第1話_異世界への転移
俺は32歳のフリーター…ですらなくなったところだ。
数年前は普通に会社に勤めていたし、彼女もいた。
あの時が一番幸せだったかもな。
今は面接予定の会社に向かっているところなのだが。
「この面接に落ちたらどうしような」
「はぁ…」ついため息が洩れる ーーー3日後、不採用。
その一言だけで俺を絶望させるには十分だった。
俺、落ちたのか?面接に。
たぶん受かるだろうと、軽い気持ちでいた。
「ん?なんだこれ」
一通のメールが目に入る。
クリックしてみると、{異世界への招待状}。
「ハハっ、なんだよこれ」
俺も男だ、こういうのに憧れてた時期だってある。
...ちょっと見てみるか。
危険と分かっているのだが好奇心には勝てない。
クリックした瞬間、突然画面が強く光り始めた。
「うわっなんだ⁉」
どうやら発光は収まったようだが、まだ少しぼやけていて見えづらい。
「ん?」
視界のぼやけは収まったのだが、おかしい。
知らない場所にいるのだ。
「そうか夢を見ているんだな!」
「ギャアァァァァァァ!!!」
何かの咆哮で現実に引き戻される。
咄嗟に木の裏に隠れた。
さっきまでいた場所を見てみると、見たこともない生き物が辺りをきょろきょろ見回していた。
(なんだあれ!?)
とっさに後ずさりをする。
コッ
何かが足に当たった。
見ると箱のようなものが落ちていた。
拾ってみると、箱が勝手に開き箱の上に少女の映像のようなものが映し出された。
「パンパカパ~ン!おめでとうございます!。あなたは招待状を受け取ったため、異世界に召喚されました!!」
その少女が突然話し始めた。
その声で、さっきの生き物がこちらに気づいたようだ。
「ガルル」
それでも気にせず、少女は話し続ける。
「特典として!あなたには使い魔を贈呈いたします!。この使い魔はまだ卵のような状態ですが…」
「これ静かにする方法はないのか!?」
残念ながら音を下げたりは出来ないらしい。
「ギャァァァ!!」
後ろを見てみると、さっきの化け物がこちらに向かってきていた。
「クソッ!」
訳も分からないまま俺は無我夢中で走った。
しばらく走って巨大な岩肌のようなものが見えてきた。
息を荒げながら近づく。
よく見ると人ひとり入れるくらいの穴のようなものがある。
俺は迷わずそこに飛び込んだ。
しばらく化け物は穴の前でうろうろしていたが、あきらめたのか、気づくともういなくなっていた。
落ち着いたところで、辺りを見渡してみることにする。
「なんだここ」
入口の小ささに反して、中は広い洞窟のような場所になっていた。




