第九章44 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第4試合】4/バトル方式2
【神宮 美彩】は、
「初めまして。【チームリーダー】の【神宮 美彩】です」
と言い、【ノア・ファーヴル】は、
『こちらこそ初めまして。【チームリーダー】の【ノア・ファーヴル】です』
と同じ様な言葉で返した。
【ノア】は地球人のふりをしているので言葉遣いを真似たのだ。
【美彩】は、
「この【覇王杯/オーバーロード・カップ】の逆転参戦方式に参戦している【唯野 芳一】と言う人をご存じですか?」
と話しかけてきた。
【ノア】は、
『まぁ、噂くらいは・・・』
と返事する。
大して興味がないという印象だ。
【美彩】は、
「そうですか・・・貴方の反応を見る限り、あまり興味が無さそうですね。
ですが、あえて話をさせていただきます。
素敵ですよね・・・【唯野さん】って。
夢があって、その夢の表現が多種多様、そして多彩です。
私は彼の表現に憧れていました。
いつか、彼の様になりたい。
そう思って来ました。
私が絶望したのも彼の立場が恵まれない事に対する不満から来るものでしたし、私にとっては彼の輝かしい栄光が全てでした。
でも彼と共に歩むためにはそれでは行けなかったのです。
彼は、決して、自分の力に縋ろうとする者を認めない。
彼に対しておんぶに抱っこを希望する者は横には立てない。
それを痛いほど理解しました。
彼には彼に相応しい人が居る。
それを知った時、私は今まで何をしていたんだろう。
そう、思いました。
そして、妹と相談して決めたのです。
彼の横に立つには彼に憧れているだけでは駄目だと。
彼に意見を言える強い者でなくてはならない。
彼を超えるつもりで力を付けなくてはならない。
そう決意して、【先人が残した10大修行苦行】の1つ【暗黒無限召喚武道会】と言う対戦相手が一定の時間が経つとその度に増えて行くので対戦相手がゼロになるまで倒し続けなければならないと言う超苦行をやって来ました。
難易度は1から10まで存在し、対戦相手のレベルの高さと対戦相手がゼロになるための回数をしめしています。
私達はレベルマックスになるレベル10を挑戦していてレベルマックスの挑戦者が一定時間ごとに増えてくると言う武道会を10回繰り返すと言う試練を受けて来ました。
それを経た私達はもはや、彼に憧れて居た頃の弱い私達ではありません。
相手が女子高生と6歳の子供だと舐めて掛かってこられても困ります。
やるなら本気で来て下さい。
妹の【雛鞠】は雛祭りのある3月3日が誕生日です。
つまり、もう少しで7歳になります。
恐らく、この試合の途中でそれを迎えるでしょう。
妹のためにもこの試合、落とす訳には参りません。
私が言いたいのはそれだけです。
良い試合をしましょう」
と開会宣言ともとれる言葉を【ノア】に送ったのだった。
【ノア】は、
「では妹さんへの誕生日プレゼントです。
初戦の対戦方法はそちらで決めて下さい。
こちらも遠慮なくそちらを叩きのめしてあげますので。
年上として、それくらいはそちらに花を持たせたいと思わせて下さい。
じゃないと年下を虐める様で気分が悪いので」
と皮肉った。
「では遠慮なく、こちらで決めさせていただきます。
ならば初戦は、【双六対決】でよろしくお願いいたします。
お互い初戦で用いる【世界観】を利用して10000マスの【双六】を作ります。
10000マスには用いた【世界観】にまつわる10000のミッションを書きます。
そして双方、【百面ダイス】を利用して相手の双六の止まったマスに書かれているミッションに自分のキャラクターと同期して挑戦します。
成功すればもう一度ダイスを振って進めますが、失敗すれば、相手側がダイスを振って戻されます。
そして、先にゴールした方の勝ちと言うゲームです。
ただし、ミッションの失敗を繰り返し、スタートに戻されたらそこでもゲームオーバーとなり、敗北が確定します。
そう言うルールで勝負いたしませんか?
10000のミッションのアイディアですが、一週間ほどあれば十分ですかね?」
「あぁ、それでかまわない」
と言う話になったのだった。




