第十話 動物園と水族館に連れて行ってもらえたけど、やはり見た目がファンタジー感溢れ過ぎてるよ。遊園地の乗り物もファンタジーだよ。
次の休日。
「桜子お姉ちゃん、今日は動物園と水族館に連れて行ってあげるよ」
「見たことのない動物さんだらけだろうからすごく楽しみだなぁ」
桜子とコリルはお馴染みのドラゴンに乗せてもらい、まずはリーチェ王国内最大規模の動物園へ。
コリルは無料、桜子は入場料大人500ララシャを支払って、園内へ。
「おううううううううううう! いきなり凄い! 恐竜みたい。乗ってみたいなぁ~」
最初に目に飛び込んで来たのは、多数羽のダチョウのような鳥。
桜子の背丈よりも大きかった。
「桜子お姉ちゃん、ちっちゃい子どもみたいに大はしゃぎだね」
コリルはふふっと微笑む。
サル舎を訪れ、最初にラムカオの檻の前を通りかかると、
ギャーッ!! ヴォーッ!! ウォッウォッウォーッ!! フォーッ!! ウッフォ!!
中にいる五頭全てのラムカオが急に甲高い雄叫びを上げ、二人の方へ近寄って来た。
ウォーッ! ヴォーッ!
ウホウホウホウホウホォーッ! ウッホッホーッ!
「うるさいよ。けど野生のやつよりは大人しい感じだね。ラムカオの檻のお隣は、ゴリラさんだね。私のいた世界のゴリラよりも大きいし、強そう。ドン〇ーコングみたいに地形を縦横無尽に破壊出来そう」
「あのゴリラはググボボイって言って、とっても強そうなお顔と体つきしてるけど、すごく大人しい性格なんだ。野生のでもね。オスメス共に子煩悩で子育て熱心、仲間思いでもあるよ」
「そうなんだ。素敵なゴリラの魔物さんだね」
「天敵に襲われないように、外見だけでも強そうに見えるように進化したって魔物学者さんが言ってたよ」
「それはいい進化を遂げたね」
コリルから楽しそうに伝えられるこの魔物に対する豆知識を、桜子は楽しそうに聞いていた。
そのお隣の檻には、
ウウウウォーウォー、ウウウウォーウォ―、ウウウウォーウォー♪
「きれいな鳴き声だね。それに、色もカラフル。私のいた世界のお猿さんは、あんなにカラフルなのはいないよ」
虹色に輝く毛並みを持つお猿さんが。
「ニジイロルルモンザルは熱帯地方のジャングルに棲息するお猿さんなんだ。大人しい性格だけど、あの美しい毛には猛毒があるから、直接手で触れたらダメなの。これも天敵に襲われないようにするための進化だよ」
「へぇ。私のいた世界にいるヤドクガエルみたいな感じなんだね」
サル舎を抜けた辺りで、ラムカオショーもやっていた。
「あっ、桜子さん、お久し振りです」
「あなたは、あの時のラムカオショーのお姉さんじゃないですか。あの公園に出張しに来てたんですね」
「はい。ここを拠点に、カシタ君を連れて全国各地で公演を行ってますよ」
ウキキ♪
カシタ君は桜子と目が合うと、嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねる。
「カシタ君、こんにちは」
桜子はカシタ君と嬉しそうに握手。
パチパチパチパチパチッ!
観客から拍手が。
「カシタ君、また桜子ちゃんとお絵描き対決してみるのは、どうかな?」
調教師のお姉さんがこう問いかけると、
ウキ。
カシタ君は苦笑いを浮かべ、手で×印を作った。
「あらら、カシタ君お絵描きは桜子ちゃんには敵わないと思って勝負を逃げちゃったようです」
調教師のお姉さんがこう伝えると、
アハハハハハハハッ!
観客からは笑いが。
「では、今日は、桜子ちゃんとなわとび対決してみましょっか?」
「ちょっと待って下さいお姉さん、身体能力系は私、絶対勝てないですよ」
桜子、慌て気味に言う。
アハハハハハハハッ!
