第九章7 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第3試合】4/両チームの劣等感1
【ヌルチーム】も【華刻嬢チーム】も自分達は【弱い】と認めている。
少なくとも【選ばれし者】として【覇王杯/オーバーロード・カップ】に参戦しているはずなのにそれは何故なのか?
それは【芳一】に対しての【劣等感】だった。
彼が、【ブログ】などで、友人達との会話を書いてある内容を読んで、自分達は力不足だと認めざるを得なかったのである。
【ヌルチーム】はともかく、喧嘩上等の【華刻嬢チーム】まで自分達の弱さを認めたのは何故か?
それはぐうの音も出ない正論を【芳一】はブログで語っていたからである。
その内容だが、【芳一】は友達に【芳一】みたいな力を持つにはどうしたら良いか?と聞かれたという事に対して答えたものになる。
【芳一】はその友達に、その質問をした時点で、【芳一】の様にはまずなれないと答えた。
それは才能や努力なども当然あることだが、それ以前に気構えが【芳一】の飛び抜けた【発想力】を得る資格を放棄しているという。
何故だと聞く友達に対して【芳一】が答えたのは、その友達が【安易に答えを求めた事】だと答えた。
友達はもったいぶらずに教えてくれよと詰め寄るが、【芳一】は、その友達に対して、失敗する事を恐れて安易な答えを要求する事自体が、【芳一】の様には絶対になれないと証明していると言った。
更に、【芳一】は徹底的に【失敗】を繰り返しているとも答えている。
友達は失敗は成功の母って事か?と聞くが、【芳一】は、凡人が失敗と呼んでいる【それ】は失敗じゃないと答えた。
失敗は失敗だろ?と聞く友達に対して、【芳一】は、断じて違う、失敗した様に見えて別の技能がたくさんその過程で身についている。
そして、その成功という形になっていないものが積み重なってあるとき、合わさる事がある。
そして、まだこの世に存在していないものもそうやって生まれる。
自分は、それにピッタリ来る名前を作って与えているだけだ。
【失敗をただの失敗】ととらえている人間は絶対に見えない世界がある。
失敗に見えてもそれらが複雑に絡み合うと新しい成功が生まれるんだ。
それを放棄して、安易に答えを求める横着者は絶対に成功しない。
だから、【芳一】に楽な方法を聞いた時点で、その友達には逆立ちしても【芳一】と同様の力は得られない。
得る資格も無いし、【芳一】が見ていると言うこの世にある万物よりも圧倒的に多いまだ形になっていないものの【世界観】は絶対に見れない。
また、この事実を知って気持ちを切り替えたと過程しても不可能である。
なぜならば、こういう事でこうなったという事を【芳一】の口からたった今、聞いたからだ。
ゼロからその【神域】にたどり着ける者と人に言われてその【神域】を知った者ではその実力は天地の差がある。
また、安易に答えを求める者はそれよりも遙かにレベルが低い。
だから、【芳一】と同じには絶対にならない。
【芳一】はそれを知るための努力を366日毎日行っている。
だから差は広がる一方だと言ったのだ。
その記事を読んだ時、【ヌルチーム】も【華刻嬢チーム】も【芳一】との絶対的な埋まらない差を感じ取った。
まともに戦ったら、絶対に【芳一チーム】には勝てない。
だから双方のチームは自分のチームが弱いと認識したのだ。
だが、弱いと思うことは決して悪いことではない。
自分達の弱さを見つければそれに変わる力を手にすれば良い話だ。
【芳一】も【ブログ】でそう語っている。
【芳一】と同じベクトルで彼と同レベルには絶対になれない。
だが、極めるべき道は【芳一】の居るルート1つではない。
【芳一】にはなれないのであれば、別の頂点を目指せば済む話である。
双方のチームはそう気持ちを切り替えたのだ。
自分の弱さを知ったチームは強くなるものである。
だからこの両チームは弱くて強いチームなのである。