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第4始 屑への制裁 part1

結局、いい感じに事は終わり(いい感じか?)、念願の聖各ちゃんと付き合うことになった。夢じゃないよな。


――――教室。


聖格ちゃんは鉢節と同じクラスなので、別々なのだが、まあ、こう考えると親しい人が別のクラスに行きすぎだろうとも思えてきた。実際、3年は3クラスしかないのだが(俺は2組)、3分の1をことごとく外してしまっていて、運の無さが垣間見える。あ、そうか、前には風見と白蓮がいるか。……と、一瞬思ったのだが、よくよく考えるとあいつら二人はカップルで、わりとイチャイチャしていることが多いから、俺の入る隙がない。

つまり、言いたいことは俺はクラスでボッチという事だ。見事にクラスにそりが合うやつがいない。こういう事を言うと、コミュ障だとか言われそうではあるが、しょうがないだろう?コミュ障関係なく、そりが合わない奴とは誰も関わりたくない。だから俺はコミュ障じゃない(と思う)。


そういうわけで、まあとりあえず授業が進んでいく。数学の授業なのだが、とてつもなく分かりづらい。ちゃんとノートをとって、ちゃんと見返せば、(俺は行かないが、塾とかに行くのもいいと思われる)なんとか理解できるのだが、どうしても授業中は理解が出来ない。決して、知能が追いつかないだとか、そういうわけではないのだ。とにかく、数学科の教師のせいなのだ。分かりづらすぎる。言っていること自体は別にいいのだが、話し方が異常な眠気を誘う。途中で気付かれないようにしながら、仮眠をとったりして、なんとか過ごした。


その後、授業も終わり、昼食も終わり、30分の休憩時間。いつもなら持ってきた本を読んだりして休憩時間を過ごすのだが、今日はうっかり本を忘れてきてしまったので、適当に校舎を探索しよう。もう校舎内は全て覚えているので、何となく校舎の周りを唯ひたすらに回ろうと思う。他人から見たら変な奴としか思われないが、意外と楽しいものだ。で、まあ、回っていたのだが、校舎裏、人気(ひとけ)のない、新校舎と旧校舎の間に、木で作られた小さな家的なものが建っていた。家と言っても、小さすぎるものではあるが。気になり、入ってみる。中は4畳くらいの小さな部屋で、小さなテーブルに、白紙の紙が100枚程度があるだけだった。


「何をやってるんだい?」


後ろから声を掛けられ、ビクッと体が震えてしまった。振り返ると、多分3年の男子がいた。小柄だが、どことなくそういう感じだった。


「い、いや、たまたまこんな所に家みたいなのがあったから、ただ気になっただけだよ。」


「ここは、僕の非公式部活動、いじめ制裁部の部室さ。」


「いじめ……制裁部?それも非公式って……。」


「いじめ制裁部はその名の通り、いじめッ子を制裁する部活の事だ。依頼が来るか、現場を目撃した時だけ活動しているよ。とは言っても、部員は僕一人しかいないから、部活としては認められないんだけどね。」


なるほどな。


「でも、こんな所に部室を作るなんて……許可とかもらったのか?」


それが一番の問題なのだ。校舎裏は、多分教師がちょくちょく見に来るのだと思っていたのだが。何故バレないのだろうか。


「一応、貰ったよ。非公式だけど、最初は部室も用意してもらえることになりそうだったんだけど部室に丁度いい場所がなくて、結局僕が作って、ここを部室にすることになったんだ。」


そんな事があるのかと、そう思ったが、まあ教師が部室を設置することを認めたのならば、いいのだろう。そこまでしたのならば、正式に部活と扱ってもいいんじゃないか?