観客からはまたしても笑い。
「では、グラグラゲーム対決にしましょう」
調教師のお姉さんは、ジェンガによく似ているおもちゃを持ってくる。
外箱には、桜子の似顔絵イラストが描かれていた。
「それなら、勝てるかも。やったことあるし」
桜子がそう呟くも、
ウッキキ、ウッキキ♪
いやぼくが勝つよ。
とでも言わんばかりにカシタ君は笑みを浮かべていた。
調教師のお姉さんは外箱から例のおもちゃを取り出すと、舞台上に設置されているテーブル上に置いた。
こうして、『グラグラゲーム』対決をすることに。
ウキキキキ♪
カシタ君は初めて遊ぶようで上機嫌だ。
「どっちが先手になるかは、くじで決めちゃいましょう」
お姉さんは割りばしのようなものが二本入った筒を持ってくる。
「じゃんけんでもいいですよ」
桜子がこう伝えると、
「じゃんけん? どういったものなのでしょうか?」
お姉さんはきょとんとしたのち、アハッと笑う。
「じゃんけん? 初めて聞く言葉だな」
「じゃんけんって何?」
観客もこんな反応。
「じゃんけんっていうのがないんだ! この世界」
桜子は驚き顔だ。
「ルールを説明するのも時間かかっちゃうんで、くじでいいですよ」
「桜子さん、気になるのであとでじゃんけんというものがどういったものなのか、教えて下さいね」
「もちろんいいですよ」
とりあえず、桜子とカシタ君、同時にくじを引いた。
棒の先端部分が桜子は赤、カシタ君は白だった。
「桜子さんが先手です!」
お姉さんはそう告げるも、カシタ君はにっこり笑顔で余裕の表情だ。
「桜子お姉ちゃん、頑張って」
「「「桜子、頑張れ!」」」
コリルとその他多くの観客が見守る中、
「じゃあ、いっきまーす。崩れないでね」
桜子は恐る恐る積み木を一つ引き抜き、最上段に積む。
見事成功!
「「「「「カシタ君、頑張ってぇ~ぇ!」」」」」
ウキキキ♪
カシタ君も成功だ。
観客からの応援に、照れくさいのかにっこり笑って頭を掻く。
桜子、二本目。
「崩れちゃダメだよ。あっ、まずい」
少しぐらついてしまったものの、無事成功。
ウッキ♪
カシタ君はぐらつかせることなく余裕の成功だ。
桜子、三本目。
「そろそろ危ないかな?」
ぐらつかせることなく余裕だった。
かに見えたが、
次の瞬間、
ガシャーン!
グラグラおもちゃは崩れてしまった。
「あらら、負けちゃったかぁ」
桜子は苦笑い。
その約一秒後だった。
「コラッ! カシタ君、妨害行為はダメだよ。カシタ君の反則負け!」
調教師のお姉さんは険しい表情になり、カシタ君をしっかり注意したのだ。
「お姉さん、カシタ君が何かしたんですか?」
「塔を目掛けて息をふぅって吹きかけたの」
「そうでしたか。まあまあお姉さん、カシタ君まだ子どもみたいですし、大目に見てあげて下さい。私の負けでいいですよ」
桜子はハハッと上機嫌で笑う。
「子どもじゃないです。カシタ君はワタシがちっちゃい頃からいっしょに育って来た、二十歳も過ぎた立派な大人です。たとえ子どもであっても甘やかし過ぎるのはダメです」
お姉さんはきっぱりと言い張る。調教師らしく叱る時はちゃんと叱るのだ。
ウキィ。
カシタ君はしょんぼりして反省。反省だけなら猿でも出来るのだ。
ともあれ桜子の勝利である。
パチパチパチパチパチッ!
観客からは大きな拍手が送られた。
「桜子さんの出身地には、こんなユニークな遊びもあるんですね。では、またお会いましょう」
ウキキ♪
「またね、カシタ君とお姉さん」
桜子は約束通り調教師のお姉さんにじゃんけんのルールを簡単に説明してあげ、お姉さんとカシタ君に別れを告げた。
園内を歩き進んでいると、キリンのような魔物の姿もまみえた。
檻の周りには大勢の人だかりが。ちょうどエサやりの時間だったのだ。
スケッチに励んでいる子ども達も大勢いた。
「長閑でいい風景だね」
桜子も朗らかな気分でスケッチする。
園内をさらに歩き進んでいくと、
「ペガサスもいるぅ。あっ、空飛んでる。馬車に使われてるのは飛べないって言ってたけど」
「空を飛べる種もいるんだよ。馬車のペガサスよりも翼が大きいでしょ」
「あっ、本当だ。三倍くらいはあるね」
桜子のいた世界では空想上の動物にも出会えて、大興奮でスケッチに描いていく。
「ゴヌゲロングマは、この間魔物ハントに同行した時に野生で遭遇した時はすごく怖かったんだけど、動物園で檻の中で展示されてるとなぜかかわいく見えちゃうね。ハンターさんが言ってた通り子ども達に大人気みたいだね」
「あたしやお友達もゴヌゲロングマさんグッズ、いっぱい持ってるよ。ここのスーベニアショップでもいろんな種類の限定グッズが売られてるよ」
「そこ寄ったら買おうっと♪ マンモスもいるね! 私のいた世界じゃとっくに絶滅してるよ。この子がいるってことは、マンモス肉も売られてるとか?」
「うん! すごく美味しいよ。給食にもたまに出るよ。あそこの屋台でも売られてるよ」
コリルは数十メートル先を指し示す。
「あっ! 本当だ。しかもあのマンガ肉の形してるぅ。お姉さん、一本下さぁ~い!」
