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水の記憶

作者: 柴犬

 



 何かが僕の方に向かってくる。




 コポコポ。

 


 水の泡が僕の顔を撫でる。



 コポコポ。

 コポコポ。




 視界は赤く明るい。

 息が苦しい。


 


 苦しい。


 水の中に僕は居ると思う。

 水の中? 水?



 ああ。

 水?


 僕は溺れてるのか?

 なら死にかけてるのか?


 水の中に僕は落ちたのか?


 何で溺れてるんだ?


 記憶に無い。

 

 うん?



 苦しくない。



 そんな時だ首に向かって何かが来た。

 それが首に絡まる。




 首が痛い。


 締め付けられるようだ。



 苦しい。

 苦しい。



 何かに。


 締められている。

 


 苦しい。

 苦しい。


 苦しい。

 苦しい。




 苦しい。

 苦しい。


 苦しい。

 苦しい。


 

 離せっ!


 何かが離れる感触がした。

 不意に楽になる。


 あれ?

 


 やがて視界が明るくなる。


 痛い。

 痛い。

 痛い。


 全身が痛い。



 今度は痛い。




 そうして意識が無くなった。



 ああ。


 僕は此処で終わりなんだ。




 そう最後に思いながら意識を手放した。


 



「という記憶を唐突に思い出しました」

『ただの夢ね』



 今朝見た夢を朝食を食べながら母に話した。

 一笑されたが。

 何言ってんだ此奴?

 と言う顔はやめろ。


「そりゃあ~~寝てる時に思い出したんだけど」

『ほら夢じゃない』


 僕の話を行き成りぶった切る母。

 いや。

 良いんだけど。


「でも夢にしては生々しいんだよ」

『明晰夢じゃない?』

「明晰夢?」


 母の言葉に首をひねる。

 はて?


『夢を見ているときに「自分はいま夢を見ている」と自覚して見る夢のことよ 』

「へえ~~」

『人によっては、「これは夢だ」と自覚し、その内容をコントロールできる人もいるんだって』

「あ~~」

『身に覚えが有るのね』

「離せって思ったら首を絞められてる感触が無くなった」

『ほらね』

「うん」


 そうなんだろうか?

 そう思いながら僕は家を出て学校に行く。

 ランドセルを背負い。


『何であんなに大人びた口調で話すのかしら?』


 

 玄関から出ると家の跡地が見えた。

 空地は持ち主が手入れをしてないので荒れ放題だ。

 駐車場にすれば現金収入になるのにね。

 そう思いながら僕は国道に向かう。

 多くの平屋を視界の隅に映る。

 生まれた時から住んでるけど随分と変わったな~~。


 そう思いながら歩いていると見慣れないオバサンがいた。

 いや。

 どこかで見たことがある。

 あれ?


『××ちゃん』


 うん?

 まあいいや。

 


「おはようございます」

『……』


 オバサンは僕の言葉にぎよっとする。

 そのまま逃げ去る様に移動した。


 はて?




 徒歩で三十分。


 そこに僕が通う学校がある。


 

 空を見上げた。

 快晴。

 雲一つない空だ。


「おはよう~~」

「おはようございます」

「うい~~~す」


 周囲を見ると制服を着た学生が増えていた。

 この先の学校の学生だ。


 いろんな奴がいる。

 色んな。


 今日も一日憂鬱な学校が始まる。

 勉強なんかしたくないな~~。


 そう思う人間は僕だけでは無いと思う。


「昨日のテストどうだった?」

「理科が三十点」

「御気の毒」


 取り合えず近くの見知らぬ同級生。

 憂鬱な事を話すな。


 昨日叱られた事を思い出すだろう。




 次の日の夜。




 また同じ夢を見た。



 コポコポ。

 


 水の泡が僕の顔を撫でる。



 コポコポ。

 コポコポ。




 視界は赤く明るい。

 息が苦しい。


 

 まただ。

 またこの夢。



 苦しい。

 苦しい。


 また水の中か。

 あれ水の中?


 何で水の中に?



 ああ。

 あれ?

 水?


 僕は何でここに?



 何で溺れてるんだ?

 

 うん?

 

 夢という事は覚えてる。

 なら此の夢のは何で見てるんだ?


 痛い。



 首が痛い。


 締め付けられるようだ。



 何かに。


 締められている。

 


 苦しい。

 苦しい。


 苦しい。

 苦しい。




 苦しい。

 苦しい。


 苦しい。

 苦しい。




 あれ?

