楠 光の回想シーン
僕は親が弁護士と元公務員の間に生まれた一人息子。親は厳しくいつも勉強ばかりさせられていた。勉強は別に嫌いじゃなかった。中学に上がると試験とかがあり、学年の順位が発表されたりで自分はいつも上位入賞者。どの教科においても成績トップ。でも両親は『何故一位じゃないの。』、『中学の勉強程度で満点を取れないようじゃ将来立派な職に就けないぞ!』。そういって僕を認めてくれない。自信が序々に削れていった僕は成績が落ち、好きだった勉強が嫌いなものになった。
そんな時・・。
「ねぇ、楠。財布忘れた。悪いけど昼飯代・・。貸してくんね?」
初めて人に頼られた気がした。心が荒んでいた僕は頼られるという素晴らしさを知った。
「もちろん。」
それから僕は彼らとつるむようになった。単純に嬉しかったんだ。誰かに求められ、必要とされている自分が。たまに過激なスキンシップや、物を隠されるおちゃめないたずらがあって、試しに僕もやってみると胸倉を掴まれちゃったりしたけど、それは高校の青春の中では起きても不思議ではない出来事で、逆に仲たがいをして、また仲直りすることでより親睦を深める的なやつで・・。決して・・。僕がパシリにされてるなど・・・。
愛:「いやそれパシられてるって。」
光:「人の回想シーンに口はさまないで!!!」
コホン・・。
えーっと・・。
パシリなっているなど無い・・。そう信じていた。
正直そのころまでに友達がいなかった僕は財布の中身を気づいたら抜き取られてたり、挨拶代わりに飛び蹴りされたり、お金を『貸す』のが『あげる』に等しかったりというのがパシリなのか友達なのか分からなくて疑問はあった。
祐司:「なら気づけよ。」
光:「だから静かに聞いてて!」
疑問はあったけど・・。考えないようにした。唯一の友達を失うのが怖かった。でも・・。ある日あいつらが話してるのを聞いたんだ。
モブ1:「今日もATM来てっかな。」
モブ2:「きてるだろ。あいつ俺らのことマジのダチだと思ってるしw。」
モブ3:「本名何だっけ。くすのき?」
モブ2:「知らね。つか興味も無ぇ。」
気づいたんだ・・。彼らにとって僕は友達じゃないって。
モブ1:「ていうかこの学校もチョロすぎw」
モブ3:「絶対教師ら俺たちのやってること気づいてるだろw」
モブ1:「なw。でもこの学校の大事な大事な名誉が台無しになっちゃうから何もいわねぇww」
モブ2:「マジで俺たちのやり放題だよなw。」
モブ1:「それなwww。」
ショックだった。友達じゃなかったこと、それに気づけなかったこと、学校側が助けてくれなかったこと。でも一番は・・。
回想終了・・。