「五〇〇ララシャで~す」
「思ったより安い!」
桜子は一目散にその場所へ駆け寄っていき、狐っぽい耳をしたお姉さん店員さんから購入した。
そしてガブリと齧り付く。
「めちゃくちゃ、美味しい♪ リアルで食べられるなんて最高だよ。幸せ過ぎだよ」
瞬く間に恍惚の表情へ。嬉し涙もぽろりと出た。
「マンモスのお肉は確かにすごく美味しいけど、泣くほどかなぁ?」
普段から食べ慣れているコリルは微笑ましく眺める。
ブヒョ、ブヒャ、ブヒュブヒュ♪
なんとも汚らしい豚のような鳴き声も聞こえて来た。
「うわっ、なんかゼ〇ダに出てくるボ〇ブリンに似てる。よく見るとかわいい♪」
桜子は檻の中にいた三頭のそいつを眺め、またしても笑ってしまう。
「あの豚さん、ブヒョロンっていう名前の魔物さんで、お肉もすごく美味しいよ。給食にもよく出てくるよ。わたしも大好き♪ 市場にも売られてるから、晩御飯に買って帰ろう」
「いいねぇ。私も食べたいし」
ニャーォ♪ ニャーォ♪
「ネコさんもいるんだね」
「シロヒネコっていうネコの魔物さんが展示されてるんだよ」
桜子とコリルは猫っぽい鳴き声がした檻の方へも近寄ってみた。
「でかっ! ネコというより、トラに近い生き物だね。まあトラさんもネコ科だけど。この子も猫の仲間だから、食用にはならないのかな?」
「うん、ならないよ。あっ、桜子お姉ちゃん、近寄り過ぎると危ないよ」
コリルが注意した矢先、
ゴォォォ!
「うわっ! あちちちっ!」
桜子は驚いて仰け反る。
体長二メートルほどのそいつは威嚇して炎を吐き出して来たのだ。
「火まで吐けるんだ! さすがファンタジーだね。私のいた世界には火を吐く生き物なんていないよ。可愛らしい鳴き声してだけど恐ろし過ぎるよ」
「シロヒネコはきちんと躾ければ炎でお料理も手伝ってくれるし、ペットとしても大人気だよ。持久力があって長距離走れるから、魔物狩りのお供にも利用されてるの」
「ますますファンタジー世界っぽいよ。お隣の檻の魔物さんもユニークだねぇ。カンガルーと狸が融合したみたぁい」
「マロデンティアポケットタヌキは、リーチェ王国南部のマロデンティア地方にだけに棲息する固有種の有袋類なんだ。体高一三〇センチくらいあるけどずっと小さいネズミさんが天敵なの」
「顔が狸でポケットも付いててネズミが天敵だなんて、まるでド〇えもんだね」
「爬虫類魔物館もユニークな魔物さんがいっぱいだよ」
「じゃあ次そこ行こう!」
薄暗い館内に入るとさっそく右側にオオアナコンダ、左側にニシキヘビのようなヘビがお出ましした。
「でっかっ! 二〇メートルくらいあるんじゃないの。こんな大きい蛇見たことないよ、まさにファンタジー世界の大蛇って風格だね」
桜子は子どものように目をキラキラ輝かせる。
「毒も持っててめちゃくちゃ強いんだけど、ソフィチアさんはこの蛇を蹴り一発で倒してたよ」
「やっぱ凄いよねぇ、あのお方」
桜子が感心している中、
「きゃぁんっ! いきなり動いた。怖ぁいっ!」
「大丈夫だよ」
わざとらしく彼氏に抱き付く若い女性の姿もあった。
この世界にもこういう感じのバカップルがいるんだね。
桜子は微笑ましく眺め、館内を進んでいく。
「おおおおおっ! 亀さんが空飛んでる! ファンタジーだよ」
「この魔物さんも火を噴くから近づき過ぎると危ないよ」
その後も桜子のいた世界では見たことのない爬虫類達と遭遇し、大興奮。
子どものようにはしゃぎ回り、イラスト描写する桜子を、コリルは微笑ましく眺めるのだった。
爬虫類魔物館の出口を抜け、
「すっごぉい! グリフォンもいるじゃん。私のいた世界だと伝説の生き物だよ」
「グリフォンさんは、郵便物や荷物の配達用によく使われるよ」
「凄い世界だね。ヒッポグリフまでいるし」
「ヒッポグリフさんは、グリフォンさんよりもさらに飛行能力が高くて、長距離飛べるから主に国際輸送に使われてるんだ。貿易に大活躍だよ」
「私のいた世界の飛行機的な役割を果てしてるんだね。ライオンさんにも翼が生えてる。超恰好いい!」
桜子とコリルが引き続き園内の魔物達を観察しスケッチしたりしていると、
「獰猛な魔物が檻から逃げ出したぞ!」
「外にいる皆さーん、落ち着いて、レストランや土産物屋さん、室内展示のコーナーへ逃げて下さい」
園内のスタッフさん達から警告の声が。
「お客様の中に、騎士か魔物ハンターの方がございましたら、捕獲のご協力をお願いします」
こんなアナウンスもされる中、
「ママァ、怖ぁい」
「大丈夫よ、中に入れば」
逃げ惑う人々の姿が。
「桜子お姉ちゃんも早く逃げて!」
「どんな魔物なのか見てみたいんだけど、まあ危険だよね」
コリルと桜子も大急ぎで近くのレストラン内へ。
それからほどなく、
逃げ出した魔物がレストランの建物のすぐ横まで迫って来た。
「サーベルタイガーみたい! めちゃくちゃ恰好いい!」
桜子は窓ガラス越しにわくわく気分で眺める。
体長五メートルくらいはあった。
グォォッッ!