 


 やがて視界が明るくなる。

 またか。



 痛い。

 痛い。

 痛い。


 全身が痛い。




 そうして意識が無くなった。



「今度も夢に見たよ」



 布団から起きた僕はため息をついた。

 その日の朝に僕は夢で見たことを話した。



『ふう~~ん今度は記憶に有った夢ね』

「そう変に生々しいというかリアルなんだよ」

『夢は夢でしょう』

「そうなんだけどね何か気になってさ」

『ああ~~あれじゃない?』

「何?」


 僕の言葉に何かを思い出した母。


『あんたが生まれた時の記憶じゃない?』

「生まれた時の記憶?」

『難産だったのよあんたは』

「そんなに?」

『生まれた臍の緒を首に絞めて死にかけていたのよ』

「え……」

『しかも逆子だし』


 記憶の内容に近い状態だったからだ。


『胎内記憶かもね』

「胎内記憶?」

『そう胎内記憶』

「なんなのそれ?」

『子供が母のお腹の中にいた時の記憶が3人に1人の割合で残っているという話よ』

「へえ~~」

『まあ~~個人差もあるけど一般的には4歳位をピークに、徐々に記憶が薄れると言われてるわね』

「なら僕のこの記憶は?」

『ただの夢』

「ですよね」


 はあ~~と溜息をついた。

 そう思いながら僕は家を出て学校に行く。


 玄関から出ると家の跡地が見えた。

 空地は持ち主が手入れをしてないので荒れ放題だ。

 駐車場にすれば現金収入になるのにね。

 そう思いながら僕は国道に向かう。

 多くの平屋を視界の隅に映る。

 生まれた時から住んでるけど随分と変わったな~~。


 そう思いながら歩いていると見慣れないオバサンがいた。

 いや。

 どこかで見たことがある。

 あれ?


 うん?

 まあいいや。

 


「おはようございます」

「……」


 僕の言葉にぎよっとする。

 そのまま逃げ去る様に移動した。

 誰かに似てるな~~。

 誰だ?


『××現実に××でないと××』



 はて?


『現実逃避しないで』


 

 

 そうだ。

 お母さんに似てるんだ。


 


 徒歩で三十分。


 そこに僕が通う学校がある。


 

 空を見上げた。

 快晴。

 雲一つない空だ。


「おはよう~~」

「おはようございます」

「うい~~~す」


 周囲を見ると制服を着た学生が増えていた。

 この先の学校の学生だ。


 いろんな奴がいる。

 色んな。


 今日も一日憂鬱な学校が始まる。

 勉強なんかしたくないな~~。


 そう思う人間は僕だけでは無いと思う。


「昨日のテストどうだった?」

「赤点」

「御気の毒」


 取り合えず近くの見知らぬ同級生。

 憂鬱な事を話すな。


 昨日叱られた事を思い出すだろう。


「昨日彼氏と何処までいったの?」


 おい。

 小学生だよな?



「ええ~~と」

「子供出来ても知らないわよ」


 おお~~い。

 小学生っ!

 ヤバイんだけどっ!


 僕も小学生だけどっ!


「どうしよう」

「まさか……」

「チュウしたから子供出来るかも」

「どうするのよっ!」

「どうしよう……」



 足を滑らせた。

 い……今時の子は……。

 チュウして子供が出来ると思ってるんかい。



 いや僕も小学生だけどね。


 え?


 あれ?



 何だ?

 既視感が有る。


 何だ?



 次の日の夜。





 コポコポ。

 


 水の泡が僕の顔を撫でる。




 またかよ。

 またこの夢か。



 コポコポ。

 コポコポ。




 視界は赤く明るい。

 息が苦しい。


 

 まただ。

 またこの夢。



 苦しい。

 苦しい。


 また水の中か。

 あれ水の中?


 何で水の中に?



 ああ。

 あれ?

 水?




 何で溺れてるんだ?

 

 うん?

 

 夢という事は覚えてる。

 なら此の夢のは何で見てるんだ?


 痛い。



 首が痛い。


 締め付けられるようだ。



 何かに。


 締められている。

 


 苦しい。

 苦しい。


 苦しい。

 苦しい。




 苦しい。

 苦しい。


 苦しい。

 苦しい。




 あれ?

 


 何だ?

 何だ?


 この僕の首を絞めている物は? 

 縄ではない。

 紐状のものではない。


 



 手。

 手だ。

 人の手。


 これは御母さんの手だ。

 皺だらけの手。

 お母さんの手だ。


 

 思い出した。

 重し出した。

 重し出した。


 僕は今。


 お母さんに僕は殺されそうになってるんだ。

 

 今まで夢を見てたのではない。

 今の現実の光景だっ!


 

「ごめんなさい」

「ごめんなさい」



 借金で首が回らなくなった僕の家族。

 母は父を殺し僕を溺死させようとしていた。


「××君お母さんも後を追うからね」


 涙で頬を濡らす母。


「あの世に先に行ってて」



 だったら先程までの出来事は僕の妄想?

 現実逃避?


 それとも……。

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