6.母さんってもしかして
あれから3年の時が経ち僕は3歳になった。
3歳になったからといって特に変わったことはない。
相変わらず寝て起きてを繰り返している。
数か月前から姉が絵本の読み聞かせを毎日のようにしてくれる。
毎日姉が遊んでくれてウレシイナー。
姉の読み聞かせを聞きながら寝落ちするのが最近の日課となっている。
ん?つまらないのかって?
毎日のように同じ話を聞かされているから聞き飽きているんだ。
「昨日は途中で寝ちゃったからまたこの絵本を読んであげる」
そう言って同じ絵本を読んでくれる。
そうしていつものように寝落ちしてしまうのも仕方のないことだと思う。
しばらく経つと飽きたのか読んでくれる本が変わる。
最近のお気に入りの本は冒険者がドラゴンを倒す物語だ。
もちろん僕のお気に入りではなく姉のお気に入りだ。
まあドラゴンキラーってあこがれだよね。
ドラゴンなんてとても強そうだし。
それを倒すなんて子どもなら誰しもが夢に見ることだろう。
僕はいいやドラゴンなんて倒したときにはいろいろ面倒なことが起きるに違いない。
でも一回くらいはドラゴン見てみたいな。
かっこよさそうだし。
まあドラゴンなんてそうそう現れるものでもないし、そんな強いモンスターがポンポン現れても困る。
うん。この時はそう思ってた。
そんな甘い(?)考えが崩れるのにそう時間はかからなかった。
「リリ、今日もアレクに本をよんであげてたのか。たまにはウィルとも遊んであげろよ。あいつ妹が遊んでくれないって時々落ち込んでたぞ」
に、兄さん、、、
母が部屋に入ってくるなりそういった。
「それはそうと今日は何の本を読んでいたんだ?」
「ドラゴンをやっつけるやつ」
そう言いながら母に本を見せた。
「リリはドラゴン見てみたいか?」
「見たい!アレクも見たいって」
いや見てみたいけども勝手に決めないでくれよ。
「そうかそうか。よしならば今度現れたとき連れて行ってやろう。あいつがいれば子どもの一人や二人増えたって問題ないだろう。いや、どうせならウィルもつれてピクニックついでに見に行くか。どうだ、リリ、アレク」
「行きたい!」
「行く」
しまった。
ピクニックって言葉につられて気軽に行くなんて言ってしまった。
ピクニック、くっなんて甘美な言葉の響きなんだ。
ドラゴンなんて気軽に見れるものでもないだろうし。
「よし、そうと決まれば早くあいつとウィルに伝えて出かけるか。久々にドラゴンぶん殴ってくるか。最近は運動不足だったしちょうどいいだろう」
そういいながらドアを開け、部屋から出て行った。
ド、ドラゴンぶん殴るって、、、
しかも運動不足の解消って。
「ドラゴンみに行けるって。楽しみだね」
「う、うん」
「よし、じゃあ続き読んであげる」
テンションの上がった姉に続きを読んでもらうことが確定した瞬間だった。
普段なら途中で寝かせてくれるのに今日は起こされて結局最後まで聞かされることになってしまった。
「ドラゴン楽しみなんでしょ」
楽しみなのはピクニックなんだけどなぁ、そんなことを考えながら。