唸り声をあげながら、時おり二本足で立ち上がりつつ、園内を猛スピードで走り回り、高さ十メートル近くある太い木の幹に突進した。
「威力凄過ぎだよ。私のいた世界だとヒグマやゾウでもきっとあんなには強くないよ。ゼ〇ダの世界にいたらライ〇ルよりも強そう。こっち向かって来たら超危険過ぎだよ」
桜子は唖然とする。
木を根こそぎ倒してしまったのだ。
「火まで噴いてるよ。怪獣だよ。この世界の最強の魔物なのかな?」
桜子は尚も食い入るように観察してしまう。
「いやいや桜子お姉ちゃん。この世界全体の魔物の中では、かなり弱い方だよ」
「そうなんだ! あの魔物よりも遥かに強い魔物がうようよいるのかぁ。この世界とんでもないよ」
「あの魔物も、普通の人間じゃ全く歯が立たない強さだけどね。格闘家十人がかりでも武器無しじゃ仕留めるのは無理だよ。動物園で飼育されてる中では、最強クラスだと思うよ。マンモスも爪一撃で倒されちゃうもん。あれ以上の強さの魔物さん達になると、動物園で管理出来るレベルじゃないからね」
コリルは苦笑いで教える。
そこへ、
「皆様、ご安心下さいませ」
魔物ハンターさんがご登場!
あのお方だった。
ソフィチアさんのご登場だ。
武器と防具を装備していた。
「おう! ソフィチアさんだ!」
「これでもう安心だな」
「「「「「ソフィチアさーん、頑張れーっ!」」」」」
レストラン内の観客達から歓喜の声。
ソフィチアさんは声援に応えるかのように、ウィンクポーズをとった。
余裕のようだ。
ガォッ!
猛獣は立ち上がると、ソフィチアさんの背丈の三倍くらいの大きさがあったが。
ソフィチアさんが、
「ハッ!」
と。気合いの声をかけ、剣を振り回した瞬間。
猛獣はびくりとなり、急におとなしくなった。
そして、仰向けになり腹を見せて服従のポーズ。
「いい子、いい子♪」
ソフィチアさんに褒められると、
ニャ~ォ♪
時おり猫のような鳴き声を出しながら、元いた檻へ自分で戻っていったのだった。
パチパチパチパチパチッ!
屋内から見守っていたお客さん達から盛大な拍手。
「あのお方、やっぱ凄過ぎる。戦意喪失させてたし」
桜子はまたしても感心させられた。
こうして、獰猛魔物脱走事件は事なきを得たのだった。
桜子とコリルは、このレストランでお昼ご飯を取ることに。
「ゴヌゲロングマさん型のチョコレートケーキ、すごく美味しそうだね」
「この動物園一番の人気メニューだよ」
「これにしよっと♪」
「わたしはドラゴンズカレーにするよ。数種類のドラゴン肉が入ってて、これも人気メニューなんだ」
「ナゴヤドームのお弁当屋さんに売られてそうなお名前だね。それも美味しそう。でもさっきマンモス肉食べたから、それも頼んだらお腹いっぱいで食べ切れなさそう」
「じゃあ、わたしの少し分けてあげるぅ」
「ありがとう」
二人掛けのテーブル席に向かい合って座り、カラーイラスト入りのメニュー表を楽しそうに眺める。
その最中、
「新聞や雑誌の記者さんが、もしこの場にいらっしゃいましたら、うちの活躍を記事に大きく載せて下さいね」
ソフィチアさんがレストラン内へやって来て、にこっと微笑みかけ、念を押しておいた。
「もちろん一面で大きく取り上げますよ」
新聞記者と思われるお方もいらっしゃったようだ。
「ソフィチアさん、お子様がいらっしゃんですね。双子かぁ。かわいい♪」
ソフィチアさんと同じ髪色獣耳と尻尾をした幼い女の子が二人いた。
「お姉ちゃん方がピュピュムで、妹の方がポポムって言うんだ」
ソフィチアさんは楽しそうに紹介する。
「「リャモロンお姉ちゃん、こんにちは。桜子お姉ちゃん、はじめまして」」
ピュピュムとポポムは嬉しそうに揃ってご挨拶する。
「はじめまして、ピュピュムちゃん、ポポムちゃん。素敵なお名前だね」
桜子は満面の笑みを浮かべてほんわか気分に。
「ピュピュムちゃん、ポポムちゃん、久し振りだね」
コリルはそう言って二人の頭をなでなでする。
「ピュピュムちゃんとポポムちゃんは、将来の夢は何かな?」
桜子の質問に、
「ガーデナー。素敵なお庭をデザインするの」
ポポム、
「パパと同じ鉱物学者さん」
ピュピュム。
