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アルル
悲しみとほころび
ひたいに浮き出ていた
麦わらの夏模様
汗を拭えば、草の香りがしたよ
あおい、あおい香りが
ま白く光るおひさまに
恋をしていた季節があった
麦畑を走り抜ける
靴のあいだを吹き抜けていく
風、ただ乾いて
アルル、あたしは
まだここにいたいよ
さよならだけが人生だ
きっとだれでも知っている
きみに麦酒を勧む
このさかづきを受けてくれよ
さよならだけが人生だ
少年は
まだ夏のなかに閉じ込められていたよ
あたしと一緒なのかい
かんかん照りのおひさまが
グラスの水滴を煌めかせた




