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始まりの町 シエル


「それにしてもご主人さまはお強いのですね」

町に向かう途中、マリンは俺のやや斜め後ろで声をかけてくる。

「そう?強いのは俺じゃなくてもこの短剣だろ」

「そうなんですか。それでもやっぱりすごいです。召喚獣の攻撃を受けても何ともないようですし」

斜め後方から歓声が聞こえてくるが、顔が見えないから表情は読み取れない。

「マリン、俺の横を歩いてくれないかな?すごく・・・しゃべりにくいです」

「え?いえ、でも・・・奴隷なのでご主人さまと一緒に歩くなんて」

「いいんだよ。というか、しゃべりにくい。せっかく可愛い女の子と一緒に歩けるんだから、できれば隣で歩いてほしいじゃん」

「ご主人さまがそう仰って頂けるなら失礼しますね」



マリンが俺と歩調を合わせて隣に来る。

やばい、すごくいい匂いする。女の子ってみんなこんないい匂いするのか。高校は男子高だったから中学までの免疫しかない俺には、この時点で頭がクラクラした。

それでも、俺は今までエロゲーで脳内シュミレーションは万全に行ってきたはずだ。

ゲームの主人公のように、女の子とイチャイチャしたいのだ。

「ご主人さま?何を呟いているのですか?」

あ。どうやら口でブツブツ独り言を言っていたようだ。



「で、なんだっけ。召喚獣の攻撃だっけ?」

「あ、はい。あの召喚獣の攻撃に対抗するには、同じ火属性の防御結界を張るか、または水属性の攻撃によって打ち破るしかありません。それなのにご主人さまは何もせずに堪えてしまうなんて」

多分はそれは森羅万象の指輪のおかげだろうな。

スキルに4属性攻撃吸収ついてるし。



マリンにはどこまで説明すべきだろうか。

俺は異世界からやってきたキモオタで、単純に設定ポイントでつけた武器のおかげで強いだけなんだが。

「マリンさあ。設定ポイントって知ってる?」

「はい?なんですか、それ。何かの点数ですか?」

「いや、なんでもない・・・俺さ、実は記憶喪失なんだ」

「え?き、記憶喪失?ご主人さま、大丈夫なのですか?」

「いや、生活する分には問題ない。キャラカードがあるから名前もわかってるしな。だけど、自分の生まれた場所も、この世界のこともあまり覚えていないんだ」

「・・・そう、なんですか」

「あ、あまり同情しないでくれよな。ただ、本当に覚えていないことが多くあるからマリンには迷惑かけちゃうかもしれないけど」

「いえ、私は全身全霊ご主人さまをお助けしたいと思います。ご主人さまが生きていく上で困らないように私が居ると思ってください。これが私ができる恩返しですから」


なにやら憐れみとも母性本能だかわからない感情で決意を漲らせているようだが、まあこれでいいだろう。この世界の基本ルールも知らない俺には記憶喪失としていた方がいろいろと都合がいいだろう。



