ワインを飲みましょう
次回から2章目に入ります。
その夜はお小遣い稼ぎが出来たから飲食店に入り、
カルボナーラと飲み物を注文して、
待っている間は三人で楽しく会話をしていた。
『カルボナーラ早くこないかなー?』
『さっき注文したばかりだからまだこないだろう』
『お腹すいたのー』
『フワリまで・・・』
リリーが待ち遠しくしていると、
女性の店員がこちらのテーブルに近づいて来て、
先程頼んだ飲み物をテーブルに置いてくれた。
私とリリーはワインを頼み、フワリは葡萄ジュースを頼んだ。
リリーは初めにフワリに飲ませてあげる為に、
葡萄ジュースが入っているグラスを肩に乗っているフワリに近付けて飲ませていた。
『どう美味しい?』
『うんっ、凄く美味しいのー!』
その後は一度グラスを置いて、
目の前に置かれているワインが入っているグラスを自分の口に近付けた。
私もリリーに合わせて一口飲みと、二人揃って口を開いた。
『うん、幸せだわー』
『ああ、幸せだな』
フワリは私達を観て羨ましがっていて、頬を膨らませていた。
『むー・・・私も飲みたいのー』
『フワリはまだ14歳だから無理よ』
『後6年も待てないのー』
リリーに止められて更にふてくされていた。
『フワリはこっちの葡萄ジュースだよ』
とリリーに言われてグラスをフワリに近付けて飲ませたら、
『あ、葡萄ジュースもやっぱり美味しいの』
と言って機嫌を直してくれた。
それぞれのワインが半分程飲み終わった頃に、
ようやく本日のメインディッシュのカルボナーラが届いた。
リリーは早速フォークを手に取り、フォークを回してカルボナーラを巻きとった。
さすがの私もお腹が空いていたから、
リリーの真似をしてカルボナーラを口の中に入れた。
『美味しい!』
『ああ、これはいけるな』
想像以上にお腹が空いていて、一度食べたら手が止まらなかった。
フワリもテーブルの上に乗り、
リリーの皿からカルボナーラを一本ずつ吸って食べていた。
『うん!これは美味しいのー!』
食べ方がハムスターみたいで可愛いなーと微笑んで見ていた。
それからあっという間に食べ終わり、
私がワインを飲もうとしてグラスを取ろうとした時、
リリーがポケットからハンカチを取り出した。
口でも拭くのかなと思っていたが、
リリーは席から立ち上がって私の口元に手を伸ばした。
『スフィア、口元にクリームが付いているわよ』
『えっ?』
ハンカチで口元に付いていたクリームを拭かれると、
ちょっとだけ照れてしまった。
『あ、ありがと・・・』
『うん、どういたしまして』
ふとフワリを見たら私達を交互に見てニヤリとしていた。
『むふふー、ラブラブなのー』
『あっ、いやラブラブではない!』
『周りが観たらカップルにしか見えないのー』
『ちょっ、カップルって言われたら恥ずかしくなるからやめろ! 』
フワリに冷やかされていると、リリーがくすくすと笑っていた。
『うふふっ、スフィアったら凄い動揺しているよ』
『リリーまで・・・』
気恥ずかしかったが、やはりこの三人と一緒にいると心地よくて楽しいな。
微笑んでいたらリリーに気がつかれた。
『どうしたの?スフィア』
『いや、何でもないよ』
『えー気になるなー』
『内緒だよ』
一緒にいて心地よいだなんて気恥ずかしくて言えない。
けど、今日は改めてリリー達がこの町に引っ越しをしてくれて良かったと思った。
明日からは1話ずつの投稿になります。