にっこり笑顔で答えてくれた。
「うちの娘も今どきの子ぉなんよ。賢さもロブ大卒の超エリートなパパ譲りで」
ソフィチアさんは苦笑い。
「ママみたいに、魔物ハンターには憧れないのかなぁ?」
桜子が問いかけると、
「ママのお仕事はとっても格好いいけど、危ないからパパみたいにもっと安全なお仕事に就いて欲しい」
ピュピュム、
「アタシもそう思ってる。ママが怪我したら嫌だもん」
ポポム、不満そうに言うのだった。
「でもねママ、大した学もないし魔物ハンター以外に出来そうなお仕事ないからね。お料理もプロレベルには程遠いし」
ソフィチアさんは苦い表情で言い、ピュピュムとポポムが行きたがってる魔物の展示場所へ向かっていくのだった。
「魔物ハンターさんって、鉱物学者とか火山学者とか海洋学者とか、地質学者とか植物学者とか考古学者とか、野外で調査することが多い賢い学者さんと結ばれることも多いんだって。警護で同行する機会も多いから」
「その理由、よく分かるなぁ」
コリルと桜子が注文したメニューが運ばれて来て、
「ゴヌゲロングマさんケーキ、可愛過ぎて食べるのが勿体ないくらいだよ♪ ドラゴンズカレーも、迫力あるね」
「お肉もお野菜も栄養満点だよ」
スケッチしたのち、それぞれのメニューを分け合いながら完食したのだった。
園内全ての展示動物を見終えると、
「私のいた世界じゃ見られない魔物さんのグッズ、記念に買っておこう。お部屋に飾りたくなるよ」
併設のスーベニアショップでラムカオやペガサスやグリフォンやマロデンティアポケットタヌキやシロヒネコなどのぬいぐるみや、展示魔物のイラストがプリントされたマグカップやタオル、模ったキーホルダーなどなど限定グッズをたくさん購入した。
動物園の出口付近では、
「ソフィチアのおばちゃん、こんな場所に自作ポスター出してるぅ」
「そんなことしても無駄なのにな」
子ども達のこんなあざけるような声が。
とある啓発ポスターが掲げられていたのだ。魔物のカラーイラスト共に、
ここに展示されている魔物は、全世界に棲息する魔物の極々々々々々々々々々々々々々々々一部に過ぎない。魔物ハンターになれば、数え切れないほどの魅力あふれる魔物達と触れ合えるぞ。新種の魔物を発見して、名を上げられちゃうかも。わくわくする大冒険がきみ達を待っている。さあ、少年少女達よ、魔物ハンターを目指そう!
と、この国の文字で書かれていた。
「ソフィチアさん、広報活動いろいろ頑張ってるみたいだね」
「わたしの通ってる学校でも、魔物ハンターさんの啓発チラシを配られたことあるよ。クラスの子には良いことばっかり書いて、実情を隠すのが大人のせこいやり方なんだよって言ってる子もいたけどね」
桜子とコリルは、少し眺めて動物園をあとにしたのだった。
「まさに異世界って感じの姿の動物さんばかりでめちゃくちゃ楽しかったよ」
「桜子お姉ちゃんに喜んでもらえてよかった」
「お隣に遊園地もあるんだね。日本の動物園と似た感じだね」
「ここは動物園の入場料に含まれてるよ。遊び放題だよ」
コリルと桜子がゲートを通り抜けてすぐ、屋台がいくつか並んでいて、
「私のお面まで売られてる。私の新作グッズがまた出来てるよ」
日本でも縁日でよく見かけるような、お面屋さんも目に飛び込んでくる。
「やあ桜子さん、あなたのお面が一番売れてますよ」
猫のような耳をした男性店員さんが伝えた。
「それは嬉しいけどちょっと照れくさいです。私のお面買っちゃおう」
桜子はコリルの分と合わせて二枚購入。
辺りを見渡してみると、桜子のお面を身に着けた子ども達の姿も見受けられた。
「私がいっぱいだ」
桜子が楽しそうに眺めていると、
「おーい、桜子ちゃーん」
どこかから彼女を呼ぶ声。
「あなたは、おもちゃ屋の店員のお姉さん。お久し振りですね」
