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たるむ
ひび割れたレモンを
横に並べていって
水平線と見比べてみる
水平線は
ゆっくりとたるんでいって
歪んでいって
凸レンズに透かしたみたいに
ぐにゃりと消えていく
光景のなかに
ほんの一瞬だけよぎった
垂線の狭間に
ちょっとだけ揺らいだ
虚像と実像と偶像の
ちょうど中間位置にいる
手を繋いでいるようで
そうでもない
ピンボケした空に向かって
小石を投げつけてみて
草を根っこから腐らすつもりで
あたしの世界に毒をまいた
まだ
たるんだままの水平線
いらだちを隠さずに
レモンを割ってみせた
うーんこの。