表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぬこ様と魔王様と 〜もしも魔王が、猫を飼ったら〜  作者: ひろしたよだか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/67

【その12:さがしびとサーチ】

 詳しく話したがらないハーロットに、オレックという人物について問い詰めた私。


 ひとまず分かったのは、オレックはとある勇者一行のクレリックとして、魔族領への冒険経験があった。


 ただ、オレックが所属したパーティーは、魔王城へ到達するには些か実力が足りなかったらしい。


 道中で勇者が魔物に討たれ、残ったパーティーは這々の体で逃げ帰り解散。教会より派遣されていたオレックは、その足で神官に復帰する。


 勇者一行に参加した功績で、オレックは即、教会本部の役付きに栄転となった。


 けれどそれからわずか半年で、オレックは役職を解任される。


 ハーロットによれば、『問題を起こした』ための懲罰的な人事であったらしい。でもその問題行動に対してや、その後どうなったかについては口をつぐんだ。


 どうも、先ほど私にオレックの名を出したのは、口を滑らせてしまったらしい。


 私がその名について追及すると、しどろもどろになりながら誤魔化そうとしたのだ。なのでオレックの経歴で、知ることができたのはそれだけ。


 私はこれ以上ハーロットから聞き出すことは諦める。他の神官で詳しい人を探した方が話が早い。半年とはいえ、要職に就いていたなら、記憶している人もいるだろう。


 私が大司教様に前線のことを問うた直後に、ハーロットの口から飛び出した名前。私が知りたいことの手がかりになるかもしれない。


 でもとりあえず、そちらは後回しだ。それよりも、もうひとつ、急いでやらなくてはいけない事があった。


 聖女たる私のために用意された教会へと帰ると、まずは朝の祈り。今日は丁度近隣住民も参加する日だったので、私が休むわけにはいかない。


 礼拝が終わり、人々との語らいを終えると、朝食もそこそこに私室へ籠る。


 まずは部屋の大掃除だ。多くの物がある部屋ではないけれど、重たい家具をどうにか寄せてスペースを作る。


「ふう。こんなところですね」


 準備が整うと、私は専用の道具を手に、魔法陣の作成に取り掛かったのである。


◇◇◇ 


「大司教様」


 そろそろ夕刻に迫ろうかという時間になって、ハーロットが戻ってきた。


「戻りましたか。それで、聖女の様子はいかがでしたか?」


 ハーロットには聖女の監視を命じていたのだ。


 朝の詰問の件、単に転移魔法陣が破壊されたことによる焦りによる発言ならば良いが、何か、引っ掛かる物があった。


「はい。ルラ様はまっすぐご自身の教会へ戻られ、朝の祈りを済ますと、そのまま自室に篭られたようです。しばらく外で様子を伺っていましたが、教会の外に出た形跡はありません。あ、いえ。夕方、日課の野良猫への餌やりには出てきましたが……」


「その間、出入りしたものは?」


「ご存じの通り、もともと人の出入りの少ない教会です。昼ごろに市民が一人だけ。こちらも祈りのために立ち寄ったようで、わずかな時間で出て参りました」


「そうですか。ご苦労様でした。下がりなさい」


「はい。失礼致します」


 気の所為であったか。だが、オレックの前例もある。


 ハーロットを送り出した大司教は、当時を思い出してわずかな苛立ちを覚えると、それを払いのけるように、開いていた書物を乱暴に閉じた。


◇◇◇ 


 煩わしい会議が終わり、本日の業務が全て完了した我は、一目散に自室へ向かっていた。


 癒しが、癒しが欲しい!


 毎日毎日飽きずにむさ苦しい顔を見ているのだ。一刻も早く、我にはぬこの癒しが必要なのである。


「我が私室の警護は不要である」


 と、近くをうろついていた兵士を追い払うのもどかしく扉を開け、我の魔力で鍵をかける。


「ぬこよ! 良い子にしておったか!」


 振り向いたその瞬間。


 ぬこを膝に抱いた聖女の姿が。


「な!? 何故にお主がここにおる!?」


「あ、やっと戻りましたね。魔王。少々伝えておくべき事があったので」


 そのように口にする聖女の元へ、我は大股で近づく。聖女がこの場にいるよりも重要なことがあったのだ。


「なぜ、なぜにぬこが貴様の膝の上で寝ておるのだ!? 我の膝でそのような真似をしたことは一度もないのに!」


「え? そうなのですか? ……なんかすみません」


「我だって! 我だって、ぬこを膝に置きたいのに!!」


 我はその場に崩れ落ちると、何度も床に拳を叩きつけるのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
これは悲しい。 魔王にかなり共感してしまいます。 実は、私の膝にも猫は乗りません。自分背が低くて足が短くて膝上のスペースがないんです。だから、どの猫も私の膝には乗りません。載せて抑えていても10秒ぐら…
魔王様〜〜〜〜〜(泣) ぬこちゃん魔王様の膝にも乗ってあげて〜W
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