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急に息苦しくなり、勢いよく背中を起こす。喉や肺が圧迫されるような感覚に襲われ、耐えられなくなり激しく咳き込む。___そういえば、ガキの頃は喘息持ちだったっけ。

あたりを見回すと目の前には扇風機、その近くには深めの皿がある。そこに少し残っている水と着色料からして、かき氷が入っていたのだろう。手が少しべたついていることから、食べたのは僕なのだろうか。


「あ」


思わず声が漏れる。ここは…間違いなく僕の実家の居間だ。…なぜ今僕はここにいるのだろう。

目が覚める前のことを思い出そうとすると、頭痛が思考をストップさせる。確か、仕事から帰ってきて、一人暮らししているアパートに戻って、それからは…


「…ごほっ、ごほっ」


息が苦しい。発作なんて何年ぶりだろう。それ以外にも、どこか違和感を感じる。…廊下から誰かが走ってくる音がする。


「ちょっと、陽介、大丈夫?!ちゃんと薬は飲んだの?」


そこには母が立っていた。関東で就職したっきり、実家のある関西には父が死んだ時の一度しか戻ってきていなかったため、ひどく懐かしく見えた。


「母さん、…久しぶりだね。大丈夫だよ、今はもう治ったと思ってたんだけどな。病院に薬貰いに行かなくちゃまずいかな」


咳き込みながらもそう答える。


「はあ?あんたね…寝ぼけてんの?それに、昨日も発作起こしてたじゃない。さてはお昼ご飯の後薬飲むのサボったでしょう。全くもう…」


母は怒っているようだ。状況がよく理解できない。昨日も発作を起こした?…喘息のことなどもう何年も思い出していなかった。母は早口で続ける。


「陽介、あんた中学最初の夏休みで浮かれてるんでしょう。今年で13歳にもなるんだし、もう少ししっかりしなさい」


「…え」


胸が苦しい。大きく咳き込む。頭痛は増してゆく。声が、うまく出せない。


「僕は…」


「どうしたの?…咳、ひどいわね…本当に大丈夫?」


「今、西暦何年の…何日だっけ」


「どうしちゃったの?今は2003年の7月29日だけど、…陽介?」


思わず立ち上がる。咳のしすぎで喉がひりひりする。目には涙が浮かんでいたが、視界が低くなっていることはすぐに気付いた。



___これは、何だ?

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