幸運の女神 共通③
なんの騒ぎだろうか、私は好奇心からフロアに行く。
四方の出入り口に、たくさんの行列とその中心人物がいた。
「この俺様を祝日を除き毎日出迎えるとは良い心がけだな。お前達の働きぶりには感涙だ!……はーっはっはっは!」
「ソリト様あああああ!!」
頭に王冠をつけた金髪の生徒は、クラブ型の杖を振りまわしている。
「毎度毎度、飽きもせず通行の妨げとは、いいかげんにしてくれ。ただの迷惑だ」
「モネ様!冷たいところもすてき!!」
眼鏡をかけた水色髪の生徒はダイヤ型のプレートがついたペンダントをしている。
「まあまあ、悪気はないんだしさ」
「ルタカ様やさし~」
薄緑髪の生徒はスペード型ピアスをしている。
「申し訳ありませんが僕達は移動しなければなりません」
「トランくーん」
桃髪の生徒はハートのタイピンをしている。
「ソリト様ああワタクシをなぐって!」
「いえあたしを踏んでください!」
「モネ様!罵倒してください!!」
「ルタカ様、誕生日なので頭を撫でていただけませんか?」
「トランくーん握手して~」
彼等はまるでアイドルのように、東西南北の行く手を女生徒たちに阻まれていた。
「騒がしいですよ、みなさん」
手を叩く音がして、皆が上をみる。そして銀髪の生徒が華麗に降りてきた。
「きゃああああ!」
「テルビさまあああ!」
女生徒たちが四人から離れて一斉に彼へ群がる。
「はいはい、君達はさっさといきなさい」
「感謝する」
「礼を言う」
「あざーす先輩」
「助かりました」
四人はこちらに向かってくる。失念していたが私がいる場所は5つ目の通路だ。
彼等は私を見て、何も言わずに進む。一体何者だったのか、功績をあげる際に障害物となるのは間違いない。