そんな会話をしていると町の入り口にさしかかった。

千里眼で確認したときは、町の回りを高い塀で囲んでいる印象だったが、間近で見るとさらに大きく感じた。

「ネットの写真で見た中世ヨーロッパって感じなのかな」

町を入ったすぐ目の前の通りが露店が立ち並ぶ商店街になっているようだった。

活気に溢れているが、そこには人間だけでなく色々な種族が入り乱れていた。

種族のるつぼだな・・・

「マリン、拠点となる宿屋を探そう。できれば安いところがいいな」

「はい、私はこの町に何回か来たことがあるので、安い宿屋を知っています」



この町の名前はシエルというらしい。

なんでもこの町の近くに大きな迷宮があり、その迷宮探索の最高記録をもつパーティの名前がつけられたそうだ。



露店の通りを抜けて東に居住区、西にギルド区、北に工場区。

宿屋や生活保障などの役所などは中央区に存在しているようだ。

中央区からもさらに西の方に外れた場所に目的の宿屋があった。



宿屋:エール

宿屋に入ってカウンターに居る店主に声をかける。

「今日から二人泊まりたいんだが」

「二人部屋なら二人で1泊食事つきで1銀貨だ」

あ、俺金とか持ってないな。

マリンの方を向くと、ニコッと笑顔で銀貨を支払っていた。

「あいよ。部屋は2階に上がった一番奥の場所だ。食事は夕食と明日の朝食な。夕食は夜鐘が鳴ってから3刻までだ」

「わかりました。では、ご主人さま行きましょう」

「お、おう」



ふう、疲れた。

部屋は大きなベッド一つと箪笥が一つ、観葉植物から部屋の隅に置かれている簡素なものだった。

「それにしてもマリンは奴隷だったのによくお金なんて持っていたな」

ベッドに腰かけながらマリンに声をかけた。

「あ、あれですはですね・・・」

マリンはなぜか言い淀んでいるようだが、どうしたのだろうか。

「どうしたんだ?」

「あ、いえ。実は倒れていた奴隷商人のバッグを拝借しまして」

えええ?それって泥棒だろう・・・って思ったが町を焼き払わうような輩だし、いやいやでも・・・

目の前にいるマリンが申し訳なさそうに立ち尽くしている姿が、とても可愛く見えてきて。

「ありがとう。俺は金なんて持っていなかったから助かったよ。マリンは役に立つな」

「あ・・・ありがとうございます。私の荷物も取り返すことができたのでよかったです」



今後のことを考えなくちゃいけないとマリンとお金の工面をどうするか話すことにした。

マリンが言うにはこの世界でお金を稼ぐにはダンジョンに向かうのが一番だということだった。

「ダンジョン?」

「はい、迷宮、ダンジョンなど呼び方は幾つかあるようですが、ダンジョン攻略がお金を稼ぐのに手っ取り早いです。私の村の収入源もダンジョン内の魔物が落とすアイテムの転売でしたから」

なるほど。

マリンが言うにはダンジョンは世界各所に存在していて、世界中の冒険者がダンジョン内の魔物からアイテム取得しては露店などで転売しているようだ。

ちなみにダンジョン自体も魔物のようで、ダンジョン内で死んだ生物を吸収して成長するとのこと。

何そのラフレシア。



「じゃあ俺らもそのダンジョンを攻略して路銀を稼ごうか。ダンジョンって二人で攻略しても問題ないのか?」

「攻略するのは問題ありませんが、パーティを組む必要があります」

ダンジョン攻略者はそれぞれパーティを組んで、そのパーティ内でアイテムを分配するのが主流とのこと。

ジョブ経験値は共有されるので、あまり多くのパーティで臨んでも経験値のうまみは少なく、またアイテム分配での仲間割れも起きやすいので、一般的には4人ほどで組むのがいいとされているようだ。

なるほどね。どこぞのRPGみたいだな。

「了解。とにもかくにも一度行ってみないとわからないが、マリン、今お金ってどれぐらいあるの?」

「はい。所持金としては金貨10枚に銀貨3枚と銅貨が幾ばくかってところです」

金貨1枚=銀貨10枚らしいので、しばらくは何もしないで生活はできるが、すぐに枯渇してしまうようだ。基本的に円の通貨の仕組みと変わらんかなあ。

「そうか。じゃあ明日にでもダンジョン攻略に向かわなくちゃな。マリンはダンジョンに行ったことあるのか?」

「はい。先ほどお伝えした通り、私の村での収入源はダンジョン攻略だったので、私も何度もダンジョンに向かって魔物と戦いました。」

俺より実践経験が豊富なわけか。これは頼もしいな。

「マリンは奴隷になる前は何のジョブ持ちだったんだ?」

「前のジョブは魔法使いでした」

「ほう、魔法使いだったのか。じゃあ君も苦難な30年を過ごした口か」

「え?私は20歳ですよ。それにこの世界で魔法使いはそこまで珍しい存在ではありません。生まれたときに魔法特性があるか判断されて、魔法使いの特性があるものはそれぞれ自分と相性がある魔法訓練を受けることになりますから」

「そんなものか。ちなみにマリンの魔法特性はなんだ」

「えっと、光です」

光特性の魔法特性は闇特性の次に珍しいらしく、ヒーリングなどの回復役としてダンジョンに潜るようだ。



それにしてもジョブが変更できないなんて本当にあるのか・・・複数ジョブが持てる俺にとってはそれほど厳しくないが、この世界の住人たちはそれではきついだろう。何かあるはずだが・・・

