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アンデットだらけの2周目ダンジョンには治癒魔法が欠かせません!?~とある迷宮保安官と用心棒少女のダンジョン再攻略~  作者: 春街はる
柏ダンジョン

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30/40

30.柏ダンジョン調査後

 なんとか柏ダンジョンを無事に出たあと。

 私と執行(しぎょう)さんは帰宅――ではなく、迷宮保安庁の医療施設を訪れていた。

 

 管理事務所から連絡を取った際、津守(つもり)さんから「絶対にメディカルチェックを受けるように」と言われたためである。

 正直、執行さんはそうだとしても私は必要ないと思っていた。だって、怪我という怪我はしてない。

 だけど、津守さんに「二人共」と命じられては断れず、結局はそれぞれメディカルチェックを受けることになったのだった。

 

「――では、佐々貴(ささき)三等迷宮保安正の診断は以上です。お大事に」

「ありがとうございました」


 主治医の先生に頭を下げて、診察室を出る。

 私の診断結果はシンプルに治癒魔法の使い過ぎ。三日間は治癒魔法を使用しないようにとのことだった。

 調べてもらったところ、残っている魔力はゼロに近かったらしい。


 診察室の前に並んでいるソファに腰を掛ける。

 ちら、と私が出てきた診察室の隣を見るも閉じたままだ。

 どうやら、執行さんのメディカルチェックはCT検査など色々な精密機械も使って細かく行われるらしく、終わるまではしばらくかかりそうだった。


 ……そりゃあそうだよね。

 

 ミノタウロスアンデッドの拳をまともに喰らい、さらにはミノタウロスの攻撃を真正面で受け止めたのだ。

 目に見える外傷だけではなくて、身体の内部にも影響は及んでいるはず。

 調べたら調べただけ、傷や怪我が見つかるだろう。

 

 私がもう少し、しっかりしていればな……。

 いつも執行さんにばかり負担を強いて、迷惑をかけている気がする。

 アンデッドを倒す以外でも役に立てればいいんだけど……。


 なんて考えていると、近づいてい来る足音が聞こえた。


「――ご苦労だったね、佐々貴君」

「津守二等迷宮保安監殿」

「あぁ、座ったままでいい」


 私が立ち上がろうとすると、すぐに津守さんは手で制してくれた。

 お言葉に甘えて、浮かせかけていたお尻をソファに戻す。


「今回は随分と大変だったようだね」

「そうですね……」

「いやはや、佐々貴君のスマホの反応が消えたと報告が来た時はヒヤヒヤしたよ」

 

 苦笑する津守さんの顔を見て、ドキリとする。

 苦肉の策だったとはいえ、保安庁のスマホを粗末に使ったのだ。しかも普通に壊れた。ミノタウロスに投げつけたのだから、当たり前かもしれないけど。


「申し訳ありません。保安庁からの支給品を壊してしまって……」

「いやいや、経緯は聞いたから問題ない。明日にでも新しいものを渡すように言ってあるから」

「あ、ありがとうございます」


 特にお咎めなし……?

 始末書くらいは覚悟していたけど、どうやら特に何もないらしい。

 

 津守さんも気に留めた様子はなく、扉の閉まっている診察室を見ていた。


「執行君は?」

「まだ中に。色々と検査が必要みたいです」

「そうか」


 短く返答して、津守さんは私の隣に腰を下ろした。

 もしかして、このまま執行さんを待つつもりだろうか?

 当たり前だけど、執行さんは二等迷宮保安監という立場があるから忙しいはずだ。そこに最近はアンデッド対策も加わっている。


「執行さんに何かありましたか?」

「ん? いや、執行君だけではなくて二人にね。だから執行君が来るまで一緒に待たせてもらうよ」

「お時間がないようでしたら、私が先に聞いて、執行さんには伝えておきますが」

「大丈夫。その心配はいらないよ、ありがとう」


 ふわりと微笑んで、津守さんが話を続ける。


「佐々貴君の診断結果はどうだった?」

「私はただの魔法の使い過ぎですから……心配されるに値しません」

「そうもいかない。それに私は元々探索者でね。魔法については少し知ってるんだ」

「あ……」


 そうだ。

 津守さんは迷宮保安庁に来るまでは探索者をしていた。

 詳しいことは知らないけど、顔の傷などを考えると、当時の最前線で戦っていたのではないだろうか。私よりも魔法や魔力、それらを使いすぎた時の身体の状態などは詳しい。誤魔化せる相手ではなかった。


「それに佐々貴君は治癒魔法だ。他の魔法よりも負担は大きいだろう」

「……三日間は魔法を使わないように、とのことでした」

「三日か。ちゃんと従うようにね」

「はい。ですが、アンデッドが出た場合は」

「君には……いや、君たちには行かせない。最悪、私が行くさ」

「え! 本当ですか!?」

「冗談だよ。冗談」


 からからと楽しそうに笑う津守さん。

 この人の冗談は分かりにくい。


「ま、なんとかなるさ。いくら治癒魔法を使える人材が少ないとはいえ、ゼロではないんだから」

「他にもいるんですか?」

「私の顔が広いのは君も知っているだろう?」

「はい」


 それは迷宮保安庁にいる人なら誰でも周知の事実だった。

 元探索者とでもあるから、そちらの方面でもパイプがあるのかもしれない。


「で、気が休まらなくて申し訳ないけど、執行君が戻って来るまで仕事の話をしてもいいかな?」


お読みいただきありがとうございます。

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