「今日はうちの店開店二〇周年記念で出来立てほやほや、桜子ちゃんグッズガチャ大放出やってるんだ。一枚五百ララシャの抽選券、一枚につき一回引けるやつさ。最高レアの星3が金の桜子ちゃんフィギュアや外箱に似顔絵がプリントされた宝石など数万ララシャ相当の桜子ちゃんグッズ、星2が桜子ちゃんのぬいぐるみとか着せ替え人形とか駒に桜子ちゃんのミニ彫刻も使われてるチェスとか、数千ララシャ相当の桜子ちゃんグッズ、星1は数百ララシャ相当の桜子ちゃん似顔絵イラストが描かれたノートやトランプ、桜子ちゃんを模った消しゴム十個セットなんかと交換出来るよ。さらに今日は特別大サービスで三回まではタダで引けるんだ。星3の景品も今までのガチャ抽選会の時よりも出る確率を二倍にしてるよ」
店員さんは陽気に伝える。
彼女の出店している屋台横に、高さ一メートル以上ある大きなガチャガチャのようなものが備え付けられていた。
「ソシャゲのガチャみたいですね」
「桜子ちゃん、ちょっとの間でいいから売り子の手伝い頼むよ。よりお客さん集まりそうだし」
「そんなのお安い御用ですよ。任せて下さい!」
桜子は快く承諾。
お店の前に立つと、
「みんなー、私のグッズ大放出だよ。今なら十回ガチャ無料。さらに星3確率が二倍。超お得だよ」
楽しそうに大声で、園内を歩く人々に呼びかける。
「桜子ちゃん、十回も無料はちょっと……まあ、いっか。お客さんがいっぱい集まってるし」
店員さんはちょっぴり困惑気味。
ともあれ、
「桜子お姉ちゃんグッズのガチャ、あたしも回してみるね」
コリルの他、
「ママ、ぼくやるぅ~」
「無料分だけよ」
「ボクもガチャ回したぁ~い」
「星3、当たりますように」
「星3より、星1の方が欲しいな」
「桜子ちゃん、太っ腹過ぎて最高」
多くの子ども達やその親らが集まって来て、大量に用意していた桜子ちゃんグッズガチャの景品は瞬く間に無くなった。
十回以上にガチャガチャを回したいという人が続出し、結局は儲けになったのだった。
「最高レアの星3の景品より、星1、星2の景品の方が子ども達に喜ばれるのはなんか複雑な気分だね。まあ、遊んで楽しめるのは星1、星2の方だから、子ども達にとっては低レア景品の方が嬉しいよねぇ」
店員さんは苦笑いする。
「日本にはソシャゲっていうガチャを引いてキャラを出して、そのキャラを編成してクエストを進めるスマホゲームがあるんですけど、最高レアより低レアの方がかわいいから欲しいってこともありますからね」
「どんなものなのかよく分からないけど、豪華さよりもお客様のニーズに応えるのは商売人として大事だよな」
「その通りですね。それにしても、最高レアの商品、本当によく出ましたね。最高レアは無しかと思ったんですけど」
「そんなせこいことしちゃ店の信用ガタ落ちだよ。日本ではそういう詐欺行為がよく行われてるの?」
「中にはそういうお店もあるかな」
「日本の商売人はダメだな」
「まあ悪い人もいますけど、良い人の方が多いですから。それじゃあ、商売頑張って下さい」
「おう。またな桜子ちゃん」
「またね、おもちゃ屋のお姉さん」
コリルと桜子は遊具のある方へ。
「おおおおおおおっ! プテラノドンみたいなのがいる! U〇Jのフライングダイナソーは作り物だけど、ここのは本物じゃん。乗ってみたぁい♪」
プテラノドンのような魔物が、小さい子ども達を乗せ優雅に上空を旋回しているのを眺め、コリル以上に大はしゃぎな桜子。さっそく乗車口へ駆け寄っていく。
「すみませんお姉さん、私も、乗せてもらえませんか?」
「ごめんなさい桜子さん、この子には幼稚園以下の小さいお子様しか乗れないんです」
係員のエルフ耳、獣尻尾なお姉さんはにっこり笑顔で伝える。
グ~ォ。
プテラノドンのような魔物の方も桜子を見つめ、嫌そうな表情を浮かべていた。
「ちっちゃいお子様専用かぁ。私もちっちゃい方だけどなぁ」
桜子はてへりと苦笑い。
「桜子大人げなぁい」
「大人なんだから我慢しなよ」
「いい年してみっともなーい」
「桜子乗せたらプテラノドンちゃんが潰れちゃう」
並んでいた子ども達からもヤジが飛ぶ。
「全ての年齢の方がご乗車出来るアトラクションもいくつかご用意してありますので、そちらをご利用下さいませ」
「分かりましたー」
係員のお姉さんに申され、桜子はしぶしぶ退場。
「桜子お姉ちゃん、メリーゴーランドとかは大人でも乗れるよ」
「コリルちゃん、この世界のメリーゴーランドって、本物の空飛ぶ馬に乗れるの!?」
そのアトラクションを眺めてあっと驚く。
