第九章38 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第3試合】35/まだまだある勝負バリエーション7
それで、実際に勝負に選ばれたのが【華刻嬢チーム】の【大平 瑛沙】の作った世界観を【ヌルチーム】の【衣笠 笑菜】が作ったキャラクターが挑戦するという事になる。
まず、【瑛沙】が考えた【世界観】は【偽りの絆】と言うものだった。
【ヌルチーム】のチームカラーである【絆】を皮肉った世界観と言えるものだった。
この世界観では基本的には異能などは存在しない。
異能を持ったキャラクターを用意してもそれは否定されるという世界観である。
それは異能があったら不都合な世界観だからである。
ジャンルで言えば一応、推理物?になるのかも知れない。
例えば殺人事件が起こったとして、トリックに異能を使われていたらそれは推理にも影響するからだ。
そのため、この世界線では登場キャラクターは不思議な力は使えない。
使えるとしてもそう、見えるだけでトリックを使ってそう見せているだけと言う事になっている。
それは推理というものを成立させるための絶対条件である。
つまりどの様な特殊なキャラクターを使用しようと推理を成立させるために強制的に普通の人間と言う設定が割り当てられる。
そういう世界観である。
ただし、ただの推理物ではない。
この物語の【タイトル】にもある【偽りの絆】がテーマの世界観であるため、普通の話ではない。
殺し合い、もしくは自分を殺そうとしているものを当てるという展開の世界観である。
物語としては以下の様になっている。
孤島に1000人の若者が集められた。
全員、訳ありの人間であり、素性を隠している。
ただしここでは普通の人間を装えと絶対の命令を受けている。
この若者達は全員、許されない罪を犯していると言う設定になっている。
その罪から逃れ、この孤島から出る条件。
それは、それぞれが配られた【黒い手紙】に記されている10人を全員暗殺するか?
もしくは、自分を狙う10人全てを言い当てるか?
そのどちらかである。
【黒い手紙】には自分が殺すターゲットとなる10人のリストが書いてあり、その10人を殺せれば、この孤島から出て、自由の身になるが、1000人の若者の内、10人は自分を暗殺する様にリストに名前が書かれていると言う設定になっている。
また、【黒い手紙】は自分で大切に保管しなくてはならず、それが奪われたら一発アウト。
ゲームオーバーとなる。
また、自分の【黒い手紙】の内容が知られてしまってもそれが奪われない限りアウトでは無いが、状況が不利になると言う事になる。
そのルールで周りが誰も信じられない状況となった主人公はどう出るか?が問われる世界観となる。
まさに、【絆】と言うものを否定した様な世界観。
【絆】が無い【華刻嬢チーム】らしい世界観と言えるだろう。
それに対して【笑菜】が作ったキャラクターは、色んな【魔物】などを使う【モンスターテイマー】の【華南】と言うキャラクターを考えたが、この世界観ではそれは否定される。
モンスターは登場しない。
登場するのはせいぜい動物くらいである。
そのため、折衷案として、動物と仲良くなって動物をある程度操ることが出来ると言う設定のみ肯定された。
その条件で【華南】は、殺伐とした世界でミッションクリアを目指さなければならない。
【笑菜】との同期は無い。
そのため、作ったキャラクターの素の条件のままで挑まねばならない。




