前へ目次 次へ 34/36 旗 澄み切った空は、インスタントコーヒーの味がした。甘くはないが苦すぎもしない。それだけ無意味な空なんだと、気づいた。 夏、輝いていたよ。冷えて閉じきったいまは、どうしても素敵に見えないのだ。暗い世界――それが嫌で嫌で、でもそんな未来しか描けない、この日々を讃えて。 過ぎ去る季節の中で、感情の昂りに慣れきって、もうさよならなんだぜ。あたし、地平線の向こうに消えていくから。捕まえるのならその右手で。追いかけるのなら旗を振って。