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① 神託

グーマ王国は毎年、水神祭が行われ儀式の1つとして大聖女により女神ヴィシュナ様よ声を民に届けられていた。

時には伝染病、時には干ばつなど神から降ろされる言葉はいい事もあり悪い事もあった。


そして大聖女のリシャラテが伝えた神の言葉は『王都は5年後に滅びる』『ヌマーダに遷都せよ』であった。

この神託により婚約者であるユーリッチ王子から婚約破棄をいい渡されヌマーダ領主に行くことになった。

1年後、リシャラテは王命でヌマーダ領主カナージャと婚姻する事になったのだが、カナージャ領主は幼馴染みであった前妻の事が忘れられないでいたため、リシャラテとは白い結婚となっていた。


なるべくハッピーエンドを目指して見ましたが、ちょっと重たくなってしまったかもしれません。

周辺を山々に囲まれた内陸部にグーマ王国という国がある。

この国は水神:ヴィシュナを讃えており、湧き出る神水は人が飲めば病を治し、大地に巻けば実りが良くなるなど恵まれていた。


だが、この平和な国に1つの影が落とされた。

それは、毎年行われている水神祭の行事の1つである神降ろしの儀式があるのだが、この神降ろしの儀式は大聖女が神の声を代弁して述べるものである。

その神降ろしの儀式で大聖女が発した言葉に国中が大騒ぎとなってしまった。

そして、今、大聖女は王の間にいる。


「貴様、何て事を言ってくれたのだ。貴様のせいで国中が大騒ぎだ!」


この大聖女の発言で怒りを露にしているのが大聖女の婚約者である第一王子ユーリッチである。


「大聖女リシャラテよ。お主は何故『王都は五年後に滅びる』と言った?」


そう、大聖女リシャラテが儀式で述べた言葉が『王都は五年後に滅びる』と神のお告げとして言ってしまったのだ。

このようなお告げをすれば皆が騒ぎ出すのは当たり前である。

今、大聖女の発言の火消しに大臣や神官達が右往左往している。


「私は神のお告げを述べただけです」


「もしや、タカサの間者ではなかろうな?」


タカサとは王都の隣になる都市で王位継承権第2位の王の兄が治めている都市で、この王都マエバーシャとは因縁がある。


そもそも、昔、王都はタカサにあった。

王城が古くなったので一次マエバーシャに仮で移したところに運悪く実りの少ない年が数年続き改築作業が先延ばしとなった中で前王が亡くなられてしまった。

大臣達の話し合いで第一後継者の第一王子ではなく、マエバーシャを治める第二王子が次の王となり、王都がマエバーシャのままになった。


100年前の出来事である。今は王位継承権第二位の王弟が治めており、現王との中も良く、後継者第一位の第一王子ユーリッチも人格者であり次の王に相応しいと認めている。王家内部は何も蟠りもない。

あるのはその下に使える文官や平民達だ。

今でも王宛に遷都の書状が届いている。


「私は西のアガマの領の出身です。今はダムの底ですが」


「と言う事は『アガマダム』の逆恨みか?あのダムは治水のために必要なダムで平民達にも10年間掛けてゆっくり無理せず説得してきた訳だがお主には理解してもらえなかった訳か?」


「いえ、私もアガマダムは必要だと思っております。私は本当にリシャラテ様のお告げを述べただけです」


「そのお告げで町は大騒ぎだ。タカサでは治まりつつあった『遷都』の声が再熱し始めた。どうするつもりだ?」


「方法も告げさせて頂きました。『王都をヌマーダに移せ』と」


グーマ国には11の都市があり各々王位継承権があるものが治めている。その中でヌマーダはグーマ国の中で最も北に位置する都市(と言うか北部にある唯一の都市)で、最も人口が少なく治めている者も王位継承権11位と最も低い都市であった。


「はぁー、大神官、この件についてお主の意見を聞かせてくれ」


国王から突然にふられた大神官は額からは汗がポタポタと滴り落ち、口の中は既にカサカサで脱水状態で直ぐに倒れても可笑しくない状態であったが王の質問に答えた。


「も申し訳、ごございません。わ私共は、か神の声が、き聞こえなないため、わ解りません。で、ですが、だ大聖女の、リリシャララテは、れ歴代、さ最高と、言われる、程の、せ聖力の、も持ち主で、ごございまます」


「ならば、告げは真実と申すか?」


「い、いえ、わ私には、ななんとも・・・」


「ふん。頼りにならん神官だな」


「父上、宜しいでしょうか?」


「なんだ、ユーリッチ?」


「先日、王都でパーティーを行いました。その時にヌマーダ領主も参加しておりました。もしかしたら彼女はヌマーダ領主に心奪われ今回の謀を行ったかもしれません」


「そうか・・・」


「残念だよリシャラテ。私達は5年前に婚約者として結ばれてから仲良く今後のグーマ王国の平和を築き上げて行くと思っていたのだが私だけであったようだ」


「私も裏切ってなどおりません。あくまでも神のお告げでございます」


「黙れ、この女狐が!」


「ユーリッチ様・・・」


「もう良い。大聖女リシャラテ及び大神官ラモスの大聖女及び大神官の地位を剥奪し、聖女リシャラテ及び神官ラモスとしてお主達の好きなヌマーダに派遣しよう。協会は次の大聖女と大神官を早急に選定せよ。一年後のお告げで似たお告げがあればお主達を王都に戻そう。但し、違う神託ならば聖女リシャラテはヌマーダ領主と婚姻を結ばせる。神官ラモスはヌマーダの神官長として2人は永久的にヌマーダ領から出る事を禁ずる」


「そ、そんな・・・」


こうして私は大聖女から聖女へとなりヌマーダに向かう事となった。

次の聖女はメヌメールが選ばれた。メヌメールはタカサ公爵のご令嬢でタカサ公爵は王位継承権第二位のタカサ領主である。この選出は権力とか関係なく単純にリシャラテの次に聖力が高かったのが彼女であった。大神官も順当に大神官補佐が選ばれた。


聖女リシャラテは荷物もまとめ大神官ラモスと共にヌマーダに向かう馬車に乗り込んだ。

ヌマーダに行く途中マエバーシャ都内を通る訳だが、王都が滅びると語った聖女を悪と認識し馬車に向け罵声と共に石を投げ付けていた。


「ご免なさい」


「気にしなくていい。神官長の仕事をそろそろ引退しようと思っていたところだ」


馬車は休むことなく移動し続け3日程でジブカヤ領に入った。シブカヤの都市は王位継承権8位と決して高くないが自分達を通り越して王位継承権11位のヌマーダに遷都せよと告げた聖女など面白くない。

ここシブカヤでも嫌われていたリシャラテはここで食料を調達しなければならないが、録な物が集まらなかった。


そして、更に3日程で峠に差し掛かり1日掛けて峠を越えた。やっとヌマーダ領に入れたのだが、ヌマーダの都市はここから更に3日程掛かった。

王城出て10日程掛かりヌマーダ領主館に到着した。


「ここが、此から暮らす所ね」


リシャラテはヌマーダの邸を見つめ一言呟いた。




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