
「いろいろ懸念があります。ダンジョンにはアイテム禁止エリアもありますからね……そこでの回復をどうするのか」
『それは確かに……逆にスキル禁止エリアでは、エンチャントが役に立ちますが、どちらか片方しか使えないというのは危険ですね』
「えぇ。なので多少時間がかかっても、癒やし手を探しましょう」
『レオさんの槍事務所に、癒やし手の方はおられないのですか?』
「いない。ウチは守り手と闘士だけ」
「うむ、ナナの言う通りですな! 槍事務所は絶賛、癒し手を募集中ですぞ!」
うーむ、槍事務所もアテにできんか。
『ではどうやって募集しましょうか……いえ、一つ方法がありました。信頼できる人たちがいましたね』
「信頼できる人たち……教会の人たちに声をかけるんですか?」
『いえ、彼らよりもっと、わたしたちのことを知っている人たちです』
「俺たちのことを?」
『そうです。ツルハシスレの方に聞いてみましょう』
「あっなるほど」
俺はその手があったかと、手を叩いた。
あそこに集まっている連中はほとんどが探索者だ。話している内容からしても、ベテランが多い。それに彼らなら、俺についての説明も省ける。
うん、いい考えかもしれない。
「ちょっと遅い時間ですけど、誰かいるかな……?」
俺は二拍手で表示枠を呼び出すと、ラレースと一緒になって、掲示板に書き込みを始めた。
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