第九章51 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第4試合】11/【覇王】に対する【ノア・ファーヴル】の思い3
【ノア・ファーヴルチーム】のメンバー達は全員、【異世界】からの【交換転生者】だ。
だから、全員、【故郷】である元の世界に戻りたいと願っている。
全員、元の世界に思いを残してこの世界にやってきているからだ。
【ノア】以外の者は、故郷に帰りたいという強い思いを持っているのだろう。
だが、【ノア】だけは、故郷に戻って復讐したいと言う気持ちを隠し持っている。
表向き【ノア】が仲間に告げていた【この世界から異世界】へ自分の代わりに転生してしまった者がこの世界で達成する7つの【目標】を達成するまで戻れないと言うのは方便である。
本当は、【ノア】が主動で、この世界の本物の【ノア・ファーヴル】と入れ替わったのだ。
【ノア】はこの世界で【覇王】の力を得て、その力で弟に復讐しようと思っている。
そのどうしようもないどす黒い感情を隠すために、それまで生真面目に生きてきた【ノア】とは100パーセント異なる、【女好き】を演じている。
だが、【弟】の【ノイズゥ】の様に強気では出来ない。
そのため、【女性】から舐められると言う感じになってしまっている。
そのため、【ノア】はリーダーであってリーダーっぽく無い立場になっている。
このチームではチームリーダーよりも、メンバーの方が強い意見を持っている。
【ノア】の方針が右向きだったとしてもメンバーの多くが左向きの方針だったら、チーム全体の方針は左に傾く。
そう言うチームとなっている。
【ノア】は勝つために才能のある女性【交換転生者】と精神を交換し、身体を交換して行動する様になり、女性達の考えも大体解る様になっていた。
だが、【ノア】自身の本心だけは、心に鍵を閉めて解らない様にしているつもりになっていた。
しかし、それは【ノア】の思いこみだった。
チームメンバー達は【ノア】の心の奥底に眠っている憎悪に気付いていた。
気付いた上で【ノア】に協力したいと思っていたのだ。
腹芸が得意ではない【ノア】が過酷な人生を生きてきた強い女性【交換転生者】達に心の内を内緒にし続ける事は出来ない。
彼女達は、【ノア】のちょっとした動きから大体、どういう人間でどうやって生きてきたかを察する事が出来ていた。
だから、【ノア】のセクハラ行為にも本気で怒ったりしない。
可愛い弟分のしている可愛い悪戯くらいに思っている。
姉の様に見守っているのだ。
【ノア】の態度から大体、信じていた者に裏切られていると言うのが察しがついていた。
そう言う場合、大体異性がらみである。
だから、女に騙された【ノア】に、女はそんなに悪い人間ばかりでは無いんだよと教えてあげたい。
そう言う気持ちで頼りない【ノア】のチームメイトになっていた。
本心を隠そうとする【ノア】とそれを解った上で支えようとする女性メンバー達。
それで構成されているチームである。
チームリーダーとメンバーはまだわかり合えているとは言えないが、それでも絆が深いチームと言えるのだ。
本当は優しい女性達に支えられているから、このチームの結束力は三本の指に数えられるまでに絆が深いチームとなっているのである。
チームリーダーが一番未熟なチームであるが、このチームも強いチームと言えるだろう。
地獄の特訓を経た【神宮姉妹チーム】でも簡単に勝てるチームではないのである。