まあ所有者は俺なのだから特に問題ないだろう。

もし魔法使いに戻れる方法が見つかった時は考えよう。



マリンと二人で買い物に出かけた。

露店が立ち並ぶ通りを歩いていると、本当に色々な種族がいることに気づく。

獣人、エルフ、ドワーフ、人間・・・全身が真っ青な種族がいるが、あれは魚人かな・・・

物珍しそうに俺が露店を見て回っていると、マリンが俺に声をかけてきた。

「ご主人さま、武器屋はこっちです」



武器屋には剣やら槍やら鈍器など多くの武器が揃っていた。当り前か。

「色々種類があるようだが、どれがいいんだ?」

「そうですね。魔法使いなので知性を増幅してくれる杖系統の武器であれば問題ありません」

「そうか。じゃあこれ」


木の杖 LV1

スキル:知性小上昇


「はい。ありがとうございます」

銀貨1枚支払って店を後にする。


「それじゃ防具屋に行くか」

「わかりました。防具屋はあちらにあるようです、ご主人さま」

何が嬉しいのか木の杖を大事そうにかかえたマリンを追って防具屋へ向かうことにする。


「そうだな、この服なんかいいんじゃないか」

「え?でもそれ踊り子用の服ですよ、ご主人さま」

俺が持っていた服は皮一枚の胸当てと透けたショールだった。

「しばらく暑いからな。これでいいだろう。下半分は自分で選んでいいぞ」

「いえ、でも・・・」

「大丈夫これでいい。親父、これに適当に下の防具を見繕ってくれ」

「へい、兄ちゃんもお目が高いね。これは身軽さと魔法防御に優れた1枚だ。じゃあこれに下はサービスで皮のスカーフもつけてやるよ」

「そんな高価なものいいんですか?」

いいんだ。これで俺のテンションも上昇する。


魔法の羽衣

スキル:敏捷中上昇 魔法結界


皮のスカーフ

スキル:なし


日用品の買い物を適当にマリンに見繕わせて、宿屋へ戻る。

「ういー疲れた・・・まあこれで必要なものも揃ったし、明日からダンジョン攻略だな」

「はい、でもいいんですか?私のものまで用意頂いて」

「いいんだよ、勝手に死なれても困るしな。それに俺も役得があるしな」

宿屋に戻ってすぐにマリンに魔法の羽衣に着換えさせた。

何度見てもマリンのそれはでかい。皮の胸当てが今にもはちきれんばかりである。

恥ずかしそうに胸に手を抑えている姿を見ているだけで想像以上に妄想を掻き立てられる。

今夜が楽しみだな・・・



俺はこの世界で前の世界では味わえなかったことをすると決めた。

誰にも憚れることなく、自由に自分の思うままに行動しようと決めたのだ。

だから・・・


夕食を終えて部屋へ戻ってきた俺は、ベッドに腰掛ける。

いよいよだ。前の世界での魔法使いになるための条件を早々に捨てる権利を得たんだ。

「それじゃご主人さま、そろそろ休みますか」

「そ、そうだな。明かりを消した方がいいよな」

「は、はい。そうですね。消していただけると助かります。は、恥ずかしいですし」

「残念だがそれは無理だ。俺がマリンを見れなくなる」

恥ずかしそうに俯きながらベッドの前に立つマリンの表情を見ているだけで、俺はもう我慢ができなくなって、マリンに抱きついた。

「え、きゃっ・・・」

そのままベッドに押し倒した俺は、荒くなった息を抑えながらマリンの胸に顔を押し付けた。

「あっ・・・く、くすぐったいです、ご主人さま・・・」

華奢な体からは信じられないほど大きく実った果実を一通り弄んだあとに、

マリンに誓いの言葉を投げていた。

「一生俺のものであり続けるか?」

「はい・・・マリンは今後一生ご主人さまのものです」

誓いのキスをした後に、俺はマリンの全てを味わいつくした。


その日明け方まで部屋の電気は落ちることはなかった。



・・・ふう。


言葉が足りませんね。

ロックの心情と一緒に言葉づかいが変わってきています。

うまくロックの心情が伝わるように頑張っていきます。

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