前へ目次 次へ 2/36 スカート ほら 春風に乗って だれかの温度が 溶けだした季節が 通り過ぎていくようだよ 遮断機の前で 止まらずに 過るのは まだ 幼かったころの思い出 へたなひらがなしか 書けなかった日のつれづれ 何年も前と 同じ桜がひらひら散って 風が スカートを ふわりと膨らます 緩やかな日々 それは夢うつつ 境目のない穏やかな情景 ささやかな慕情 それは春のようで もう二度と帰らない あたたかな季節 季節が巡り巡るだけ あたらしいひとと巡り合う 季節が過り過ぎるだけ しらない風が吹き抜ける