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なんにも
あたしなんにも書くことないよ
そういうとき
無理に考えようとしたら
ほんとうに出てこないから 困る
テレビを横で流し続けて
なにについて謳おうかと
いろいろ考えてみてね
あたしなんにも書くことないや
そこまで辿り着いちまったら
喉の奥
すごく乾きだすんだ
比喩じゃない
純朴なひとでありたい
それは 清潔でも無欲でもなくて
ただ自分に正直で
でも包み隠すように
そんなひとでありたい
そう思って
あたしはあたしにそういう気持ちを吹き込むけれど
なんにも書くことないと
吹き込めもしないね
あたしなんにも書くことないよ
こころの底からそう思うんだ
ほんとうになんにも書くことがないんだ
だからちょっと
生きるおやすみをください。