「……なるほどねぇ。よし、決めた。俺をいじめ制裁部に入れてくれ。」


俺は特に部活に入っていない、いわゆる帰宅部なので(部活に入っていないのに帰宅()とは、いかがなものかと思うが)、思い切って志願してみることにした。


「え?いいの?入ってくれるの?よっしゃあ!!」


「お、おう!」


結構乗り気で、握手まで強引に来たので少々戸惑ってしまったが、ともあれ非公式の部活に入る事が出来た。サッカー部やら、野球部やら、バスケ部やら、テニス部やらなんやら、色々あって、入部しようかとも思っていたのだが、言葉の響きから既に楽しくなさそうで、入っていなかった。だが、いじめ制裁部。これ程までに俺の興味を引く部活は今までになかった。


「で、依頼を受け付けてるのは放課後からだから、昼休みとかは現行犯を制裁するんだ。」


「オーケー。」


「あ、そういえば自己紹介がまだだったね。僕は靭着剣服(うつぼぎけんふく)。よろしくね。」


で、自己紹介が終わって、別れ、校舎を回っていじめの現場を探すが、見つからない。やはり、すぐに見つかるわけがないか。

チャイムが鳴り、教室に戻った。このクラスにもいじめは起きているか。


起きていた。よく見ると、男三人がさぼって、か弱そうな男子(何て名前だったか忘れた)が四人分のノートをとっている。つまりは……そういうことだ。勘違い、それはないだろう。

これはチャンスじゃないか?なら、やってやろうじゃねーか。だが、これで現行犯かというと、そうではないように思える。だから、ノートを大体10㎝四方に破り、シャーペンで文字を書いていく。


”いじめられてんなら校舎裏に来い。 いじめ制裁部”


、と。これを後で、あいつだけに分かるように机に置いておこう。絶対に、三人にばれないように。


――――

―――――――――


俺は早速部室に入り、いじめられっ子が来るのを待った。


「お、早いねぇ。」


「よう。」


靭着が次に来た。この部屋は4~5人くらい入れる部屋の為、意外と2人の時点できつい。


「靭着、今日、俺のクラスの奴が来るかもしれねーぜ。」


「ホント!?嬉しいなぁ。って、いやいや、嬉しい、は駄目か。まあいいや。僕らの腕の見せ所だね。」


「あの…」


この声は、多分あいつだ。「はーい」と、返事して扉を開ける。


「よう、えーと…」


釧麦水樹(くしむぎみずき)です。」


「よし、水樹君。いじめっ子たちは?今どこにいるかわかるかい?」


「それが……校舎裏で、3人に2万づつ払わなきゃいけなくなって………」


「払わなきゃいけない?そんなわけねえだろ。俺らが払わせねぇ。だから払わなくていいんだぜ。」


「そうだよ、水樹君。安心して。―――制裁は、僕らの役目だ。」


お?決め台詞か?なかなかしゃれてんなぁ。まあいいや、とりあえず、俺の第一回目の部活動だ。ここは気を引き締めていくぞ。


「じゃあ、君がそこで、三人を待って、来たら僕達が出動する。それでいいよね。」


「はい。」


終始かしこまったような口調で、賛成し、校舎裏に立った。


――――1分、5分、10分、20分。


意外と時間が経った。そして、来た。あの三人組が。たった今、思ったのだが、そういえば俺、どうやってあいつらに対抗するんだ!?それも、2人がかりって………。普通の中学3年生が3対2って……。きつくはないか?靭着が異能力者なら何とかなるかも分からんが、可能性は低いが奴ら三人が異能力者だったらもう勝ち目はないように思える。くそっ、こんな時に風見と、白蓮がいてくれれば……。しょうがない。やるしかねー。


「おい、釧麦。約束の5万。用意できたか?」


「ご、5万!?2万じゃ……」


「そんな事言った覚えはねえなぁ。払えないんなら、またボコすしかねーぞ。」


発言から察するに、以前にも暴力をしていたらしい。


「僕があいつらを制裁するから、君はこのボイスレコーダーを持っていてくれ。」


「あ、ああ。」


言われるがままに、ボイスレコーダーを受け取る。靭着のこの余裕っぷりは、絶対に負けない、と確信しているという事なのだろうか。異能力者というのも考えられる。

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