10/36
猫と朝霧
ごろんと寝転がって
腹を出して
撫でろっていうような顔
それから
気まぐれで立ち上がって
気まぐれでどこかにいって
まるであのひとみたいだね
首根っこをつかまれたら
とたんに大人しくなるところとか
爪でひっかいたくせに
いきなり甘えてくるところとか……
越えられないのはね、夜さ
はたしてどれくらいの思いを
一生つみかさねないといけないのでしょう
霧のように立ち込めて
こころはどこかへ散っていく
朝霧のように
もうどこにも跡形もないよ
きみは
あたしは
どこにだって