第九章63 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第4試合】23/【山手線追い越し対決】4
【山手線追い越し対決】が始まり、【凛】は【浜松町駅】から、【マルゴット】は【目白駅】からのスタートとなり、緊張感のあるやりとりは少々お預け状態で始まった。
まずは、【凛】が挑戦するのは【ノア・ファーヴルチーム】の用意した【サバイバル・キャンパー】でのミッションである、【辰人】との命のやりとりに挑戦する事になる。
これは、【辰人】を殺せれば【凛】の勝ち、【辰人】に殺されれば【凛】の負けとなるシンプルなものである。
引き分けは無い。
生き残ればミッションクリアとなるため、共倒れもミッションは失敗した事になる。
また、仮にこのミッションが失敗した場合、また、【浜松町駅】のミッションに挑戦する事になるのだが、【ノア・ファーヴルチーム】はこの【浜松町駅】に8つのミッションを用意している。
そのため、ローテーションで次のミッションという事になる。
【辰人】との命のやりとりが再び行われるのは少なくとも9ターン後という事になる。
【凛】は、【マルチバース×ユニバース】の精霊使い【メニュー・リスト】と同期し、この【辰人】との命のやりとりのミッションに挑む事になる。
【メニュー・リスト】は精霊と【善行契約】と言う特殊な契約をしている女性である。
【善行】、つまり良いことをする事によって【善行ポイント】が貯まり、一定の【ポイント】が貯まると必要とする【精霊】を呼び出し、その力を使う事が出来ると言うものである。
ミッションスタート時【善行ポイント】が貯まっていない状態では大した精霊は呼び出せない。
だが、今から【善行ポイント】を貯めているとその間に【辰人】に殺されてしまうかも知れない。
だから、現時点のスペックで倒せる方法を探した。
使える最低限の【善行ポイント】では四大精霊(火、水、風、土)の精霊の中でも少しの力を顕現させる力を持つ小さな精霊しか呼び出せない。
火ならば、火傷をする程度の火力、
水ならば、バケツをひっくり返した程度の水の放射、
風ならば、かまいたちでもちょっと指を切る程度のつむじ風、
土ならば、小さな土人形を作れる程度、
である。
この状態では必殺の力は無い。
そこで、小麦粉などを手に入れ、小さな火力で【粉塵爆発】を起こし、それで仕留める事にした。
【粉塵爆発】とは、ある一定の濃度の可燃性の粉塵が大気などの気体中に浮遊した状態で、火花などにより引火して爆発を起こす現象の事を指す。
これをトラップとして使用すれば、上手く行けば、小さな火力でも十分、【辰人】を倒せる見込みがある。
それを思いついた【凛/メニュー】は、見事【辰人】を罠にかける事に成功し、殺したのだった。
これで【ミッションクリア】となり、【サイコロ】を振る。
出た目は5つだった。
その後で【トランプ】の山札の上から5番目のカードを引いた。
すると、【スペードの3】が出た。
数字には意味がないが、【スペード】は、【外回り】を意味している。
現時点の【駅】が【浜松町駅】だから、それから【外回り方向】に5つ進めると
(05)【田町】
(06)【高輪ゲートウェイ】
(07)【品川】
(08)【大崎】
(09)【五反田】
となり、停車駅は【五反田】となる。
【五反田】のミッションをする前に相手のターンとなる。