「うん、遊園地の乗り物って、本物の魔物さんが乗せてくれるのが多いよ。日本では違うの?」
「日本の遊園地の動物さんの乗り物は作り物だよ。メリーゴーランドのお馬さんとかも」
「そうなんだ。つまらなそう」
「確かに、この世界の遊園地体験したら日本のはつまらなく感じちゃうかも」
桜子は大きな翼の生えたペガサスが周回する、この世界のメリーゴーランドに乗馬すると、
「おおおおおおおっ! めちゃくちゃ楽しい♪」
小さい子どものようにはしゃぎ回ってしまう。
「ひゃああああっ、スリルと爽快感があり過ぎるよ♪」
本物のドラゴンが高速で滑空するジェットコースター的な乗り物も同じく。
「こんなゆったりとした乗り物も最高だね」
桜子のいた世界では大昔に絶滅しているアーケロンにも乗って楽しみ、遊園地をあとにした。
☆
お馴染みのドラゴンに乗せてもらい水族館へ。
コリルは無料。桜子は大人料金1500ララシャで入場。
グッズ購入で出来たたくさんの荷物はロッカーに預け、入場口を通り抜けると、いきなり巨大水槽が目に飛び込んでくる。
「おおおおおおおおおおおっ! 私のいた世界の深海魚以上に凄い姿の魚ばかりだね。さ〇なクン連れて来たら大興奮で大喜びしそうだよ」
桜子もおどろおどろしかったり、キモかわいかったりいろんな姿をしたこの世界のお魚達を大興奮で眺めた。
別の水槽には、
「ダンクルオステウスまでいるよ。向かいには、メガロドンも!」
桜子のいた世界では大昔に絶滅している大型魚や、
「クラーケン、だよね。この異様に大きなイカさん」
「クラーケンは超巨大なイカさんやタコさんの総称で、お刺身にしても、炭火焼にしても美味しいよ。夏が旬だからもう少ししたら市場やレストランで見かけやすくなるよ」
「見かけたら食べてみたいなぁ」
「普段からよく見る小さなイカやタコさんと比べたら、希少だし捕獲危険度も段違いだからお値段は十倍以上は高くなっちゃうけど、残念ながら小さいイカさんやタコさんに比べて特別美味しいってわけでもないんだ」
「それでも、食べてみたいな。記念に」
伝説上の海の怪物も。
「遊園地で楽しませてくれてありがとう。別の個体だけど」
アーケロンも当然のように展示されていた。
沼に棲む生き物達の展示もあった。
マーボーの沼と名付けられた水槽の前で、
「ソフィチアさんが作ってくれたマーボー料理、めちゃくちゃ美味しかったかなぁ」
そんなことも思ってしまった。
「この世界のペンギンさんって、空を飛べるんだ! 凄ぉい!」
「フライングボルトペンギンは、世界で一番寒い南極にたくさん棲息してるよ」
「私のいた世界にいるフンボルトペンギンに近いお名前だね。そのペンギンさんは南極じゃなくてペルーやチリの方にいるけど。この世界の南極もやっぱ寒いんだね。しぐさもとってもかわいいねぇ」
「時々やる天に向かって弓矢を射るような独特なポーズは、日光を効率良く浴びるためって言われてるよ。このしぐさがアイドル的大人気なの」
コリルは楽しそうに説明する。
お客さんの中には同じポーズを取る人もちらほら。
「このしぐさ、見てると癒されるよ。あっ! あっちにはトドみたいなのもいる。私のいた世界のトド以上に大きくてワイルドな感じだね」
体長五メートルほどのそいつを眺め、桜子は思わず笑ってしまう。
「あれはルヒブっていう海の魔物さんだよ。野生では熱帯地方の海に棲息してるんだ。お肉もとっても美味しいよ」
「芸も出来るのかな?」
「うん。ルヒブはとっても賢い魔物さんだからね。もうすぐショーが始まるみたいだよ」
「じゃあ、見に行ってみよう」
桜子はノリノリでルヒブショーが行われる会場へ向かい、観客席の最前列へ。
それから数分後、数百人収容出来る観客席はほぼ満席になり、いよいよルヒブショー開始。
「それでは、キュプラちゃんのご登場でーす」
エルフ耳と猫っぽい尻尾の付いたルヒブショーのお姉さんがそう叫ぶと、
ァ~オ、ァ~オ。
ルヒブのキュプラちゃんペタペタ這いながらみんなの前にご登場。
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチッ!
