prologue
明けましておめでとうございます。今年も残すところ20分あるかないかですね。
「俺が世界の中心だ。」「世界は俺を中心に回ってる」何ともクサイセリフだ。きっと、こんなこというのは中二病か怪しい自己啓発セミナーの教主くらいだ。しかし、ながらこのような言葉が当てはまる事態が起きたのだから何も言えない。敢えて言おう。"今、世界は俺を中心に回っている。”と、まあ、そう怪訝そうな目を向けないでほしい。しっかりと説明したい。別にイキっているわけでも、変なセミナーを受けてるわけでもない。客観的に?いや残念ながら僕以外にこの事態を認識できる奴がいないから主観的なのかもしれないが、僕は今、物語の主人公の如き生活を送っている。この言い方だと、まるでヒーローになったみたいだが、そういうわけとも限らない。違うと言い切りたいが、事態はほんの数日で変化するのだ。もしかしたら、数日後はヒーローかもしれない。ただ、今はヒーローではなく、主人公。それも恋愛漫画のだ。頭イカレてんじゃねーの?って思ったかな?いやその通りイカレて変な幻覚を見ているのかもしれない。少なくとも、数か月前までは僕は平凡な、物語で語られる主人公の平凡ではなく、本当に平凡な一高校生に過ぎなかった。例えるならどら〇もんの時々出てくる名前のない友達くらい平凡だ。だが、ある日を堺に世界が変わったのだ。また何とも胡散臭いに言い方になってしまったが、そうとしか言い表せない出来事が起きたのだ。それは極々普通の日の朝だった。正確に言うなら5/13月曜日。ゴールデンウイークが明けて一週間という怠惰な日々を思い出したくなる憂鬱な日だった。時刻は午前6時。学校が遠いせいでこの時間には起きないと間に合わない。アラームを掛けないと遅刻する……と言いたいところだが、早寝早起き病知らず。唯一の取り柄が早寝早起。おかげで学生生活ここまで無遅刻無欠席だ。10年以上学生同じ時間に起きていれば、時間になると自然の目が覚める。普段通りに意識が浮き上がり、眠気に抗うように目を開けようとしたその時、
「起きて!ちいちゃん!もう……遅刻するよ!!」
僕の耳元に聞き覚えのない女の子の声が響いたのだ。それも結構の音量で。何事かと飛び起きると、見知らぬ女、迫るオデコ、直後に走る痛み。まあ、混乱したね。まず結構痛かったし、その後にこいつ誰だ?という疑問符と自分の部屋にいるという事実から普通に怖くなった。
「キャッ」
可愛らしい鳴き声を発したそれは、聞き違いではなく、本当に知らない少女だった。ショートの茶髪に童顔。身長は高く見積もって中学生か小学生高学年。その癖、アンバランスに発達した胸は漫画やアニメの世界なら魅力に感じる人もいるのかもしれない。残念ながら現実に現れると不気味なだけだと実体験で知っているのは撲だけだろう。当時の僕はまあ、混乱したね。頭に浮かぶのは疑問符と恐怖だけだ。僕が呆然としているところで、額をさすっていた見知らぬ少女はわざとらしく言った。
「も~う、ちいちゃん。酷いよ~。急に起き上がるからびっくりしたじゃん!」
なんだこいつは?痛みと突飛押しのない事態に眠気はどこかへ消えていた。徐々に冷静になる頭がこの見知らぬ少女はヤバい奴だと正常に認識した。とりあえず、すべきなのはこの家宅侵入罪の不審者がいることを家族に知らせることだ。
「母さーん!家に不審者がいる!!」
人生の中でこんな台詞を吐く人は殆どいないだろう。間違いなくレアな出来事だ。有り難い出来事だろう。全くもって有難みは感じないが。まあ、そんなことはいいのだ。結果として、狭い我が家では、丁度起きたのか目をこすりながら母さんがドアを開けた。
「朝からうるさいわね……。あら、渚ちゃん。」
驚くべきことに、母さんはこの見知らぬ少女を知っていた。
「おはようございます。洋子さん。」
「おはよう。渚ちゃん。……もしかして渚ちゃんのことを見て不審者なんて言ったんじゃないわよね?アンタったら。寝坊する。アンタのためにわざわざ毎日起こしに来てくれてるのに!どうせ昨日も夜遅くまでゲームしてて寝ぼけてたんでしょ!」
