前へ目次 次へ 6/36 たまゆら 幸福の理論を 筋立てて考えるのは どれだけの不可思議を 人生のなか 乗り越えるかを 空想するのとおなじこと 不可視の逡巡とか 四季折々の冷たさとか どうせはかないものだから せめて しあわせな夢を おなかいっぱい 食べさせてほしいのだよ ほんの一瞬 手が届きそうな気がした きみの髪を 掴めそうな気がした それでも 手を伸ばさなかったのは たまゆらに見た幻影だったからですよ ひとさじのお砂糖と いちまいの写真があればいいよ ねぇ、夢を見る準備はできたかい