表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

普遍的な試合

「軍隊では、強者が生き残る。だが、弱者は――?」



---


2023年5月23日・日本全国高校サッカー大会 決勝戦

金川高校 vs 富士山高校


ボールがフィールドを飛び、星尾タツヤの足元に転がってきた。


「全員!あいつを囲め!またパスさせるなっ!」

相手チームのMFが叫んだ。彼の顔には焦りが滲んでいた。タツヤが再びボールを支配したのだ。


5人が一斉にタツヤに突っ込んでくるのを見て、彼はニヤッと笑った。


ボールを軽く上げて、1人目にヒールリフトでチップパス。


次に、2人目には股抜き!


そして自陣エリアから相手ゴール前まで、ロングスルーパスを一閃!


そのボールは見事、木下の足元にピタリと収まった。

彼はワンタッチで強烈なシュート!


ゴーーーーーーールッ!!!


観客は沸騰!またしても星尾タツヤが信じられないアシストを決めた!


「デ・ブライネ死んだんか?この子が転生してるやん!」

「ダレやあれ!?メッシの日本版かよ!」

「優勝は金川だわ。異論ねぇ!」


金川サポーターの応援は止まらない!

会場は「タ・ツ・ヤ!タ・ツ・ヤ!」のチャントが響いていた。


7-7

(タツヤ:アシスト6本+1ゴール)


「お前らホンマ弱すぎるわ。楽勝すぎて眠くなるレベルや。」

とタツヤはドヤ顔で相手チームを煽った。


試合は激戦。両チームに何度もチャンスが訪れたが、GKたちの神セーブでスコアは止まったまま。


後半アディショナルタイム 90+3分:7-7


「オレ空いとるで!早よパス回せや!」

金川MFの矢野が叫ぶ。


「任せた!ほれっ!」

とDFのカイリがクロス。


その瞬間、タツヤは中盤で敵DFの隙間を見逃さなかった。


「そこ、ガラ空きやんけ。」

彼は即座にスペースへ走り込んだ。


「おいおい!星尾がどフリーやぞ!!マークしろやぁああ!」

富士山GKが絶叫。


クロスを受けた矢野が、センターサークル付近から華麗なトリベーラを放つ。


そのボールは一直線に、タツヤの元へ――


相手DF3人が背後から迫る!


「もうこれしかねぇ!」

タツヤは迷わずジャンプして、バイシクルシュート!!


シュートはクロスバーに当たって、そのままゴールイン!


ゴオオオオオオオルッ!!!超決まったああああ!!!


だが――

タツヤは着地に失敗し、そのまま意識を失って倒れた。


――そして、すべてが暗闇に沈んだ。



---


「軍隊では、強者が生き残る。だが、弱者は――?」



---


「……ん?おい、みんなどこ行ったんや?」


星尾タツヤが目を覚ますと、そこは見たこともない土の地面だった。服は泥だらけ。


周囲を見回すと、まるで異世界のような、薄暗い森が広がっていた。


鳥の声一つ聞こえず、空気は重苦しい。血の匂いすら漂っていた。


ポケットに手を突っ込むと、なぜかスマホが入っていた。


「は?スマホ?ロッカーに置いたはずやんけ……なんで?」

混乱しながら彼は立ち上がり、森の中をさまよい始めた。


――そのとき。


1人の男が、死体の上に立ち、剣を構えていた。


「う、うそやろ……」

タツヤは声にならない悲鳴を上げ、身体が凍りついた。


「ほぉ?部外者か……つーことは、始末するしかねぇなぁ?」

男は不敵に笑い、血塗られた剣をゆっくりと振り上げた。



---


第一章・完

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