「いや……え?……は?」
Q.朝起きたら見知らぬ少女と頭突き合い、親を呼んだら全く知らない事実をあたかも当然のように聞かされた時の正常な人の反応を答えよ。
A.少なくとも僕は啞然とした。
でも、母と見知らぬ少女は十年来の友人の如く気安い会話を交わしていた。思考がフリーズして呆けている僕に母は呆れたような視線を向けた。
「いつまでボーっとしての!早くしないと本当に遅刻するよ!」
それからは流されるがままだ。新手の痛みを感じる夢かと思ってしばらく様子を見ようと思ったのだ。
でも、いつまで経っても覚めることはないし、見知らぬ少女、母曰く”渚”はさも当然のように我が家で朝食を取っていた。彼女はことあることに声をかけやたらと気を使ってくる。やれお茶はいるかだの、行儀が悪いだの、母の前で母親の如く振る舞う姿はもしかしたら健気なのかもしれないが、それが見知らぬ人からやられるのはちょっと変な感じだ。後から気づいたことだが、これらの行動は幼馴染ヒロインムーブだったのかもしれない。朝食を取って、登校する時も出会ったばかりの少女は本当に幼馴染のように、事あるごとに知らない僕との昔の記憶を披露していた。塀の上の猫を見て昔、猫を追いかけて云々とか、公園で遊んだとか云々とか。この辺りで夢だとまだ信じることにしていた僕は、これはこの夢でこの子は幼馴染ヒロインである。ということをようやく理解した。その後の学校についてからは、渚という少女が何となくは恋愛モノ、ラブコメとかのヒロインだとは思っていたので、僕の学校のクラスメイトの一部に見知らぬ校則違反の髪色の女子がいたり、朝の朝礼で転校生(ピンク頭の美少女)がきて、僕を指さし叫んだことはラブコメみたいな夢だな~と若干の現実逃避も含みつつも常がね本当に夢だと思っていたので呑気に対応していた。どうせ夢だと思って適当を言ったのだ。
「君は!あの時の!」みたいなやつだ。適当に合わせようと思っただけなのにやたらと綺麗に話があったのは、違和感はあってもまあ夢だしと割り切って楽しもうなんて思ったのだ。
僕が夢ではないと気づいたのは、これが3日経っても終わらないことだ。ここがラブコメな夢の中(?)だということは分かって最初は楽しもうなんて思っていたが、ラブコメというのは話が進むのが早い。一日が濃いと言ってもいい。毎日のようにヒロインは増えるし、事件が起こってその日かその翌日くらいには解決する。見知らぬ人達に囲まれて過ごす忙しい日々が3日も続くともうお腹いっぱいだ。所謂、転生?みたいなものなのかなと、そう割り切るしかないのかと、3日経って流石に思った。決心してこのラブコメみたいな世界で生きていくのかと思った。しかし、そう決心した次の日には決心は無駄だったと知ることになる。
3日経って決心して、明日から頑張るか!と、思って寝て、起きたら知らない天井だった。ラブコメみたいな世界だし、誘拐されたか!?とも思ったがそうではなかった。起きてみれば、真っ白で無機質な部屋だ。ちょっと近未来な雰囲気を感じる。どこかで見たことがあるような気がしたが思い出せない。
状況が分からず、ベットから起き上がりキョロキョロしていると、声が聞こえてきた。
「やっと、起きたのね!心配したんだから!」
渚の声だった。でも、ちょっといつもと雰囲気が違う感じがした。3日しか一緒にいないのに何故そう感じたのかは分からないが、結果的それは当たっていたのだ。有り体に行ってしまえば、ここは僕の昨日までいた世界ではなかったのだ。有り体に言えば、エから始まる某ロボットアニメみたな世界である。そこで、僕はロボットに乗って宇宙人と戦った。色々ドラマはあったが、それはまたいつか。この世界には1ヶ月ほど続いたが、その後はまた別の小説みたいな世界に飛ばされただから敢えて今語ることではない!ということにしておく。
まあ、こうたらたらと綴ってきたが、これは一種の告知であり、プロローグだ。気が向いたら、僕の体験した世界の話をしていくので暇つぶしにでも覗きに来てほしい。
月一で更新できたらな~とは思ってます。たぶん3が日の間には1話は上げます。よいお年を。