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銀座へ


「ったくもー! 好き勝手やってくれたなアイツ!!」

『後片付けも一苦労ですね』


 ジジイの安否を確認した俺たちは、爺部屋を後にして、ミラービーストのやらかしたダンジョン違法建築を直しに掛かったのだが……。


 全く、ハチャメチャにしてくれたなぁ……。


 泥人広場の再封印、明鏡石の回収はさっくり終わった。

 問題になったのは、地面に仕込まれた溶岩の鎮火だ。


 ミラービーストのやつ、どうやって第一層に溶岩を持ち込んだのかと思ったら、溶岩を吹き出す『火山』のブロックを見つけて、それを設置したらしい。


 第三層の溶岩はこの火山の仕業だったんだな。これに気づかなかったら、氷をブチ込んで溶岩を消そうとする作業が、全て徒労に終わる所だった。


「これで、最後だッ!!」


<ドジュウゥゥ!! バチバチビチ!!!>


「うぉぉ! やっぱ怖ッ!!」


 床の下に残っていた、最後の溶岩に俺は氷をブチ込んで始末する。

 ふー、やっと終わった……本当に最悪だった。


 床下から這い上がると、通路を見回っていたラレースが、ちょうど帰ってきたところだった。彼女も心なしか、げんなりしているように見える


『あちらの通路でも遺体を見つけてきました。一体いくつあるんでしょう……』


「やることが……やることが多い!!」

『はい……』


 ホントにやることが多すぎてハァハァ言っちゃう。

 コンチクショウ!! ミラービーストのやつ、死んだ後の方が厄介だぞ!!


『ツルハシさん、思ったんですが、この作業も配信すればよかったのでは?』


「――あ、すっかり忘れてた。さすがにもう遅いか」


『ですね、火も静まりしましたし、いったん休憩しましょう』


 ふぅと息を吐いた彼女から、俺は冷えたボトルを受け取った。

 さっすが~、ラレース様! 話がわかる!!


「ありがとうございます。いやー、何がつらいって、他人がやった作業の続きをするのが一番つらいですよ」


『あー、わかります。書類仕事とかそうですけど、考えがまったく違う人の続きをやるって、結構つらいものがありますよね』


「そーそー。なんでこんなことを?! みたいなのメッチャありますよね。こういっちゃなんですけど、バーバラさんの続きをやるとか、結構ヤバそう」


『いえ、彼女は普段あぁですけど、仕事の引き継ぎはかなり気を使ってくれますし、書類はびっくりするくらい、ミスが少ないですよ』


「そうなんですか?!」


『えぇ、けっこう神経質な方ですよ』

「意外~! あ、師匠も実はそんな感じだったり?」


「……………………」

「アッ、ハイ。」


 どうやら師匠は師匠らしい。師匠だしな。ウン。


 マスクから伸ばしたチューブをボトルにつないで、スポドリの冷たさを味わっていると、彼女がボソリと言った。


『通路だけじゃなくて、壁の中にも遺体がありそうですね』


「ミラービーストが探索者の死体のことをいちいち気にするはず無いですからね……ヒトダマを使って探る事はできますが、相当な時間がかかりますね」


『えぇ、その――』

「もちろんやりますよ、時間はかかりますけど……俺たちしか出来ませんから」


『すみません。色々と面倒なことをお任せしてしまって』


「ダンジョンの最奥へ行くのに期限はないですし、ゆっくり行きましょう」


『……期限は無い。本当にそうでしょうか?』

「へ?」


『すみません! ツルハシさんに仕事を押し付けたのは私なのに……自分で言っておきながら妙なことを』


「いやいや、それは気にしてないです、全然!! 俺が「へ?」ってなったのは、『期限はない』の方です。どういう事ですか?」


『はい――ダンジョンに心がある。意志があるとするなら、ミラービーストや邪神の動きにも説明がつく気がしたんです』


「ミラービーストや邪神の動きに? あぁ、そういえば、スタンピードを起こすことを狙っている、そんな話でしたね」


『……てっきり気分を害してしまったのかと』

「まさか」


『えぇと、話を戻しますと――ダンジョンに意志があるなら、中のものを外に出す、それがダンジョンが目的としている事のような気がするんです』


「ダンジョンには前科がありますからね。シケった布団を干すために外に出よう、そんなつもりじゃなさそうだ」


『はい。』


 スタンピードが目的…? なにか引っかかるな。


「もしダンジョンがスタンピードを起こすことを目的としているなら、どうやってモンスターの数を増やすつもりだったのか……」


『完全に封鎖してしまえば、外から入ってきた人たちをモンスターにすることが出来ない。という事は、中で補充出来る?』


「可能性はあります。ダンジョンが俺たちがと同じ理屈で動いているなら、俺たちがスキルを強くするように、ダンジョンも強くなれるはず……」


『邪神の活動は、最初からダンジョンにあったものではありません。これがダンジョンがその意志で得た「スキル」のようなものだとすると――』


「ある日突然、全てが変わる可能性がある。俺が得たスキルのように」


『……もしそうなれば、何が起きるかわかりません』


「あれ……マジで時間が無いかも?」


『できるだけ早く、十層に挑戦する必要がありそうです』


「ダンジョンを消すことで生活に困る人が出るのも確かだけど、残したままだともっと酷いことになるかも知れない、か。うわー……」


『それをダンジョンの奥底で確かめないといけませんね』


 といっても、黄泉歩きに依頼できるほどの神気を俺は持っていない。

 となると、それ以外に頼むしか無い、か。


「ラレースさん、銀座に行きましょう」

『銀座ですか?』


「えぇ。銀座には探索者たちが数多くの事務所を構えています。オレたちの助けになってくれるクランがあるかも」



「俺のホームタウン、銀座にいきましょう」

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