緑の発見
壊れるのではないかと思うほど勢い良くドアを開ける。
その勢いを殺すことなく研究室の奥にある記録室に向かう。
休むことなく中に入る。息はかなり上がっている。
次にズボンのポケットにしまってある携帯電話を取り出し"堂上先輩"という人に電話を掛けた。
「もしもし〜」
気の抜けた柔らかい女の人の声が耳に直接入ってくる。
「もしもし、夜分遅くにすいません。石原緑です」
「急にど〜したの〜?」
柔らかい声で先輩は訊いてくる。
「ちょっと見たい物があって。先輩、月の光の波長とかって調べたことあります?」
「ん〜、ど〜だったかな〜」
先輩は考える様でゴソゴソと緑が記録室を漁る音だけがする。
「あ〜、2年ほど前の月食の時に〜1度調べたよ〜」
「それって記録室に残ってますか?」
タイムラグほとんどなく緑は聞き返した。
「あるよ〜。って緑くんいま記録室にいるの〜?」
「はい、います。分かりました、ありがとうございました! おやすみなさい!」
それだけ言うと緑は通話を終了し携帯電話をポケットに入れ2年前の記録が置いてある場所を探し出した。
「あった…」
目を夜空の星のようにキラキラと輝かせその記録を食い入るように一瞥した。
「やっぱり……」
最後まで見切った緑はそう呟いた。
いつの間にか追いつてきた潤が後ろに立っており不思議そうな顔をしている。
「赤くなった理由わかったぜ」
「嘘だろ?」
「こんな時に嘘言ってどーすんだよ!」
緑は撮影用のグラスを持ち出すように潤に促した。
外に出た2人はそれで赤い月から出でいる光の波長を撮影用のグラスで撮り明日に備えた。
次の日。研究室の仲間全員に向けて石原緑は宣言した。
「月が赤くなっている理由が分かりました」
潤を除く一同は目を丸くして驚いた。
「これを見てください」
2年前、月食の時に撮影された本来の月の光の波長と昨日撮影した赤い月の光の波長の写真を並べて示した。




