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アンデットだらけの2周目ダンジョンには治癒魔法が欠かせません!?~とある迷宮保安官と用心棒少女のダンジョン再攻略~  作者: 春街はる
柏ダンジョン

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32/40

32.武器

 武器か……。

 うん、ありかもしれない。


 私はこれまで、武器という武器を持っていなかった。

 探索者ではなくて迷宮保安官であることや、治癒魔法を使うのでダンジョンに入る機会があっても前に出る機会がないこと、杖やロッド類がなくても治癒魔法は使えることなどの理由だ。

 そもそも武器を持つ必要性がなく、選択肢から外れていた。

 

 でも、今は違う。

 アンデッドの調査や討伐で、ダンジョンに入る機会が増えた。

 私も何かしらの武器をもっていたほうがいいだろう。というか、最初に渋谷ダンジョンを訪れたとき、持っておくべきだったのだ。


 ある程度、自分の身を自分で守れたら、執行(しぎょう)さんに頼りきりにならなくていい。執行さんだって安心して魔物と戦えるだろう。

 それに今回のミノタウロスのようなケースでは、私が武器を持っていれば執行さんの援護ができたのだ。

 今回はたまたスマホを投げて事なきを得ることができた。だけど、偶然も偶然。次も上手くいくとは限らない。それに、また支給品のスマホを壊したら何を言われるか……。

 

 優しい津守さんにも堪忍袋はある。

 毎回毎回、ピンチのたびにスマホを投げつけるわけにはいかない。


「あの、津守(つもり)二等迷宮保安監殿」

「ん?」

「以前、アンデッドの調査で必要な武器や道具があれば、申請をしていいと仰っていましたよね?」

「言ったね。何か欲しい物でも?」

「……私も、何か武器を持っておこうかなと」

「武器か」


 ふむ、と執行さんは顎に手を添える。


「そのほうが執行さんも安心でしょうし、もしもの時は執行さんのサポートができないかな、と思いまして」

「それもそうだね。良いんじゃないかな」

「私の場合は、探索者的には杖でしょうか?」


 探索者は一般的に、近距離タイプと遠距離タイプの2つに分けられる。

 それはダンジョン内で使用できる魔法の適正による面が大きい。

 同じ火属性の魔法でも、剣や刀などに力を伝えるのに適している人もいれば、杖を通して放出するのに適している人もいる。


 治癒魔法の場合は、攻撃ではないからどちらでもないのだけど……。

 ただ、どちらかというと後者。遠距離タイプに分類されることが多い。


 私の問いかけに、津守さんが頷く。


「治癒魔法だと、一般的には他の遠距離魔法使いと同じく杖やロッドの類だろうね」

「やっぱり、そうなりますかね」

「ただ、佐々貴(ささき)君の場合は執行君のサポートも含まれているんだろう?」

「はい。今回のようなケースで、スマホを投げなくて済むように」

「であれば、杖やロッドに拘らなくてもいいかもしれないね」


 たしかに。

 魔法を使うための武器ではないから、別に遠距離タイプだからと言って杖やロッドに拘る必要はないのか。


 でも、そうなると選択肢が多すぎて迷ってしまう。


「津守二等迷宮保安監殿は、探索者をしていたときは何を使っていたのですか?」

「私は斧だったよ」

「斧! 似合いますね……」

「そうかな? ありがとう」


 まさかの答えだったけど、斧を持っている津守さんを想像するとめちゃくちゃ様になっていた。

 その姿はきっと、すごくカッコよかったのだろう。

 いや、今もすごくカッコいい人だけど。


「決め手は使用する魔法の適正ですか?」

「うーん、それもあるけど、私の場合は見た目かな」

「見た目、ですか?」

「あぁ。店で色々と見ていた時に見た目が気に入ってね。実際に持ってみたら手に馴染んで『これだ』と思ったよ」

「そういう決め方もあるんですね」

「もちろん、適性や効率を重視して選ぶのも大事だ。だけど、自分の命を預けるものだからね。自分が気に入ったものがいい」

「なるほど……」


 その観点は持っていなかった。

 元探索者である津守さんの話を聞けたのは大きかったかもしれない。


「ちなみに、どこに買いに行くかは決めているのかい?」

「いえ。今日、帰ってからネットで調べようかと」

「そうか。なら、東京迷宮シティは知っているかい?」

「もちろんです」


 東京迷宮シティは日本最大規模を誇る、ダンジョン関連品専門のショッピングモール。

 武器、防具、その他必要な消耗品や備品などはもちろんのこと、講習が行われていたり、訓練場などもある。

 近年の探索者の試験などは、このモールが所有している訓練場で行われていた。


「あそこのオーナーとは旧知の中でね。力になってもらえるよう、頼んでおこうか」

「い、いいのでしょうか」

「もちろん」

「で、ではお願いします……」

「分かった。頼んでおくよ」


 恐縮の限りではあるけど。一人で買いに行くのは不安だったのでありがたい話だ。

 ネットの情報は嘘が混じってるかもしれないし、自分で調べてもピンとこないかもしれないし、ショップの店員さんは押し売りしてくるかもしれないし……。

 

 しかし、津守さんの顔は本当に広いなぁ……。

 探索者をしていた時の知り合いだろうか?


 なんて思っていると、診察室の扉がゆっくりと開いて執行さんが出てきた。


「――っ!」


 えっ!

 その姿を見て目を見開く。息を呑む。

 だって、執行さんの服装は白のワイシャツに紺のジャンパースカートの制服だったのだから!


お読みいただきありがとうございます。

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