8.訓練開始
あれから一か月ほど経った。
剣の訓練を始めるのに何故か一か月もかかったと思っていた。
「アレク用の剣ができたことだし今日からアレクも訓練に参加するように」
朝食の時にそう言われたので仕方なく訓練着に着替え庭へと向かった。
「よしみんな揃ったね。アレク、これがアレク用の剣だ。抜いてごらん」
そう言って真剣を渡された。
真剣。
真剣。
特に刃引きとかもされておらず普通に切ることのできる剣を渡された。
えっとー、この世界は3歳児が訓練で真剣を渡されるのが普通なのか。
だいたい木剣とかから始めるものじゃないの?
「どうしたのアレク。早く抜きなさい」
「わかった」
母さんに急かされたので一旦考えることはやめて剣を抜いてみることにした。
「おおー」
剣を抜いてみるとあまりの美しさに思わず声が漏れてしまった。
「よし、とりあえず素振りから始めるか。アレク、振ってみてごらん。ウィルとリリも素振りから始めようか」
そうして訓練が始まってしまった。
ー剣がぶれてるぞ
ー腰が引けてる
ー最後まで振り抜く
ー剣に流されるな
そうこうしてるうちにようやく訓練が終わった。
「始めて剣を持った割には良かったんじゃないか」
そんなことを最後に母さんから言われたけどこれっぽっちも嬉しくはなかった。
そんなことよりも今は一刻も早くベットに倒れこみたかった。
ベットに倒れこむと先ほどの記憶が蘇ってきた。
ー「なんでいきなり真剣で訓練するの。最初って木剣とかから始めるんじゃないの?」
ー「なんでっていざって時に剣が振れないと困るだろ」
3歳児が剣を振らないといけない状況ってどんな時だよ。
そんなことを考えながら夢の世界に旅立った。