盛大な拍手と、
「「「「「「キュプラちゃ~ん!」」」」」「キモかわいい!」「こっち向いてーっ!」
大きな声援。
「これからキュプラちゃんの得意技をどんどん披露していきますよ。まずは、玉突きから」
ショー会場の舞台上には、四隅に穴の開いたテーブルと、その上に一本の細長い棒といくつかのボールが用意されていた。ビリヤードのようだ。
ア~ォ。
ルヒブのキュプラちゃんは手のひらで器用に棒を掴み、ボールをポンっと突く。
全部で六個あった玉のうち、三個が穴へ。
「あらら、キュプラちゃん、今日はちょっと調子が悪かったですね」
ルヒブショーのお姉さんは残念そうに言う。
「続いては、楽器演奏。キュプラちゃんが得意なギターとピアノの演奏をしてもらいます」
アオオ、アオオ♪
ルヒブのキュプラちゃんは器用にギターを手に取り、弦を弾いて踊り出したくなるようなメロディーを数秒間演奏してあげた。
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチッ!
「キュプラちゃん、お上手♪」
お客さん達から盛大な拍手喝采。
「続いては、ピアノ演奏をしてもらいましょう」
ルヒブショーのお姉さんは爽やか笑顔で告げる。
ルヒブのキュプラちゃんは、鍵盤に指を添えて、
♪♪♪
癒しが感じられるようなメロディーを奏でた。
「キュプラちゃん、とても素敵な演奏、ありがとうございました」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチッ!
またもや盛大な拍手。
「私のいた世界のトド以上に高度なことがいろいろ出来るんだね」
桜子は食い入るように見つめていた。
「あら、謎の芸術家少女、桜子さんもいらっしゃるではありませんか。キュプラちゃん次はお絵描きを披露するんですが、桜子さんもいっしょにご参加しませんか?」
「やってみまーす」
ルヒブショーのお姉さんに誘われ、桜子はわくわく気分で舞台へ上がらせてもらう。
「「「「「「「おおおおおおおおおおお!」」」」」」」
「桜子ちゃぁーん、頑張ってぇ~」
パチパチパチパチパチッ!
キュプラちゃん登場時と同じくらいの観客から盛大な拍手。
桜子はルヒブのキュプラちゃんの似顔絵を描写し、キュプラちゃんに手渡した。
ア~オア~オ♪
「キュプラちゃん、大喜びのようですね」
キュプラちゃんも、筆を手に取って桜子の似顔絵を描いていく。
完成させると桜子に手渡して来た。
「キュプラちゃん、とっても上手だよ」
アオッ、アオッ!
「キュプラちゃん、褒められて照れちゃってるみたいです」
アハハハハハハハッ!
観客から笑いの声が飛ぶ。
「キュプラちゃん、桜子ちゃん、ありがとうございました。キュプラちゃん、桜子ちゃんと握手をしてあげてね」
ア~ォ♪
ルヒブのキュプラちゃんは手をサッと差し出してくれた。
「キュプラちゃん、またいっしょに遊ぼうね。皆さん、飛び入り参加の私も応援して下さり、ありがとうございます!」
桜子はキュプラちゃんと握手を交わしたのち、拍手を送られながら舞台上から元の席へ。
「キュプラちゃん、今日もショーの公演ありがとう。見に来て下さった皆さん、まったねーっ」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチッッ!
アァァァァァ~ォ♪
お客さん達の大きな拍手で見送られ、ルヒブのキュプラちゃんはタップダンスをしているかのような軽快な動きで退場していった。
☆
ショーの会場をあとにした桜子とコリルは、引き続き館内を歩き進んでいく。
「イルカさん達が歌ってる。きれいな歌声だね」
「ラニュエントルイルカはその人々も魅了するきれいな歌声から、海の聖歌隊って呼ばれてるの。メガロドンとかクラーケンとか天敵の魔物も魅了されるから、襲われなくなるんだって。伝説上の怪物、セイレーンのモデルになってるんだ」
「セイレーンって、この世界でも伝説上なんだね」
水槽の周りでは、多くの人々が聞き入っていた。
「水族館の限定品も、欲しくなっちゃうものばかりだね。まずはこの世界ならではの魔物さんグッズを確保しとこっと♪」
桜子とコリル、全ての展示魔物を見終えたあとは、スーベニアショップでクラーケンやルヒブやアーケロンやフライングボルトペンギンやラニュエントルイルカなどのぬいぐるみや、展示魔物がプリントされた手提げ鞄、模ったクッキーや消しゴムなどなど限定グッズをたくさん購入したのだった。
こうして水族館も満喫し、たくさんのお土産の荷物と共にドラゴンに乗せてもらって家路についた。
「魔物のぬいぐるみさん、たくさん買ったのね。この中にいくつかは、わたくしが作ったものもあるわよ」
「そうなんですか。どれかなぁ? やっぱ一番クオリティが高いやつかなぁ?」
「ふふふ、それはナイショ♪」
「あたしには分かったよ」




